Rauber Kopsch Band2.538   

a)浅枝Ramus superficialis(図564)

 これは内側足底神経N. plantaris tibialisと結合をなし,小指の外側面への小指腓側足底神経N. plantaris digiti quintiと4総底側指神経N. digitalis plantaris communis IVとに分れ,後者はさらに2本に分れて第4と第5指のたがいに向い合った側面にゆく.なお小指の外側の神経は多くの例では短小指屈筋M. flexor digiti quinti brevisと小指対立筋M. opponens digiti quintiならびに第4中足骨間隙の骨間筋に分布する.別の例では深枝Ramus profundusがこの神経の代りにこれらの諸筋に分布している.第4総底側指神経はまた第3と第4虫様筋神経をもだす.

b)深枝Ramus profundus(図564)

 これは遠位かつ外側に向かって凸の弓形をなして足底動脈弓とともに骨間筋群と母指内転筋とのあいだに入る.その凸側縁からは第1から第3までの中足骨間隙の骨間筋への神経がでる.そのほかに母指内転筋の両頭と短母指屈筋の腓側頭とがこの神経によって支配される.その初まりの部分からはしばしば短小指屈筋と小指対立筋および第4中足骨間隙の両骨間筋への神経がでる.

 

6.陰部神経叢Plexus pudendalis, Schamgeflecht(図565, 第I巻,図671, 672)

 陰部神経叢は主としてSIIIとSIV とに由来し,その構成成分は1つのはっきりした神経叢様の配列を示している.これは梨状筋の下縁に接して,腱様に光った尾骨筋の前面の上にある.

a)陰部神経叢の結合(図565)

 尾骨筋の上を走るSIVからの1枝によってこの神経叢はSVと連なり,またそれを介して尾骨神経叢Plexus coccygicusとつながる.これが仙尾骨神経係蹄Ansa sacrococcygicaである.陰部神経叢は上方に向かってはSIVの上部によって仙骨神経叢Plexus sacralisと結合している.第2の結合は交通枝による交感神経幹Truncus sympathicusとのつながりである.

b)陰部神経叢の枝(図565, 第I巻,図671, 672)

 陰部神経叢からは壁側枝臓側枝とがでる.前者は胴の下端部の壁に,後者は骨盤内臓にゆくのである.

1. 陰部神経N. pudendalis(図565, 第I巻,図671, 672)

 これはその線維の大部分をSIIIから受け,その小部分はSIVからくる.ときにはSIIからの線維がまじっている.この神経は断面が扁平であり,かつゆるく集束しており,著しく交錯した線維束群からできている.そして梨状筋の下方で骨盤を去るが,直ぐに坐骨棘を回って向きを変え小坐骨孔を通って,坐骨直腸窩の外側壁に達し,この窩を充たす脂肪組織とは閉鎖筋膜によって隔てられている.陰部神経はここでその3本の終枝に分れる.

 すでにこれより前に,すなわち骨盤腔から出るときに,この神経の幹は仙結節靱帯穿通神経N. perforans ligamentum sacrotuberaleを出す.これはふつうに仙結節靱帯を貫通していて,次いで坐骨結節のあたりに達し,大腎筋を回ってその外面に出て,そこの皮膚に広がって終る.

陰部神経の終枝としては次のものがある:

S.538   

最終更新日13/02/03

 

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