Rauber Kopsch Band2.544   

かくしてこれらの神経ははじめは脊髄および脳と同じ被膜をもっているが,脊髄神経節の前でこれら3つの鞘がたがいに豊富なつながりをなして合するのである.硬膜はますます疎になり,脂肪組織をふくんで,外方へも内方へも境がはっきりしなくなる.

 末梢神経のなかでの神経線維と結合組織との配列については294頁を参照されたい.ここでは次の点だけを付け加えておく:

 神経上膜と神経周膜鞘の厚さは末梢にゆくほど次第に薄くなり,そのうちに個々の線維束は早かれ遅かれいずれは結合状態から離れてゆく.そうなると個々の線維束は多くのばあいただ1つの神経周膜鞘をもつのである.最後に小さい神経幹から別々に枝分れしてでる神経線維Nervenfasernはなお神経周膜板の薄い内皮性の続きによって包まれている.この被膜をRanvierはヘンレ鞘Henlesche Seheideと名づけた.このヘンレ鞘とシュワン鞘とのあいだにある狭い腔所は液体を注入することのできるリンパ腔Lymphraumであって,神経のその他のリンパ系と直接につながっている.

 末梢神経の血管Blutgefäßeである小動脈と小静脈とは神経の走る方向に沿って,まず神経上膜のなかを進んでいる.さらに数多くの細い血管が神経周膜鞘を貫いて2次線維束の内部に入る.そこではこれらの細い血管が長く延びた網目構造のきれいな毛細管網に移行する.これらの小動脈は細い血管神経Gefäßnerven(Nervi nervorum「神経のもつ神経」の意)を伴っている.

 神経根Nervenwurzelnは中枢に向かっては脊髄に入るところまでシュワン鞘をもっている.脊髄ではシュワン鞘の代りにグリアNeurogliaがある.

b)脊髄神経節(図399, 566)

 脊髄神経節はその主要な構成要素として神経細胞と神経線維とをもっている.なおこれに加えて結合組織,血管およびリンパ管がある.その神経細胞は大部分が偽単極性のものである.すなわちただ1本だけ存在するその突起がなお神経節の内部にあるあいだたT字形,あるいはY字形に中枢がわと末梢がわとの2本の枝に分れる.これらの神経細胞のほかには もっともその数はずっと少ないのであるが一なお別の3種類の細胞がある:その1つは小さい細胞でただ1本の突起をだす.この突起は脊髄神経に達するが,それからおこる側枝は神経節のなかにとどまるのである.他のものは小および中等大のいわゆる介在細胞“Schaltzellen”であって,それらがもついくつかの突起はこの神経節の範囲を越えて外にはでないのである.また最後のものはすでに上に(295頁)述べた胎生期の性質を示す細胞ならびにそれから発達しつつある細胞である.

脊髄神経節の細胞の微細構造については294~ 296頁, 図365, 366ならびに第I巻では図120, 124を参照せよ.

 脊髄神経節における線維の走り方および脊髄と交感神経幹との結合はHirtによれば次の如くである(図399):

 相異なる6つの型を脊髄神経節のなかのニューロンに区別することができる.第1~第4のものは偽単極性の細胞,第5のものは単極性の細胞,第6のものは多極性の細胞である.

1. 定型的な体知覚性の細胞“somatosensible Zellen”,その末梢がわの突起は末梢のどこかから発し,その中心がわの突起は後根線維として脊髄に達して,ここで以前(313,  316,  320,  322頁)述べたぐあいに終わっている.

2. 内臓知覚性の細胞“viscerosensible Zellen”,その末梢がわの突起は交感神経幹を介して植物性神経の支配をうける何れかの器官からやって来る.その中枢がわの突起は後根線維として脊髄に達し,そこで体知覚性の細胞と全く同じ結合をなし得るのである.

3.2本の突起とも求細胞性cellulipetalに導く細胞:その末梢がわの突起は前者と同じく末梢のどこかからはじまるのであるが,中枢がわの突起は後根の内部で終わっている.

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最終更新日13/02/03

 

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