Rauber Kopsch Band2.550   

2. 中頚神経節Ganglion cervicale medium, mittleres Halsganglion(図524, 527, 570)

 中頚神経節は多くは卵円形をしており,第6頚椎の高さで甲状頚動脈あるいは下甲状腺動脈じしんの前内側面に接していて,その大きさは不定である.これが2~3個のいっそう小さい神経節によっておき代えられていることもあり,また完全に欠如していることもある.中頚神経節から下方へでる節間枝はふつう2本あって,これらが鎖骨下動脈を取り囲んでいる.こうしてできたわなは鎖骨下ワナAnsa subclaviaと呼ばれる.後方の結合枝がいっそう太いもので,まっすぐに下頚神経節に達する.前方の結合枝は比較的細いもので,弓なりに曲がって鎖骨下動脈をとりまいている.

3. 下頚神経節Ganglion cervicale caudale, kaudales Halsganglion(図524, 527, 570)

 これは最下頚椎の肋横突起と第1肋骨とのあいだのへこみにあり,同時に鎖骨下動脈と椎骨動脈の根との後方にある.これは中頚神経節よりもいっそう大きくて,不規則な星状の形をしており,第1胸神経節に触れるまでに接近していることもあり,また第1胸神経節と合していることもある(図527).

B. 胸部(図224, 226, 524, 527, 570)

 交感神経幹の胸部は各側とも11~12個の胸神経節Ganglia thoracicaからなっている. [Burkanova(1948)によればその数は最高16個,最低6個であるという.]

 これらの神経節は脊柱のそばで,肋骨小頭の前方にあり,しかも肋骨上縁の方により近く存在することもあり,肋骨の下縁の方により近いこともある.下方の2個の胸神経節は脊柱にいっそう近づき,第11と第12胸椎の外側面に接している.胸神経節はすべて1本の節間枝によってたがいに結合している.交感神経幹の胸部は胸膜の肋椎部に被われている.すなわち縦隔後部の外にある.

 1胸神経節Ganglion thoracicum primumは最も大きくて,下頚神経節と融合して頚胸神経節Ganglion cervicothoracicum(すなわち星状神経節Ggl. stellare)となっていることがまれではない.また第1胸神経節がさらに第2胸神経節と合していることもまれでない.胸神経節はすべて三角形あるいは紡錘形を呈し,上に述べたことで分るように明かに分節的な配列をしている.

C. 腹部,すなわち腰部Bauch-der Lendenteil(図527, 550, 551, 571)

 第12胸神経節からは交感神経の幹が腹腔のなかに続き,そのさい横隔膜の腰椎部の内側脚と外側脚とのあいだにある裂け目を通り,あるいは外側脚そのものを貫く.

 かくして交感神経幹め腹部Pars abdominalisは腰椎体の前面に達し,ここでは腰筋の起始のすぐ内側にあって,しかも右側では下大静脈の後方,左側では大動脈のそばにある.交感神経幹の腰部には4~5個の腰神経節Ganglia lumbaliaがあり,これらは紡錘形あるいは卵円形をしている.最後の腰神経節がふつう最も大きい.

 Botar(1932)は神経節を5個も見ることは一度もなかった,また4個見たこともまれで,どちらか1側に2個あるいは3個あることがしばしばで,両側にそれぞれ3個あるいは2個あることがいっそう多くて,たまには1側に3個,他側に2個見られたという.

D. 骨盤部(図551, 565, 572)

 交感神経幹の腹部はその骨盤部Pars pelvinaに続いている.骨盤部には多くは4個,それよりまれには5個の仙骨神経節Ganglia sacraliaおよび1個の尾骨神経節Ganglion coccygicumがある.

 仙骨部は仙骨の前面に接して,前仙骨孔の内側にある.両側の交感神経はここではだんだんと相近づく.その下端をなすのが尾骨部Pars coccygicaであって,この部分は個体によりいろいろと違っている.Henleによれば左右の最後の仙骨神経節が下方に向かって凸の仙骨係蹄Ansa sacralisという1つのわなをなして結合することがかなりに多くみられる.

S.550   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る