Rauber Kopsch Band2.553   

b)CVI, C VII, C VIIIとの交通枝.

c)下甲状腺動脈にいたる枝および椎骨動脈に達する特に数多くの枝.後者は椎骨動脈の周囲に椎骨動脈神経叢を作っている.この神経叢はよく発達していて,頚神経との間に結合をもっており,この結合は下方の頚神経では上方におけるよりもいっそうよく発達していて,椎骨動脈神経叢が肋横突孔の中を通るあいだにこれに達している.この神経叢は椎骨動脈とともに上方た走り,この動脈の脳に分布する諸枝に及ぶのである.

d)鎖骨下動脈とその諸枝に達する神経は鎖骨下動脈神経叢Plexus subclaviusを形成して,この神経叢は鎖骨下動脈の諸枝に続いており,また若干の小枝を胸膜頂に送っている(Braeucker 1927),この神経叢および下頚神経節からはかなり太い1本の枝がでて甲状腺に達する.これが(下甲状腺神経)N. thyreoideus caudalis(Braeucker 1923)である.この枝から1本の細い枝がでて下上皮小体に達している.

e)内胸動脈A. thoracica internaの周囲には内胸動脈神経叢Piexus thoracicus internusがある.

f)下心臓神経N. cardiacus caudalis,これは下頚神経節からでる.

g)最下心臓神経N. cardiacus imus,これは第1胸神経節からでる(この心臓神経の存在に関しては異論がある).

 f)およびg)はたがいに合して1つの共通な幹をなしていることがある.左のものは大動脈弓の後方を,右のものは腕頭動脈の後方を通り短い経過ののちに両側とも深心臓神経叢に達する.

心臓神経叢Plexus cardiacus(図527; 569)

 心臓神経叢には迷走神経の幹および上下の喉頭神経(あるいは肺神経叢)から発する心臓枝Herzästeならびに両側の交感神経の上,中,下3つの頚神経節と上方の5個の胸神経節(Braeucker 1927)から発する心臓枝とが集まっている.

 ときとして存在する舌下神経N. hypoglossusからの心臓枝については上述の484頁を参照せよ.両側の心臓枝の数と太さとが左右のあいだではなはだ異なっていることがある.また心臓神経の数も太さも,その出かたも結合も個体的変化に富んでいる.たとえばBraeucker(1927)は第6胸神経節の1枝までも心臓神経叢に達しているのをしばしば見た.しかしこの場合に目立っている差異は実はただ表面的なことにすぎない.

 両側の心臓神経は胸腔に入るときにたがいに近づいて,多数の吻合によって網の目のひろい網状の心臓神経叢Plexus cardiacus, Herzgeflechtを作り,これには浅層oberflächliche Schichtと深層tiefe Schichtとが区別されるが,しかも両者は密に相つながっている.

1. 浅心臓神経叢Plexus cardiacus superficialis, oberfldichliches Herzgeflechtは特に上部の心臓神経によって作られ,どちらかというと左側の方に広がり,大動脈弓の凹側縁と肺動脈の左右へ分れる部分とを被い,この場所には2つに分れた神経節あるいは(いっそう大きな)単一の神経節,すなわち心臓神経節Ganglion cardiacumをもっている.なお,この神経節が顕微鏡的な神経節となっていて,肉眼で区別できるようなものは欠けていることもある.

[図569]心室筋の神経 ヒト.約×600(Ph. Stöhr jr. による)

S.553   

最終更新日13/02/03

 

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