Rauber Kopsch Band2.555   

1. 節間枝Rami intergangliares,これは個々の神経節のあいだの縦の結合を仲だちしている.

2. 交通枝Rami communicantes(2~4本),これは脊髄神経との結合をなしている.

3. 胸大動脈に達するいく本かの枝で,縦隔枝Rami mediastinalesとよばれるもの.これらは胸大動脈の周囲に胸大動脈神経叢Plexus aorticus thoracicusを作り,この神経叢は上方は心臓神経叢Plexus cardiacusからの末梢への広がりとして大動脈に達するものとつながり,下方は横隔膜の大動脈裂孔を通って,大動脈とともに腹腔に入り,腹腔神経叢Plexus coeliacusと結合している.

 縦隔枝の線維はBraeucker(1927)によれば交感神経幹の神経節とは何も特別な関係がなく,ただそこを貫いてくるものであるという.

 交感神経の腹部からも枝がでて,その一部は腎神経叢Plexus renalisに達するが,大部分は腹大動脈神経叢plexus aorticus abdominalisと上直腸神経叢Plexus rectalis cranialisとに達する.

4. 肺神経叢Plexus pulmonalisへの追加枝.

5. 大内臓神経N. splanchnicus major.第6から第9までの胸神経節はそれぞれ1本の枝を内側かつ下方にだす.それは脊髄神経の性質をもった髄質様の白さを示す枝である(図527,  570, 571).これらの枝は次第に集合して1本のかなり太い神経となる.これが大内臓神経であって,胸膜に被われて椎体の上を下方に走り,そのさい多数の縦隔枝を大動脈神経叢と縦隔神経叢および壁側胸膜の縦隔部とにあたえ(Braeucker 1927),横隔膜の腰椎部を(縦胸静脈とともに)貫いて腹腔に入り,腹腔神経節に達する.横隔膜を貫く少し前にこの神経には内臓神経神経節Ganglion splanchnicum という1つの小さい神経節が接着しており,これは内臓神経の線維の一部を受けとり,細い小枝を大動脈神経叢に送り,またかなり長い1本の小枝がこの神経節をでて横隔膜を貫いて腹腔神経叢Plexus coeliacusに達している.

 大内臓神経はその有髄神経線維を第4から第9までの胸神経の交通枝から受ける.これらの神経線維は交感神経幹に達して,その内側面に沿って下方に走り,早かれ遅かれこれから分れて大内臓神経の根となる.しかし大内臓神経は純粋な脊髄神経ではなくて,交感神経性の線維をも含んでいる.無髄線維の有髄線維に対する割合はRüdingerによれば1:5である.--大内臓神経は一部は(腸の血管への)血管運動性のvasomotorisch線維,一部は(腸壁の筋への)運動性のmotorisch線維より成り,また一部は受容性の線維である.運動性の線維の一部はそれを刺激すると腸の蠕動運動が抑制されるので抑制神経の性質である;しかし別の一部はその興奮によって腸の蠕動運動を促進させる.

6. 小内臓神経N. splanchnicus minor.(図527, 570, 571).これはふつう2根をもって交感神経幹,しかもそれは第10と第11の胸神経節とから発する.その線維の由来は大体に大内臓神経について述べたのと同じと考えてよい.小内臓神経は横隔膜を大内臓神経といっしょに貫くこともあり,あるいはそれより外側で貫いている.何れにせよ交感神経幹よりは内側である.胸腔の中ではときに大内臓神経と合していることもあるが,通常は独立しており,このときはたf結合枝を大内臓神経に送っているのみである.最後に小内臓神経は腎動脈の根の上面と後面を取りまく腹腔神経叢の一部に入り,ここで小さいGanglion renaliaorticum (腎動脈大動脈神経節)と結合している(図571).小内臓神経の1枝は腎枝Ramus renalisと呼ぼれ,直接に腎神経叢に達する.

 この枝は独立して交感神経幹から発していることもあり,そのときにはN. splanchnicus minimus s. imus(最小あるいは最下内臓神経)と呼ばれる.

2. 交感神経系の胸部および腹部に属する神経叢

1. 縦隔神経叢Plexus mediastinalis(Braeucker 1927) (図570)

 これは交感神経幹・大内臓神経・交通枝・肋間神経からでる多数の縦隔枝によって作られる(図570).これは後縦隔Pars dorsalis mediastiniにある諸器官に分布する枝をだすもので,その諸器官には食道(食道枝Rami oesophagiciによる)と壁側胸膜の縦隔部が含まれる.

S.555   

最終更新日13/02/03