Rauber Kopsch Band2.563   

 上頚神経節から上方にでる太い方の枝は内頚動脈神経N. caroticus internusであって,これは内頚動脈に伴なって頚動脈管のなかに入り,そこで内頚動脈を取りまく内頚動脈神経叢Plexus caroticus internusを形成する.この神経叢はいく重にも脳神経と結合している:すなわち

1. 鼓室神経叢 Plexus tympanicusとの1本あるいは2本の結合枝,すなわち頚鼓神経Nn. caroticotympanici(図515).

2. 深錐体神経N. petrosus profundus.これは内頚動脈神経叢の外側枝からでる.それを介して上頚神経節Ganglion cervicale cranialeを翼口蓋神経節Ganglion pterygopalatinumと結合させ,主として灰白線維(無髄)よりなり,節間枝Rami intergangliaresすなわちZwischensträngeの部類に属している.

3. 大浅錐体神経N. petrosus superficialis majorとの1結合枝,これは頚動脈管の内口の近くで大浅錐体神経に接着しており,この神経に沿って後方に走り,顔面神経管裂孔に入り顔面神経に達する.

4. 外転神経N. abducensへの若干の結合枝,これらの枝は外転神経が内頚動脈の外側壁に接して海綿静脈洞のなかを走るあいだにこれに達する.

5. 動眼神経N. oculomotoriusへの若干の結合小枝.

6. 滑車神経N. trochlearisへの1小枝,

7. 半月神経節Ganglion semilunareと三叉神経の第1枝(眼神経)とへいたる細い結合枝.

8. 毛様体神経節Ganglion ciliareの交感根Radices sympathicae.

9. 下垂体Hypophysisへの枝.

10. 内頚動脈そのものへの枝.この枝は内頚動脈の周りに繊細な神経叢を形成し,この血管の諸枝に沿ってすすむ.

4.交感神経の基本構造elementarer Bau des Sympathicus

 交感神経の組立てには本質的な成分,すなわち神経細胞と神経線維のほかに,なお結合組織と血管とが関与している.

1. 完全に出来上がった交感神経vdllig ausgebildeter Sympathicusのなかでは神経細胞はその個体のすべての場所において必ずしも同一の構造をもっているわけでない.たしかに圧倒的に多いのが多極細胞であるが(図574578),しかし双極細胞もあるし,そのうえ単極細胞および無極細胞apolare Zellenも観察されている.突起の数によって交感性のニューロンが決定されるのではなくて,たずその由来によるのである.これらの突起のうちの1つはいうまでもなく神経突起(軸索突起)である.しかしStöhr jr. (1929)によるとほとんどすべての交感性のニューロンにおいては神経突起と樹状突起とを区別することは不可能である(しかし図576, 577を比較せよ).核は多くは1個だけ存在し,それは小さい胞状の典型的な神経細胞核であり,1個あるいはそれ以上の円い核小体をもっている.

 多数の核(2~14個)を有つ神経細胞は精嚢腺神経叢の若干の神経節にみられる(20%).この多核性はすでに胎生後期において存在する.年令がすすむとともに多核性の細胞の数はいっそう少くなってくる.Watzka, M., Anat. Anz. 66. Bd.,1928.

 神経原線維,ニッスル小体(虎斑物質),内網装置Binnengerüstはもちろん交感性のニューロンの細胞体においても証明される.

 クローム親性細胞とその性質を示す小体もまた交感神経において証明されている.

2. 神経線維Nervenfasernは有髄性あるいは無髄性である.有髄性の線維の太さはすこぶるまちまちで,無髄性のものの太さは狭い範囲内で変動する.最も細い無髄線維は二叉に分れており,多くはその表面が全く平滑である.

 神経節のなかで交感性のニューロンが相互のあいだで結合するぐあいは,すでに中枢神経系のニューロンについて説明したのと同じようである(289,  290頁):すなわち1つのニューロンの突起は終末分枝となって他のニューロンの細胞体やその突起の周りに終わっている(図576, 577).Stöhr jr. はこれと反対に交感神経系の合胞体性の構成という見解をもっている.

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最終更新日13/02/03

 

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