Rauber Kopsch Band2.566   

交感神経系における線維の走行
A. 概説(図399, 579, 580)

 規則としてはただ2のニューロンだけが中枢神経と末梢とのあいだの伝導をつかさどる.それは求心性(受容性)にも遠心性(効果性)にもそうなのである.

 遠心性の経路を先ずしらべてみよう.交感神経の1次の効果性ニューロンI. effectorisches Neuronの細胞体は中脳・延髄・脊髄のなかにあり,その神経突起は交感神経の脳脊髄性運動性(効果性)線維とよばれる.

 脊髄ではその細胞体は側柱およびこの後方に続く灰白質の辺縁部にある.その神経突起は前根に伴なってでて,白交通枝を通って交感神経幹に達する(図399).

 中脳と延髄とからおこる交感神経線維は動眼神経・顔面神経・舌咽神経・迷走神経のなかを走る.

 交感神経のこの1次効果性ニューロンの神経突起有髄性である.これは長短いろいろの経過ののちに交感神経幹の神経節あるいは末梢の交感神経節の細胞に終る.それゆえこれらの線維は節前線維Fibrae praeganglionares, Praegangliondre Fasern(Langley)とよばれる.

 交感神経の2次効果性ニューロンII. effectorisches Neuronの神経突起はこれに反して無髄性である.これを節後線維Fibrae postganglionares, postganglionäre Fasern(Langley)とよぶ.これは多くは直接にそれ以上のニューロンの介在なしにその終末領域に達するので,一般に2つのニューロンだけが中枢神経と末梢とを結合することになる,--しかしおそらくは一定の領域には交感性の3次および4次ニューロンが存在するであろう.

[図579]交感神経における線維の走行を示す模型図(A. Köllikerより)

PG 末梢の神経節;Gs交感神経幹の神経節;PK ファーテル層板小体;Rca(白)交通枝;Rcgr (灰白)交通枝;St交感神経幹の幹;g神経節からの線維Ganglienfasernで,交通枝のなかをすすんで,脊髄神経の後枝をへて立毛筋に達するもの;g1神経節からの線維で,交感神経幹の中をさらに走ってゆくもの;g2神経節からの線維で,その起りをなす神経細胞は線維m5の1側枝によって支配されている;g3神経節からの線維で,その起りをなす細胞は交感神経幹の中を下行する脊髄神経の線維m6によって支配され,末梢の神経節のさらに向うで終わっている;g4神経節からの線維で,これは末梢の神経節で起り,それより末梢の方で終わっている;m1脊髄性の運動線維,これは脊髄神経節そのもののなかで終る;m2脊髄性の運動線維,これは交感神経幹の中をさらに進む;m3脊髄性の運動線維,これは[交感]幹神経節の白交通枝Ramus communicans albusから来て,幹神経節と末梢の神経節を通過して,さらに進みいっそう小さい神経節で終る;m4脊髄性の運動線維,これは交感神経幹の中を下行し,[交感]幹神経節を通過して,末梢の神経節で終る;m5脊髄性の運動線維,これは交感神経幹のなかを下行し,幹神経節の中で1本の側枝をだし,この側枝は1個の細胞のまわりに終る;m6脊髄性の運動線維,これは交感神経幹の中を下行し,幹神経節の中で終わっている;m7脊髄性の運動線維,これは交感神経幹の中を下行し,末梢の神経節を通過してさらに進み,いっそう小さい神経節で終わっている;s 知覚性の脳脊髄神経線維,これは両神経節(脊髄神経節と[交感]幹神経節)より末梢で1個のファーテル層板小体PKのなかで終る(ここで始まるという方がよい);s1 知覚性の脳脊髄神経線維,これは交感神経幹の中をさらに進む.--点線=知覚性の脳脊髄神経線維.神経節のなかを通過する黒い線=脳脊髄神経の1次運動線維(節前線維Langley).赤い星印と赤い線=交感神経の2次ニューロンとその神経突起(節後線維Langley).

S.566   

最終更新日13/02/03

 

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