Rauber Kopsch Band2.569   

下行結腸および骨盤内臓に達する節後線維は下腸間膜動脈神経節から発している.なお体幹と四肢の脈管および皮膚(皮膚の腺と筋肉をふくめて)に胸部と腹部の交感神経の節後線維が分布している.

II. 副交感神経系Systema nervorum parasympathicum(図580)

I. 脳部Pars encephalica

1. 中脳部Pars mesencephalica.中脳からおこる節前線維は動眼神経のなかを通り,毛様体神経節の短根をへてこの神経節に達する.その節後線維Postgangliondre Fasernである(JNAでは副交感神経線維がRamiという間違いを起しやすい名でよばれているが,ここではそれをやめて線維Fibrae, Fasernと呼んでおく.(原著註))Fibrae musculares intrabulbares(眼球内部の筋ぺの線維)は短毛様体神経を通って瞳孔括約筋と毛様体筋とに達する.

2. 菱脳部Pars rhombencephalica.延髄の節前線維は顔面神経・舌咽神経・迷走神経に伴なって走る.

 顔面神経とともに走る線維は橋の唾液核Nucl. originis salivatori'us pontis(=中間神経の分泌核Nucl. secretorius n. intermedii)から発し,1. 大浅錐体神経のなかを大浅錐体神経の涙腺線維Fibrae lacrimales n. petrosi superf. majorisとしてすすみ翼口蓋神経節に達する.この神経節からでてゆく節後線維は涙腺にいたり,また鼻腔と咽頭の粘膜に分布する.2. 鼓索神経のなかにふくまれる線維は鼓索神経の腺線維Fibrae glandulares chordae tympaniとよばれ,これは顎下神経節と舌下神経節とに達するのである.この両神経節から発する節後線維は顎下腺と舌下腺,舌の前方部ど口腔底に分布する(図499).

 舌咽神経のもつ節前線維延髄の唾液核Nucl. originis salivatorius medullae oblongatae(=舌咽神経の副起始核Nucl. orig. accessorius n. IX. )から発し,舌咽神経の腺線維Fibrae glandulares n. IX. として鼓室神経と小浅錐体神経とのなかを通って耳神経節に達し,その節後線維は耳下腺に達する(図499).

 迷走神経N. vagusに伴なって走る節前線維迷走神経背側核Nucl. originis dorsalis parasympathicus n. vagiから発し,この神経に支配される諸器官(心臓・肺・胃・辟臓・膵臓・腎臓・腸)の内部にある諸神経節にまで達する.ここから節後線維がはじまる.しかし肺と心臓にはまた胸髄からでる脊髄性の直接線維direkte Fasqrnも来ており(イヌでこのことがBraeuckerにより証明された),腰髄からは腎臓への脊髄性の直接線維がでている(EllingerおよびHirt).

II. 脊髄部Pars spinalis

 脊髄から発する副交感線維は後根を通ってすすむのであって,主として血管拡張作用と立毛作用をつかさどるものである.その仙髄部Pars sacralisは特に大きな意義をもっていて,すなわち仙髄から発する節前線維は第1~第3仙骨神経のなかを進み,直腸神経叢の神経節に達している.その節後線維は下行結腸・直腸・膀胱・生殖器に分布するのである.

 Hirtは諸器官の交感神経線維と副交感神経線維の起始および走行が一目で見当がつくような一覧表を発表している(Schweizerisches med. Jahrbuch 1931).また機能の点に立脚してまとめた1つの表をThörnerがDie med. Welt.1936に載せている.

 

6.交感神経の分布領域における神経終末

A. 概論Im allgemeinen

 BoekeおよびStöhrの研究によって次のことがわかった.それは(特別な終末装置を除いて)交感神経系の終末は交感神経が終るすべての場所で,結合質組織の細胞でも,平滑筋線維,心筋線維,腺細胞,神経細胞でも同じ形をして終るのである.

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最終更新日13/02/03

 

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