Rauber Kopsch Band2.571   

d)血管壁における終末.動脈の外膜には太い線維束よりなる神経叢があり,その線維は多くは無髄である.この神経叢は血管壁のみならず,その近くにある器官(腺細胞,,近くの平滑筋)にも分布している.この神経叢の網の目には終末細網があり,これが血管外膜のすべての細胞を包み,その中に入りこんでいる.中膜と外膜の境のところにはいっそう目の細かい神経叢があり,これから終末細網がでて中膜に達し,その筋細胞を被い,またその内部に入りこんでいる.内膜のなかにも終末細網があり,これは毛細管におけるようにおそらくは内皮細胞の中にも入りこんでいるのであろう.

 静脈の神経支配は動脈のそれと似ている.そのうえ全く筋層をもたない静脈でも終末細網を有っている(図582).

 外膜細胞と内皮細胞だけからなる毛細管壁も終末細網の分布を受けている(図583).

 求心性の血管神経Zentripetale Gefäßnervenの終末は比較的太い動脈の外膜と柔膜内の比較的細い動脈において証明されている.頚動脈洞の外膜のなかには神経性の終末装置があり,これはSmirnowが心房の内膜で記載したものに似ていると思われる.これらがおそらく洞反射sinux-Reflexを仲介するのであろう.

[図583]毛細血管の神経叢

[図584]ヒトの涙腺 終末部の行きづまりの端で 交感神経性の基礎叢を平面的にみたもの(Boeke, Z. mikr.-anat. Forsch., 35. Bd. )

e) 脾臓の中での終末.脾動脈に伴なってこの器官に達した神経叢のつづきは脾臓内で動脈の諸枝に接している.この動脈の枝を取りかこむ神経叢からは多数の枝がでて脾柱内と脾髄内とに達している.脾柱の神経は主としてその平滑筋に分布し,しかもその終り方は平滑筋について上に述べたのと同じぐあいになっている.脾髄の神経はわずかに存在するのみで,ここでは(Regele, Z. Zellforsch.,9. Bd.,1929によれば)脾髄の基礎をなしている細網細胞の内部を通っている.脾臓の被膜も漿膜下神経というべきものを有っている.

f) 各種の内臓における終末.

1. 腺における終末.腺の中に入りこんだ無髄神経線維束は腺体のあいだのところで分枝し,Boeke(Z. mikr.-anat. Forsch., 35. Bd.,1934)によればここで基礎神経叢を形成している.その線維は(耳下腺と涙腺とでは)おのおのの終末部やかなり細い導管に触れているのみでなく各腺細胞に接触しているのである.この神経叢は必ず基礎膜の外方にあって,それからは時にただ1本の神経原線維だけでできている極めて細い線維がその終末部の内部に入り,ここでは腺細胞のあいだを通り,細胞じしんの内部にも入りこみ,そこでごく小さい輪をなして終わっている.また腺体にみられる分枝した筋細胞もその内部に明白なごく繊細な神経網をはっきりと示し,これが基礎神経叢から出ているのである.

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最終更新日13/02/03

 

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