Rauber Kopsch Band2.572   

比較的細い導管もやはり基礎叢で囲まれている.これらの導管の上皮細胞のあいだにはごく細い神経性の線維が豊富に存在して,これらがその細胞の内部にも入りこみ,そこで終わっている.

 これと同じような神経支配がおそらくその他のすべての腺においても存在すると思われる.

2. 食道の上皮内における終末(図587).上皮のすぐ下にある繊細な神経叢から神経線維が発して,その上皮内に入り,ここで分枝している.

3. 胃腸の管Magendarmkanalにおける終末.腸壁のすべての層のなかにはStöhr(Z. Zellforsch., 21. Bd.,1934)によれば神経性の終末細網が存在する.これは平滑筋線維・腺細胞・結合組織細胞・脂肪細胞ならびに神経細胞を“1枚の薄いヴェールのように”包んでいる.ごく細い原線維がこの終末細網からでて,一部はそれが分布する細胞の形質内に入りこんでいる.胃の壁Magenwandでは迷走神経線維と交感神経線維とがアウエルバッハおよびマイスネルの大きな両神経叢の細胞からの突起といっしょになって神経性の終末細網を形成しているに違いない,虫垂WurmfortsatzについてReiser(Z. Zellforsch.,15. Bd.,1932)が同様なことを確かめている.

4. 肝臓における終末.その神経は血管壁および胆管の壁にある神経叢の形をなして肝臓に達している.血管や胆管の分枝に伴なってこの神経叢もますます繊細なものとなる.胆管の上皮の内部には細い上皮内神経線維がある.小葉間結合組織のなかには繊細な神経叢があって,これが肝小葉の表面を被い,線維を小葉内に送りこんでいる.小葉間血管と小葉間胆管の壁の神経叢もやはり同じことをする.肝小葉の内部ではそこに入ってきた神経線維がいく度も同じ太さに2分したり,あるいは小さい側枝をだし,毛細血管の壁と肝細胞索とのあいだにある目の荒い終末網をなしている(図589).この網からは枝がでて肝細胞の内部に入り,そこで終末輪Endöseをなして終る(図590).しかし肝細胞の表面に1つの小板Plättchenをなして終わっていることの方がいっそう多い.(Riegele, Z. mikr.-anat. Forsch.,14. Bd.,1928)

5. 気管における終末(図200, 591).

6. における終末についてはHandbuch der mikr. Anatomie, Bd. IV,1. におけるStöhrの著作を参照せよ.

7. 腎臓における終末.

 その比較的太い神経枝は動脈に伴なって賢門に入る.1本あるいは2本の細い枝が皮質放線動脈の各々について進み,そこではすでに血管壁について上に記したのと同じような関係になっている.また神経の細い枝がすべての輸入細動脈に伴なってすすみ,これにからみついたまま糸球体に入るところまで進む.糸球体そのものおよび輸出細動脈のところでは神経が見られていない.尿細管の基礎膜の上には極めて細い無髄線維のつくる神経網があり,これから小枝がでて上皮のなかに入っている.

8. 膀胱の上皮における終末(図588).

 家兎の膀胱では神経線維が結合組織から上皮に入る.そして上皮のなかでは多少とも豊富な枝分れをしたのちに自由終末をなして終わっている.それらの神経線維はすべてある長さだけ上皮内を切線方向にすすむ.しかしその終末は決して上皮の表層にあるのではなくて深層にあり,細い線維の終末部が深層に向かって曲がって逆行していて,結合組織と上皮との境界の近くで終わっている(G. Retzius).

9. 卵巣における終末(図592).

 神経は卵巣門から入り,血管のあいだおよび血管壁に接して密な神経叢を形成する.これは大部分が無髄線維よりなっている.卵巣の中心部にある神経叢からその周辺部に達する枝が放散してでている.これらの枝は個々の線維にばらばらに分れ,そして1つの密な神経叢を形成する.中等大および大きな卵胞の卵胞膜のなかで細い線維が網をなしており,おそらくこれから枝がでて卵胞上皮のなかに入るのであろう.

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最終更新日13/02/03

 

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