Rauber Kopsch Band2.582   

 --茸状乳頭Papillae fungiformesではLovénが初めて味蕾を見た.ここでも味蕾の存在は散発的で不規則である.そのうえに味蕾が比較的小さくて,上皮の表面にまで達することなく,味蕾の尖から細い管が味孔にまで伸びている.味蕾は茸状乳頭の上面にある.この乳頭にはそのほかところどころに棍状小体も存在する.--口蓋帆Velum palatinumにはとくに口蓋垂の上部に味蕾がみられ,そこでは味蕾はかなり大きい乳頭の表面についている(Hoffmann).少数の味蕾は舌口蓋弓にも食道の上部1/3にもみられる(Schinkele 1942).喉頭の粘膜にあらわれる味蕾状のものについてはすでに述べた.

 

III. 視覚器Organon visus, Sehorgan

 視覚器すなわちOculus, Augeは次のものからできている.

1. 光学的な装置としての眼球Bulbus oculi, Augapfelと,その柄をなす視神経Fasciculus opticus, Augenstiel(視神経Sehnerv).

2. 眼球を保護するもの,すなわち眼球の被い(結膜など)や涙器.

3. 眼球の運動装置としての6つの筋

I. 眼球 Bulbus oculi, Augapfel

 眼球は球に近いかたちで,内容すなわち核と,これを包む被膜とからなる.これが視神経によって脳とつながっている.

 A. 眼球の被膜すなわち壁は,前方の小部分が完全に透明であり,後方の大部分が不透明であって,タマネギの皮のように重なりあった次の3枚の膜がその壁を構成している:

1. 眼球外膜Tunica externa oculiは前方の透明な部分が角膜Cornea, Hornhaut,後方の不透明な部分が強膜Sclera, Lederhautである.

2. 眼球中膜Tunica media oculiは次の3つの部分からなる,後方の最も大きい部分は脈絡膜Chorioides, Aderhautとよばれ,前方の部分が虹彩Iris, Regenbogenhautで,そのあいだのところが毛様体Corpus ciliare, Ciliarkörperである.

3. 眼球内膜Tunica interna oculiは色素上皮層Stratum pigmenti, Pigment-Epithelと網膜Retina,Netzhantからなる.前者は視神経の進入するところから虹彩の瞳孔縁までひろがっており,網膜・毛様体・虹彩の色素上皮層 Stratum pigmenti retinae, corporis ciliaris, iridisとよばれる部分からなる.

 網膜には視部Pars opticaと盲部Pars caecaとが区別される.

B. 眼球の核すなわち内容水晶体Lens crystallina, Kristallinseと水様液Humor aqueus, Kammerwasser(眼房水)と硝子体Corpus vitreum, Glaskörperである.

眼球の形と直径(図605, 606)

 眼球の形が球に近いことはすでに述べた.完全な球形からのずれは,まず第1に角膜の曲率半径(7.75mm)が強膜のそれ(12.70mm)より小さいことによっている.小さい前部すなわち角膜の部分は,大きい後部とのあいだを強膜溝Sulcus scleraeという輪状の浅い溝で区切られている.前部はほぼ正確に球面の一部とみることができるが(後に詳述する),後部はむしろ鉛直方向に少し圧平された楕円体に相当している.あるいは,「角膜と強膜とはいっしょになって1つの中空の球をなし,その球には強膜溝に相当して浅いくびれがある」ということもできる.この球には方位を知る便宜のために,地球の場合と同様に前極Polus anterior, vorderer Augenpolと後極Polus posterior, hinterer Augenpolと赤道Aequator, Aquatorが区別され,さらに極から極へ走る経線Meridiani, Meridianlinienが想定される.そのうち水平および鉛直の経線がとくに重要である.

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最終更新日13/02/03

 

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