Rauber Kopsch Band2.588   

[図610]角膜の固定結合組織細胞 金染色をほどこした角膜小体

[図611]家兎の角膜の基礎神経叢 金染色

 組織学的にみると強膜は線維性結合組織の平たい束が,主として経線方向と赤道方向に走り,たがいに交わり合ってできている.眼球に付着する諸直筋の腱は強膜内では経線方向の線維束に移行し,上下の斜筋の腱は赤道方向のものに移行する.そして何れも同時に深層の方に入ってゆく.強膜の線維束には,とくにその内方の層では弾性線維がたくさんまじっている.線維束のあいだの隙間には細い液細管があって,これは角膜の液細管とつながっている.遊走細胞Wanderzellenのほかに少数の色素細胞Pigmentzellenがあり,これは脈絡膜と接する層でいっそう豊富になる.(ここでも色素は有色人種に多量みとめられる.そして白人では黄色ないし褐色を帯びるが,日本人では褐色ないし黒褐色を呈する.(小川鼎三))強膜の内面と脈絡膜の外面とのあいだには,結合組織板で貫かれたリンパ腔があり,脈絡外隙Spatium perichorioideum, perichorioidaler Lymphraum とよばれる.強膜の外面も1つのリンパ腔に面しており,これは眼球周囲隙Spatium circumbulbare(テノン腔Tenonscher Raum)とよばれる.

S.588   

最終更新日13/02/03

 

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