Rauber Kopsch Band2.591   

3. 毛細管板Lamina capillariumまたはChoriocapillaris(図614, 615)は毛細血管の密な網であって,この網は色素をもたない結合組織の中にひろがり,視神経の侵入部から鋸状縁にまで達している.この毛細管網は脈絡膜動脈からの多数の細い枝から血液をうけ,とくに血管のない網膜の外層の部分を養なう役目をしている.

 網膜の黄斑のところでは網の目がとくにこまかくなっている.毛細血管網から小さい静脈の起るところは,そのかたちが渦静脈を想わせる.この毛細血管は強膜の節状野のところで視神経の毛細血管につながっている.毛細血管網のあいだの組織はごくわずかで,ここには,外膜細胞と遊走細胞だけがある.その間隙は静脈のリンパ路とつづいている.

 毛細血管板とそれより太い血管が集まっている層とのあいだには,こまかい弾性線維網からなる境界層Grenzschichtがあって,ここはたいてい色素をもたない.

4. 基底板Lamina basialis(図615)は厚さ2µまでのガラスのように透明な層で,毛細管板と密着している.時おりこれに2層がみとめられ,その場合には外層は網状ないし格子状の構造をしている.基底板は年をとると肥厚するのが普通で,ところによって石灰化したゆする.

 脈絡膜の神経:長および短毛様体神経が脈絡外隙のなかを前方へ走り,それぞれ角膜・毛様体筋・虹彩への枝に分れる.その途中で有髄および無髄神経からなる細い枝を順々にだして,これらが脈絡外隙のなかで,神経細胞をふくむ神経叢を形成する.脈絡膜じしんに終る神経は,そこの血管に分布するのである.

[図612]脈絡膜の渦静脈(Arnold)×2

a 視神経,h 強膜の後部,c 毛様体筋(渦静脈の前方へのつづきをなす部分を被っている), d 虹彩,1 渦静脈の幹, 2 虹彩動脈

[図613]脈絡膜の動脈(Arnold)×2

a 視神経,c 毛様体筋,d 虹彩, h 強膜の後部,1脈絡膜動脈,2 虹彩動脈,3 毛様体小枝

[図614]毛細血管板 注入による平面標本

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最終更新日13/02/03

 

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