Rauber Kopsch Band2.606   

6. 視細胞層Schicht der Sehzellen(図630, 631, 635).視細胞の核はひとまとまりになって外顆粒層をつくっているが,同じこの視細胞の核のない外方部は棒状および円錐状のものになって,外顆粒層とのあいだを外境界膜によって分けられた核のない1帯をなしている.

α)杆状体視細胞Stäbchen-Sehzellen, Lichtzellen(光の細胞) (図629, 630, 635).それぞれの杆状体細胞は杆状体Stäbchenと杆状体線維Stäbchenfaserと杆状体粒Stdbchenkornとからなる.

 ヒトの網膜の杆状体は長さ約60µ,太さ2µの円柱形をしており,外節Außengliedと内節Innengliedからなっている.

 外節は強く輝いてみえる円柱状の部分で,複屈折性である.内節は微細顆粒性で,単屈折性であり,かるく紡錘状にふくらんでいる.外節は上皮細胞の小皮構造Kutikulargebildeに当り,内節は核より表面のがわにある原形質部に当たっている.外節の基底に直線的に切断されているようにみえるが,これに対して末梢端は円蓋状にもりあがっていたり,階段状に段がついていたりする.強拡大でみると,いくらかラセン状にねじれた1本の縦のすじがみとめられる.これはおそらく色素上皮細胞の突起が接することを現わすものであろう.しかしさらに重要なのはこまかい横縞Querstreifungがあることで,それは外節が高さ0.6µの多数の小円板の積みかさなってできたものであることを示す.これらの円板が1種の結合物質によってくっつけられて外節をなしている.外節にはさらに神経角質Neurokeratinでできた薄い無構造の被いがある.また杆状体の外節には視紅がついている(602頁).それゆえ錐状体だけしかない場所,すなわち中心窩のところには視紅が存在しない.外節の内部物質は皮質より軟かい.そのために中軸糸といったようなものがみられ,これがいわゆるリッターの糸Ritterscher Fadenである.

 杆状体の内節にはしばしば縦のすじがあり,これは外境界膜の線維が籠状に接するためにできている.内節の外方部にはレソズ形の部分があって,そこが線維性の構造を示している.この部分は糸状装置Fadenapparatあるいは杆状体の楕円体Stäbchen-Eltipsoidと呼ばれて,たいていの脊椎動物に存在している.

 杆状体線維はいくつかのコブ状のふくらみをもつ傾向があり,その内方端は1つの小さい棍棒状のふくらみをなして外網状層に着いていて,外網状層の中へは億んのわずか入り込んでいるにすぎない.杆状体線維は端から端までのあいだのどこかで杆状体粒によって中断されている.この粒の位置は外境界膜に近いこともあれば,外網状層に近いこともある.

[図633]網膜の内面における視神経線維の放散 網膜の内面からみる.(v. Michel)

[図634]ある哺孔動物の網膜の横断 クローム銀染色(Cajal)

a 杆状体, d 錐状体, e 杆状体と連絡する双極性細胞,f錐状体に連絡する双極性細胞,r 杆状体に連絡する双趣性細胞の内方突起の分枝, r2 同じく錐状体に連絡するものの分枝. 9, h, i, j, k 神経細胞の突起が内網状層のいろいろな深さのところで分枝している.x 杆状体線維とこれに連絡する双極性細胞との接触, Z 錐状体線維と双極性細胞との接触, s 遠心性神経線維,t ミュレル細胞(放線線維)

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最終更新日13/02/03

 

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