Rauber Kopsch Band2.613   

 大体において,顆粒性の微細な線維があらゆる方向に走って交叉しあい,ところどころに集まって特別の結節点をなしている.線維はそれ以外のところでは盛んに交叉はするが,たがいに結合することはないようである.線維が顆粒状を呈することが著しい.中年になると硝子体線維がつくる骨ぐみは,ある種の溶解のために若い時代よりも少くなる.膜様の線維束もあるにはあるが,これが規則性を示すことはほとんどない.ただとくに周辺部において同心性の線維束がみとめられる.また胎生期の硝子体管Canalis hyaloideusの位置で,硝子体線維の骨ぐみが厚くなってるのがいつも区別できる.

 硝子体管は視神経乳頭のところで少し広くなってはじまり,ここから水晶体の後面まで達する.胎児の眼ではこの管は内径2mmほどであって,硝子体動脈A. hyaloideaという水晶体にゆく重要な血管を容れており,残りは疎な硝子体組織で占められている.新生児の眼ではこの血管がまだ相当残っていて,水晶体の近くにまで達している.この.血管が退化しても,それに伴っていた結合組織が初めのうちはまだ残存している.しかしこれも結局は液化して消失するのである.視神経乳頭のところにだけはこの組織の残りがあって,乳頭陥凹をみたす結合組織床をなしている.子供の眼ではこの残存部がずっと大きくて,硝子体管のなかへ伸びだした高さ2mmまでの栓状物をなし,その底の直径は約1/2mmである.

 G. Retzius, Biolog. Untersuchungen N. F., Bd. IV,1894.-H. Virchow, Fächer, Zapfen, Leisten, Polster, Gefäße im Glaskörperraum. . . . Merkel u. Bonnet, Ergebnisse der Anatomie,10. Bd.,1901.

[図645]成人の水晶体小帯 経線状に切断(G. Retzius,1894)

[図646]後眼房陥凹と小帯隙陥凹 大突起の前端部を通る1断面(Retzius,1894の原図にもとついて描く)

8. 眼球の脈管

a)血管

 眼球の血管は2つの異なった系統に属する.すなわち網膜の血管系と眼球中膜の血管系とであって,両系は視神経の進入部においてたがいにつながりあっている.

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最終更新日13/02/03

 

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