Rauber Kopsch Band2.615   

かくして瞳孔部にひろがった血管網をMembrana pupillaris(瞳孔血管膜)という.これに対して水晶体の赤道から瞳孔縁までを包む血管網の部分はMembrana capsulopupillaris(被膜瞳孔血管膜)と名づけられる.また血管の諸枝が水晶体の後面を包む部分はMembrana capsularis(被膜血管膜)とよばれる.つまり水晶体はある時期には水晶体血管層Tunica vasculosa lentisという血管の被いで完全に包まれているのである.しかしその後一定の順序で各部分が消失し,最後に硝子体動脈の幹(静脈が伴なっている)そのものがなくなるのである.

 網膜の血管とその他の眼球血管との結合はごくわずかにあるのみで(Leber),それはもっぱら視神経の進入部に存在している.

1. 視神経の進入部で脈絡膜動脈Aa. chorigideaeからの2~3本の枝が強膜にはいり,ここで視神経血管輪Circulus vasculosus fasciculi opticiを形成する.この血管輪から多数の枝がでて脈絡膜にいたり,いっそう細い枝が視神経とその鞘にゆく.2. 視神経が脈絡膜を貫くところで多数の細い血管が脈絡膜から視神経にはいり,視神経の毛細管網とつながる.

2. 眼球中膜の血管系

 これは脈絡膜動脈・虹彩動脈・毛様体小枝ならびにそれらに所属する諸静脈・渦静脈・毛様体静脈からなる.(図612, 613. 619, 648, 649を参照).

a)脈絡膜動脈Aa. chorioideaeは眼動脈A. ophthalmicaから4~6本の枝として発し,眼球に達するまでに枝分れして,視神経の進入部で18~20本の枝となって強膜を貫く.この膜を通りぬける前に細い枝を強膜の後半部と視神経の硬膜鞘に送っている.脈絡膜にはいると,そこでひろがって毛細管板Lamina capillarium(591頁)の豊富な毛緬管系をなしている.視神経の進入部でこの血管は視神経血管輪および毛細管板の毛細管を介して網膜血管系とつながっている.また脈絡膜の前方部の領域では,約10本の後方へ走る枝によって虹彩動脈・毛様体小枝・大虹彩動脈輪と結合している.

[図648]眼の血管の模型図(Leber)

水平断,動脈は既静脈は黒.a, a 脈絡膜動脈;b 虹彩動脈;c, c' 毛様体小枝;d, d' 結膜小枝;e, e' 網膜中心動静脈;f 視神経の柔膜鞘の血管;g 同じく硬膜鞘の血管;h 渦静脈;i 小脈絡膜静脈;k, k 視神経にゆく脈絡膜動脈の枝;l 脈絡膜の血管と視神経の血管との吻合;m 脈絡膜の毛細管板;n, n 強膜上を走る動脈と静脈;o 逆行する枝;p 大虹彩動脈輪の横断;p 虹彩の血管;r 毛様体突起とその血管;s 虹彩と毛様体から渦静脈に注ぐ枝.そのすぐ下方で毛様体筋からの枝をうけている;t毛様体筋からの前毛様体静脈の枝;u シュレムの強膜静脈洞.その結合についてはLeberの原著とは少し変えて描いてある.v 角膜の辺縁係蹄網;w 結膜小枝.

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最終更新日13/02/03

 

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