歴史的な偉大な解剖学書
日本人の眼瞼は眼輪筋の前にもうしろにも多少とも脂肪組織をもっている(Adachi 1906).ヨーロッパ人にも眼瞼に脂肪組織があらわれる場合があることはToldt-Hochstetterの解剖学図譜(Wien 1951)の第303図が示している.
眼瞼の皮下組織には内側から眼輪筋の眼瞼部Pars palpebralis m. orbicularis oculiが接している.横の方向に眼瞼を貫く眼輪筋の筋束は,眼瞼縁の近くまで続いている.よく発達した特別な1筋束--リオランの睫毛部Pars ciliaris(Riolani)が後眼瞼縁にまで達していて,後眼瞼縁を眼球におしつけるのに有効に働いている.この筋束の大部分の線維は瞼板腺の導管の前に,小部分はうしろにある.
上眼瞼においては眼輪筋のうしろに上眼瞼挙筋M. levator palpebrae superiorisの腱がひろがっている.幅が広くて厚さの薄いこの腱は,比較的強力なその後(下)部をもって眼瞼板の上縁と前面とについている.この腱の弱い前(上)部は眼輪筋の後面に沿って下り腱毛の毛包のところまできて,細かく分れて眼輪筋の束のあいだを通りぬけ,眼瞼の皮膚に停止している(図652).
[図654]右眼の眼瞼の瞼板腺
後面(結膜面)からみる.(×4) 腺の内容をスダンIIIで染めてある.
[図655]上眼瞼の結膜の断面 瞼板部の上部.(H. Virchow)
[図656]下眼瞼の結膜の断面(H. Virchow)
C 毛細管, E 上皮, P 形質細胞.
最終更新日13/02/03