Rauber Kopsch Band2.623   

 腺胞の壁は多層上皮でできており,その内方の細胞が脂肪変性におちいる.瞼板腺は特殊な形をした脂腺であって,脂肪性の分泌物をだす.

 結膜には次の腺がある:

1. 杯細胞Becherzellen,その数は個体によってまちまちである.

2. 上皮管Epithelröhrenは眼瞼板を被っている結膜固有層のなかへ上皮が短い円柱状の陥入をしたものである.上皮管は2層の上皮で被われ,その上層の細胞は円柱状であり,下層の細胞は丈がひくいか,または扁平である.上層は粘液細胞をある時は多く,ある時は少なくふくんでいる.

3. 管状瞼板腺Glandulae tarseae tubulosae,これは瞼板部の涙腺tarsale Trdinendrüsen(H. Virchow)ともいい,眼瞼板の中にある小さい腺で,マイボーム腺の底と眼瞼板の眼窩縁とのあいだにある.その構造は涙腺と同じで,単層円柱上皮で被われた管状の終末部をもっている.

4. 副涙腺Glandulae lacrimales accessoriae(クラウゼ腺Krausesche Drüsen)は8~20個あって,上下の結膜円蓋にのみ存在する.小さい塊まりをなして集まっており,涙腺と同じ構造で,涙を分泌することは確かとおもわれる.

 結膜下結合組織subkonjunktivales Bindegewebeはリンパ様組織の性質をもっており,リンパ小節がところどころに散在する.これを結膜リンパ小節Lymphonoduli conjunctivales という.

 リンパ小節は結膜円蓋のところにあって,弓状の線をなして並んでいる.ある1例では30個の小節がかぞえられた.しかしこれら特別のリンパ小節を別としても,結膜嚢の壁には遊走細胞が瀰漫性にたえず浸潤している.

 Adachi, B., Mikroskopische Untersuchungen über die Augenlider der Affen und des Menschen (insbesondere der Japaner), Mitteilungen der med. Fakultät Tokyo 1906.-Virchow, H., Mikroskop. Anatomie der äußeren Augenhaut und des Lidapparates in Graefe-Saemisch, Handbuch der Augenheilkunde, Leipzig 1910.

結膜半月ヒダPlica semilunaris conjunctivae (図651, 657)

 半月級嚢の根もとの所にはいくつかの例において硝子軟骨の小板が見いだされている.これはいろいろな哺乳動物で第三眼瞼の支えをなす著明な軟骨板と相同のものである.またヒトの半月ヒダの根もとで何度か観察されたことのある1つのブドウ状の小さい腺はハルデル腺Hardersche Drüseの痕跡であるといわれる.

 半月ヒダの根もとの軟骨片はサルでは必ず存在するもののようである.Giacominiはこの軟骨片を白人で0.73%に,黒人で75%に見いだした.日本人ではAdachiによれば20%に存在する. Bartels(Arch. mikr. Anat., 78. Bd.,1911)は25人の南アフリカ人で12回この軟骨片を見たのである.

[図657]結膜半月ヒダと涙丘 1婦人のものを水平断 (H. Virchowによる)

B 眼球結膜,P 半月ヒダ,Ga 管状腺,Gs脂腺,J リンパ性浸潤,C 涙丘

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最終更新日13/02/03

 

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