Rauber Kopsch Band2.656   

II. 内耳Auris interna, inneres Ohr

A. 骨迷路Capsula ssea labyrinthi, knöchernes Labyrinth

 骨迷路は前庭Vestibulumとよばれる中央の部分と,その前方にある蝸牛Cochleaと,後方にある半規管Canales semicircularesから構成される.前庭には膜迷路に属する2つの小嚢がある.残りの部分は,骨性の蝸牛のなかに膜性の蝸牛管Ductus cochlearisがあり,骨性の半規管のなかに膜性の3つの半規管があることは名前を見ただけでわかる.

 内耳神経および迷路の脈管をみちびいている管が内耳道Meatus acusticus internusであって,この内耳道は骨迷路と密接なつながりをもっている.順序としてまず内耳道をしらべてみよう.

1. 内耳道Meatus acusticus internus, innerer Gehörgang(図687, 688)

 内耳道は側頭骨の錐体乳突部を貫いて外側へ向かって伸びている管で,内耳孔Porus acusticus internusではじまり,約0.7~1cmの短い経過ののちに内耳道底Fundus meatus acustici interniでゆきづまりになっている.内耳道に向かった内耳道底の面は横稜Crista transversaという水平方向の1本の隆線によって,上方の小さい領域と下方の大きい領域に分れている.

 上方の領域には前内側に寄って顔面神経管口Introitus canalis n. facialisがある.その外側には1群の小さい孔があって,前庭神経の大部分の線維束がここを通っている.この小孔群の存在する領域を卵形嚢膨大部[前庭]Area vestibularis utriculoampullarisとよぶ.

 下方の領域はいっそう広くて,蝸牛野Area cochleaeとよばれる前方の領域にはラセン状の1つの帯がみられる.ここには多数の孔が渦巻き状に並んでいてラセン孔列Tractus spiralis foraminosusとよばれ,蝸牛神経の線維束がここを貫く.ラセン孔列の後端に隣って1群の小さい孔があり,球形嚢[前庭]Area vestibularis saccularisとよばれる1領域をなしている.また下方の領域の後方3mmほどのところに,直径約1/2 mmのかなり大きい孔がたった1つあいている.これは単孔Foramen singulareとよばれ,前庭神経の後膨大部神経N. ampullae posteriorisが通る孔である.

[図687]新生児の左の側頭骨錐体部

[図688]内耳道底 左の側頭骨(×3)

S.656   

最終更新日13/02/03

 

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