Rauber Kopsch Band2.664   

前者は前庭の前縁のところにあり,後者は骨性の蝸牛ラセン管の頂のところにあるからである.これらの両端のあいだの蝸牛管は直線的に伸びているのではなくて,骨性のラセン管の構造に従って,せり上りながらラセン状に回転している.前庭盲端もまっすぐな管の部分をなさず,ほぼ半円をえがいて外方から内方へまがっている.蝸牛管は前庭盲端の近くで,結合管Ductus reuniensという短い管によって球形嚢につながっている.神経終末領域は細長い1つの帯をなして隆起している.これがラセン器Organon spirale,いわゆるコルチ器官Cortisches Organである.ラセン器は蝸牛管の全長を貫通し,したがって蝸牛管と同様にラセン状にまいている.幅はせまいがかなり長さがあるために,ラセン器は驚くほど多数の神経線維の終末部となっている.蝸牛管は全体で2 1/2~2 3/4回転しており,長さは28~30mmである.

[図700]第2回転のところで蝸牛管を横断してかなり拡大した図(×50) 図686を参照せよ.

 以上述べたことから分るように,膜迷路のすべての部分はたがいに開放性につづいているのである.つまり蝸牛管の頂盲端から,内リンパ嚢や半規管の最も遠い端ばしにいたるまで,道が開いて通じている.

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最終更新日13/02/03

 

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