Rauber Kopsch Band2.665   

この特有なかたちをした管系の中にふくまれる液体を内リンパEndolymphaとよんで,膜迷路の外面を洗う液体,外リンパPerilymphaと区別している.後者は迷路のリンパ路に属するものである.

 いままでに述べた6つの神経終末領域に内耳神経の諸枝が到達している.

C. 迷路の微細構造

1. 前庭と半規管

 球形嚢・卵形嚢および3つの半規管の壁は全体として薄く,平衡斑と膨大部稜のところだけがかなりの厚さを示している(図701, 705).平衡斑では厚さが 0.15~0.2mmである.壁はどこでも皮膚の場合と同様に上皮性の部分結合組織性の部分とからなっている.この2つの部分は基底膜Grundhautというガラスのように透明な層によって境されている.基底膜につついて網胞をふくむ線維性結合組織の層があり,これは場所によって厚さがまちまちである.この層には弾性線維もふくまれ,球形嚢・卵形嚢・半規管にゆく脈管や神経が通っており,また上皮層を周りのものと結合する役目をもなしている.平衡斑と膨大部稜では結合組織の内層(基底膜に接する層)がはなはだ細胞に富んでいる.これに対して外層は次第にゆるくほぐれて,線維束が網のような配列を示す.膜半規管では基底膜がすこぶる厚く,ここでは基底膜が壁の主成分をなしている.

[図701]球形嚢斑の辺縁部 (×400)

図の両片のあいだの白いすきまは斑のかなり大きい部分を除去してあることを示す.

 上皮はどこでも単層で,一般に丈が低い.ただ一定の場所に限って丈が高くなっており,とくにそれは平衡斑と膨大部稜とで著しい.ここでは上皮が神経上皮Neuroepithelとなっている.

 膨大部稜の端は円柱上皮によってくまどられている.そのため神経上皮のまわりに半月形の縁が生じている.膨大部稜に向い合った1本の線条部にも円柱細胞がある.半規管の凸側の壁を走る1本の線条(いわゆる縫線Rhaphelinie)に沿っても円柱細胞がある.ここでは丈は低いけれどもほつそりした上皮細胞が密集している.

 平衡斑および膨大部稜の神経上皮には有毛細胞糸状細胞という2型の細胞がある(図702).糸状細胞Fadenzellenは支持細胞Stützzellenともいい,基底膜から上皮の表面まで達する細長い細砲で,上下の両端が多少とも太くなっている.核は下端の近くか,それより少し高いぐらいのととろにある.

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最終更新日13/02/03

 

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