Rauber Kopsch Band2.675   

 細胞を縦にみる(G. Retziusによる,多少改変)

[図712]網状膜の一部と柱細胞の頭板(Retziusの図を利用)

[図713]1個の外有毛細胞 強拡大(Retzius)

5. 内および外有毛細胞

α)内有毛細胞innere Haarzellen(図710, 712, 714)

 内柱の前庭階がわの斜面の上に1列にならんでいる細胞で,外有毛細胞よりいくらか短い.その下端部は太くなって,かどがとれて円くなっており,大きい球形の核がここにある.また自由端面は卵円形であって,内柱の頭の内方への突起によって,側方と内方から抱かれている.今のべた内柱の頭の突起は,その自由端がたがいにつながり合っているので,おのおのの内有毛細胞の自由端面をとりかこんで固定する多数の枠が生じている.内有毛細胞は太くて,その2個が内柱の3個に当たっている.細胞体は新鮮な状態では細かい顆粒を示すが,固定標本ではさらに顆粒性がつよくなることが多い.楕円形を呈する端面(端盤Endscheibe)には,その長軸に沿って,しかも外方へ軽く凸の弧をえがく毛線Haarlinieがあり,そこに毛Haareすなわち小棒Stäbchenが3~4列のたがいに平行したまっすぐな列をなして生えている.毛線上にある感覚毛の数は,蝸牛の第1回転で41~44本,第2回転で64本である(Held) (図714).感覚毛は剛くて輝いており,端盤の上に垂直に生えている.ただし端盤の面は網状膜の面に一致しているから,細胞の長軸方向に対して垂直ではない(図710).内有毛細胞の小棒は外有毛細胞の小棒の1倍半の長さのことがふつうである(Retzius).内有毛細胞の下端は太鼓のバチのように太くなっていて,基底板に達することなく,内柱の高さの半分ほどのところで終わっている.内有毛細胞の外方の面は内柱に接しているが,内方の面と下端にはラセン溝の上皮細胞が近寄っている.この上皮細胞は内被蓋細胞innere Deckzellenとよばれ,多層をなしている.その深層のものは特異な変化をして異形の細胞になっており,そこでは上皮細胞間腔が広く発達している.

β)外有毛細胞äußere Haarzellen(図710, 712714)

 外柱細胞とダイテルス細胞のあいだにあり,多くの点で内有毛細胞と一致している.

S.675   

最終更新日13/02/03

 

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