歴史的な偉大な解剖学書
過度の脂肪発達としてはホッテソトットの女のいわゆるSteatopygie(脂肪の臀の意)がある.これは臀部が脂肪のため巨大に発達したもので,寛骨部や大腿部にまでも及んでいる.
しかし全身どこの皮下にも脂肪があるわけではない.若干の範囲にわたって皮下に脂肪のないところや,ごくわずかしかないところがある.眼瞼・陰茎・陰嚢・陰核・小陰唇などがそれである.(日本人では眼瞼に少量の皮下脂肪がある.(小川鼎三))外耳・鼻・口唇にも皮下脂肪がわずかしか存在しない.
皮下組織が主として平滑筋からなる場所がいくつかある.まず陰嚢がそれで,そこでは肉様膜Tunica dartos, Fleischhautという名をもっている.さらに陰茎や会陰の前部・乳頭・乳輪でもそうである.
皮下の特別な構造としては皮下[滑液]嚢Bursae subcutaneaeがある.これは皮膚の内面が骨や軟骨の突出部と接して,こすれたり圧されたりする場所にある.
皮下組織の中にあるかなり大きな腔所で,単一のこともあり,いくつかの部屋に分れていることもあり,その内部に滑りやすい液体がはいっている.壁は弾性線維をまじえた結合組織でできている.またその形は扁平で円いかたち,または楕円体状である.
[図727]ヒトの足底の皮膚の断面 (概観図)
皮膚小稜の方向に垂直にきつてある.
[図728]表皮の角化しつつある部分
ヒトの足底の皮膚.
最終更新日13/02/03