Rauber Kopsch Band2.696   

これには2種があって,両種とも神経細胞をふくむ本当の神経網をつくっている.第1種のものには4つまたはそれ以上の網が区別される.すなわち網状層内に1つの網,乳頭層内に中間網および上皮下網というべきもの,それから上皮細胞間に第4の網がある.

 Leontowitschは皮膚の有髄神経に3つの型を区別している.第1型では線維が1連の細い側枝を出したのち髄鞘を失い,何本かり静脈瘤状を呈するはだかの原線維に分れる.そしてその瘤のように膨らんだところはいろいろな大きさの神経小板(これは人工を加える前から確かに存在する)をなしているのである.

 Leontowitschは乳頭層と網状層のながで神経細胞を見ることが決して珍しいことでなかった.この神経細胞は染まりの淡い線維や有髄線維の集りのなかに囲まれていた.

[図737]表皮のすぐ下にある自由神経終末(Dogiel)

[図738]ヒトの皮膚の血管乳頭における無髄神経線維の分枝

(Simonelli, Internat. Monatsschr. f. Anat. u. Phys., 31. Bd.,1914)

b)真皮内の小体性神経終末

 これに属する終末小体は1. マイスネルの触覚小体,2. クラウゼの棍状小体陰部神経小体である.

1. マイスネルの触覚小体Corpuscula tactus(Meissneri),Meissnersche Tastkörperchen(図727, 739, 740, 755).

 Meissnerによって1852年に発見されたもので,乳頭層の乳頭のなかで多くはその先端部にあり,とくに手と足およびそれらの指の屈側面に数が多い.これにくらべると皮膚に毛のはえているところには少く,手と足およびそれらの指の背側面にもわずかしかない.乳頭の皮膚・眼瞼の自由縁・爪床・口唇縁・舌尖・陰核にも少数ながら散在している.

 Meissnerは1成人において示指の末節の掌側面の皮膚1平方ミリメートルについて約23個の触覚小体を見いだした.同様に中節では9個,基節では3個,第5中手骨の上を被う手掌の皮膚では1~2個,足の母指の末節の底側では7個,足底の中央部では1~2個であった.前腕の掌側面では平均して36平方ミリメートルに1個の割合で触覚小体がある.手掌ではこの小体の長さが110~116µ,幅と厚さが45~60µである.どの乳頭も触覚小体をもっているのではないから,神経乳頭すなわち触覚乳頭Nerven-od. Tastpapitlenと血管乳頭Gefäßpapillen(図755)とが区別される.しかし触覚乳頭もやはり血管をもっているのである.示指の末節においてMeissnerは400の乳頭のうち108の触覚乳頭を見いだした.

 触覚小体の形は楕円体状で,ガラスのように透明で核をもつ薄い結合組織の被膜Bindegewebshülleと,特異な性状の内棍Innenkolbenおよびこの小体内にはいりこむ神経線維とからできている.

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最終更新日13/02/03

 

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