Rauber Kopsch Band2.700   

この小体はとくに陰核と陰茎亀頭に多い.その分布する範囲は乳頭の基部から粘膜下組織までで,すなわち粘膜の比較的深層にある.乳頭内または乳頭の近くにある同じような構造の小体は,それよりいっそう深層にある陰部神経小体に対して,陰部の棍状小体Endkolben der Genitalienとよばれる.なおまた乳頭内にあって細長い形のものが陰部の触覚小体である.つまり豊富な神経分布のために,本質的には同じ種類に属する数多くの終末小体が,いろいろな段階をなして配置されているのだということができる.

 ヒトではこの小体は球形または楕円体状で,直径0.15~0.2mmである.ときには「くびれ」がその形に変化をおこして,ソラ豆・クローバの葉・クワの実などの形をした小体がみられる.触覚小体においても,より稀ではあるが似たようなことが起る.

 そのほかの棍状小体は眼球結膜・鼻粘膜の呼吸部・口腔粘膜とくに舌乳頭・口唇の皮膚・喉頭蓋・直腸の肛門部のほか,(Stöhr jr. によれば)柔膜Pia materにも存在する.これらの棍状小体は粘膜の表層の結合組織内にあり,この点では皮膚の触覚小体と一致するのである.棍状小体は眼球結膜の角膜縁のところに最も高い頻度に存在し,ここで最もよく研究されている.ヒトの棍状小体はサルのそれと同様にほぼ球形で,直径は22~98µである.そのほかの哺乳動物ではこの小体は多くの場合かなりの長さをもっている.

 両小体ともにその被膜は触覚小体の場合と同じように神経周膜のつづきでできている.内棍は一種の膠様質のもので,その周辺部には結合組織細胞があるらしい.有髄神経線維が1本またはそれ以上はいってきて,内棍に入る前に髄鞘を失い,内部ではなはだ豊富に枝分れして密な網を形成している.

 マイスネルの触覚小体と同様に,これらの小体からも何本かの神経糸が出て,その一部は上皮内に入ってボタン状のふくらみに終り,残りの糸は同じ型の終末装置をたがいに結合することにあずかっている.

[図742] 外陰部の皮膚にある知覚神経終末の模型図(A. S. Dogiel).

b 陰部神経小体,c (クラウゼの)棍状小体,d マィスネル小体, e 神経終末装置を結びつける神経糸,f 上皮内にいたる神経糸,g 上皮細胞間の神経網,h ボタン状のふくらみに終る神経糸,E 上皮,S 真皮.

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最終更新日13/02/03

 

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