Rauber Kopsch Band2.701   

 外陰部の皮膚の有髄神経線維は一部はこの終末装置に終る.また一部は髄鞘を失ってから上皮内に入り,ここで分枝して上皮細胞にまつわりつく日の細かい神経網をなし,若干の小枝はボタン状のふくらみをもって終わっている.

 上に述べた3種の終末装置を考えるにさいしていっそう単純な構造をしめす鳥のグランドリ小体Grandrysche Körperchenをみることがかなり有効であったし,また今日でもなお役に立つのである(図743, 744).この小体はGrandryによってLamellirostres(板嘴類)(游禽類し,ガチョウ・カモ・アヒル・ガン・オシドリ・ハクチョウなどをふくむものである.(小川鼎三))のクチバシの皮膚と舌に,はじめガチョウとカモで見いだされた.この小体は長さ67µ,幅45µで,上に述べた器官の結合組織のなかで,その表面を被う上皮の近くに存在する.結合組織性被膜の1層に包まれていて,水泡状で明るい,たいてい2個の半球形の細胞(被蓋細胞Deckzellenまたは緩衝細胞Pecfferzellen)からなっている.この小体に来ている有髄神経線維は,両細胞の向いあわせになった平らな面のあいだに終末分布をなしている.この終末分布は触覚盤Tastscheibeまたは終末盤Endscheibeとよばれ,うすい円形の板で,はいってきた軸索はここで枝分れをして,豊富な網をつくるのである.(Van De Velde, Internat. Monatsschr. f. Anat. u. Phys.,1909).緩衝細胞とこれにともなう触覚盤は皮膚の表面に常に平行の位置にある.緩衝細胞が3つまたはそれ以上, 柱のようにかさなって,触覚盤もそれに伴なって増しているところの複合性のグランドリ小体もある.

[図743, 744]成長したカモのグランドリ小体(Boeke,1926による)

 図743は表面と平行した方向に切ってある. 図744は横断.

 

C. 皮下組織における神経終末
a)皮下組織内の自由終末

 皮下組織のなかに樹状に枝分れした終末のあることがDogielによって記載された.

b)皮下組織内の小体牲神経終末

1. ファーテル・パチニの層板小体Corpuscula lamellosa(Vateri, Pacini),Vatersche Körperchen(図727,  745747)

 B. Vaterによって1741年に見いだされ,1842年にPaciniにより再発見された.

終末小体としては最も大型のもので,楕円体状で,その一方の極が1本の有髄神経線維およびその鞘と結合している.

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最終更新日13/02/03

 

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