歴史的な偉大な解剖学書
比較的大きいものは長さ2~3mm,太さ1~2mmもあるが,最も小さいものは長さ0.2~0.8mmしかない.この小体は皮膚や粘膜ばかりでなく,体の深部にもたくさん存在し,その分布が極めて広い.したがって表在性のものと深在性のものを区別することができる.
a)表在性のものは皮下結合組織にあって,とくに手と足の指の屈側の神経領域, ならびに手掌と足底の神経に多くみられる.
Herbstによるとこの種の小体は手の全体に608個ぐらいある.手背や足背にもないわけではないが,そこでは数が少くて大きさも小さい.さらに次の場所でこの小体が見いだされている.腕や頚の皮膚の神経.男の乳頭の神経(4~5個,W. Krause).女の乳腺の下の層(Langer).陰茎背神経および陰核背神経,大陰唇,恥丘(これら4つの場所では1側に100個以上,Schweigger. Seidel, Rauber).精索(挙睾筋膜の外側に,Rauber).陰嚢の皮下組織(肉様漠の筋束によって部分的に編み包まれている,約50個,Rauber).会陰の皮下組織(1側に5個, Rauber).なおファーテル小体の分布についてはJ. Hartenstein:Die topographische Verbreitung der Vaterschen Körperchen beim Menschen. Dorpat,1889を参照せよ.
b)深在性のファー一テル小体は実にいろいろな場所にみられる.
深部では次の諸所に散在している.
α)腹腔神経叢の領域,ここでは特に脾神経叢と上腸間膜動脈神経叢との諸枝にあり,膵臓の後方の結合組織のなかには最も多数存在する(Genersich).ネコの腸間膜にこれに相当する小体があることは,かなり古くから知られていた(Lacauchie, Henle, Kölliker).またネコの膵臓や家兎の結腸間膜にも観察されている.β) ヒト1の横隔神経,この神経が胸膜と心膜のあいだを通るところにある(Rauber).
[図745] 皮膚の神経終末小体の位置関係
表皮は除いてある(塩化金染色,Ruffini)
最終更新日10/08/31