Rauber Kopsch Band2.703   

γ)眼窩下神経に(Hyrtl),δ)肋間神経に(Cruveilhier),ε)陰部神経に(Kölliker),ζ)陰茎海綿体に(Klein),η)前立腺に,θ)尾骨動脈糸球のまわりに(Luschka),ι)大腿動脈に接して(W. Krause),κ)その他の諸血管に接して(Thoma),λ)膝神経節の近くに(W. Krause).

 層板小体が深部でかなり集中して存在するところは関節骨膜層arthroperiostales Stratumであって,ここには何千という小体があって(Rauber),豊富さにおいては皮下組織に勝るとも劣らない.すでにCruveilhierが関節の神経に層板小体を見いだしている.さらにHenleとKöllikerも関節神経と骨神経にこの小体を見ている.その存在部位は一部は骨膜内に,一部は線維性の関節包の中またはそれに接してあり,関節靱帯にも接している.さらに骨格筋の結合組織性の被膜や中隔にみられるほか,ところどころ筋肉の中にまでも存在する(Rauber).下腿の上半部で脛骨神経の神経上膜に,小さい層板小体がたびたび見いだされた.

 筋と関節(滑膜嚢)ではなお別の知覚性神経終末がある.筋にみられるものはロレの神経小団Rolletsche Nervenschollenとゴルジの腱紡錘Golgische Sehnenspindeln(第I巻図478参照),関節にあるのは関節神経小体Corpuscula nervorum articularium Gelenknervenkörperchen(Rauber, W. Krause)である.後者は棍状小体に近いものであるが,結合組織細胞がいっそうたくさんある点が特徴をなしている.これら両群の知覚終末は層板小体の関節骨膜層とともに,それらが分布する器官の知覚に関係し,同時に運動感覚をつたえるのにも役だっていることは疑いないところである.

 層板小体は次のものからできている:1. これに到来する有髄神経線維,2. 内棍Innenkolben,3. 結合組織性の多数の嚢すなわち層板Lamellen(図746).神経線維はシュワン鞘と原線維鞘のほかに,その小体が属する神経小幹から続いて来ている神経周膜性のうすい膜(Perineurale Häutchen) (その数は一定しない)をもっている.これらすべての鞘とそれに包まれる神経線維とがこの小体のStielをなしている.そしてこれらの鞘が次第に開いて液体をふくむと,小体の層板が生ずるのである.層板の数は大きい小体では60にも達する.層板はいわゆる外棍Außenkolbenをなしている.

 嚢の構造についてはKeyとRetziusの研究が解決をあたえた.それによると外棍の全体め骨ぐみをなしているのは,神経周膜性層板Perineurallamellenのふくらんだものである.それぞれの嚢は,ふくらんだ神経周膜性層板の薄い2枚の境界膜でできていて,せまい腔隙をなしている.この隙間は適当な方法でたやすく広げることができる.2枚の境界膜には核があって,これは内皮性の境界膜に属している.したがってふくらんだ神経周膜性層板が実際に嚢をなしているのであって,一見したところ嚢間腔にみえるところが実は嚢腔なのである.本当の嚢間腔は微細なすきまである.嚢腔は液体のほかに,輪走および縦走する多くの結合組織原線維,それから少量の弾性線維を含んでいる.穿刺によって嚢内を空にすることができる.

 内棍は小体を直線状に貫き,あるいは先のところでまがっている.2~3本の腕に分れていることもある.その端からしばしば1つの索がさまざまな距離だけ伸びている.これは層板間靱帯Ligamentum interlamellareとよばれる(図746).

[図746] ネコの腸間膜の層板小体

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最終更新日10/08/31

 

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