Rauber Kopsch Band2.725   

また内層バクスレイ層Huxleysche Schichtとよばれ,単層の有核細胞でできている.両根鞘の内面は根鞘小皮Cuticula vaginae, Scheidenkutikulaによって閉ざされている.これは毛小皮とむかいあっており,構造もそれと同じである.

 皮膚の表面に近いところで毛包内へ脂腺すなわち毛包腺Talg-od. Haarbalgdrüsenが開いている(図770).毛包は脂腺の付着部のすぐ下方でいちばん細くなっている.ここが毛包頚Collum folliculi piliであって,毛の神経終末部としてとくに重要なところである.毛包は頚の下方ではまた広くなり,立毛筋Mm. arrectores pilorum(すなわち毛包筋Haarbalgmuskeln)の付くところはとくに広い.それから毛球の上方でまた少し細くなって,毛球のところは毛包の最も広い部分となっている.毛包は脂腺の付着するところより上方では毛包の開口まで広がってゆく.

 毛を横断してみると,その毛のはえていた体の個所により,また個体や人種によってさまざまな差異がみられる.大きさがちがうとか,まるいか卵円形か,平滑か溝がついているかなど.毛の弯曲状態もこれに関係している.毛は人種の区別にある程度の役割を演じる.E. Schmidtにしたがって毛の形を次の6型に分けるのが民族学には都合がよい.すなわち剛い毛straff,滑かな毛schlicht,(以上の2型と波状毛のごく不完全なものとを総称して直毛という.日本人の頭髪の92%までが直毛である.(小川鼎三) )波状の毛wellig,まがった毛lockig,巻毛kraus,うずまき毛spiralig gerollt.

[図775]毛の方向(Voigt)左半は体の前面,右半は後面.

[図776]毛流の種類

1 放散点,2 集中点,3 散開流,4 集合流,5 毛十字,6 毛渦.

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最終更新日10/08/31

 

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