Rauber Kopsch Band2.731   

触覚毛の型から最もはなれているのは陰毛肛門部の毛ならびに腋毛である.これらの毛はむしろ転子のような役目をしている.2つの皮膚面がすれあうとこうの毛はいずれもこの働きをもっている.もっともまつ毛は狭められた眼瞼裂の格子をなしていて,そのすきまを光線はよく通るが,有形物はごくこまかいものしか通ることができない.かくしてまつ毛は小さい昆虫やほこりなどを防ぐ重要な役目をなしている.鼻毛や外耳道の毛もこれと同じような働きをしており,その位置と方向は外から物がはいってくるのを妨げる一方,出てゆくものがたやすく出られるようになっている.たいていの動物では毛が体温調節器として最も重要な作用をしているが,ヒトでは頭毛とひげだけがこの働きをもっているにすぎない.なお最後に毛は装飾物として役だっている.とくに頭毛とひげがそれである.ヒトではこういう大きい毛は自然陶汰により体表の大部分で消失し,ただ一定の個所でのみ,やはり自然陶汰によって強く発達しているのである. 

 Bischoff, C. W., Histologische Untersuchungen Über den Einflußdes Schneidens der Haare auf ihr Wachstum. Arch. mikr. Anat., 51. Bd.,1898. 毛を刈ることは毛の生長におそらく何の影響をもおよぼさない.--Brandt, A., Über die sogenannten Hundemenschen, bzw. über Hypertrichosis universalis, BioL. Zentralbl.,17. Bd.,1897.--Über Mannweiber(Viragines). Biol. Zentralbl.,1897.--Günther, M. Haarknopf und innere Wurzelscheide des Saugetierhaares. Dissertation Berlin,1895.

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最終更新日10/08/31

 

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