087
- 087_01【Greater wing of sphenoid bone大翼(蝶形骨の) Ala major; Ala magna (Ossis sphenoidalis)】
→(蝶形骨の大翼は蝶形骨体後部の外側から前外側方へ翼状にひろがる部分である。3面および3縁を有する。上面は大脳面といわれ、凹面をなして中頭蓋窩の一部をなし、指圧痕、脳隆起、動脈溝、静脈溝が認め等えっる。この面で大翼と体の結合部近くに前内側から後外側に向かって三つの孔、すなわち正円孔、卵円孔、棘孔が並ぶ。正円孔は上顎神経、卵円孔は下顎神経、棘孔が並ぶ。正円孔は上顎神経、卵円孔は下顎神経、棘孔は中硬膜動脈および下顎神経硬膜枝の通路である。外側面は上・下の2部から成る。上部は側頭面といわれ大きく側頭窩の底をなすが、側頭加療より下内方部は側頭下面といわれ小さく側頭下窩の上壁の大部分をなす。内側面の大部分は眼窩面といわれ、ほぼ菱形をなし眼窩外側壁の形成にあずかる。その下方には上顎面があり、翼状突起に前面とともに翼口蓋窩に面し、ここに正円孔が開口する。なお眼窩面と上顎面の境は下眼窩裂の後縁をなす。上縁は前方で前頭骨と結合する短い前頭縁と、後方で頭頂骨と結合する短い前頭縁といわれ、また下部は遊離縁で下眼窩裂の上縁の一部をなしている。後縁の外側部は側頭骨鱗部と結合し鱗縁といわれ、その内側部は側頭骨錐体との間に蝶錐体裂をつくる。この裂の外側部に斜走する耳管溝がある。後縁の最後端は角をなし、そこから蝶形骨棘という小突起を出す。なお後縁と側頭骨岩様部との間に蝶錐体裂があるが、その外側部に斜走する耳管溝があり、ここに耳管軟骨をいれている。耳管孔は翼状突起根部の舟状窩につづいている。)
- 087_02【Coronal suture冠状縫合 Sutura coronalis】 Suture between the frontal bone and the two parietal bones.
→(前頭鱗と頭頂骨前頭縁の間の鋸状縫合で、頭蓋冠の前部を横に冠状に走る。この縫合は蝶形骨大翼と前頭骨との間に横たわる蝶前頭縫合に合流する。)
Ingrassia's process
- 087_03Ingrassia's process【Lesser wing of sphenoid bone小翼(蝶形骨の) Ala minor; Ala parva (Ossis sphenoidalis)】
→(蝶形骨体の前端の両側から左右に向かって翼状に延びるほぼ三角形の部分で、その先は細くとがっている。小翼の前縁は前頭骨の眼窩部と縫合するため鋸歯状で、その正中の小部分は篩骨の篩板に接する。前根と後根の2根を有し、この両根の間に視神経管がある。前縁は鋸歯状をなすことが多く、前頭骨の眼窩部と結合する。後縁は遊離縁をなし、その内側端に視神経管の後外側から後内側に向かう前床突起がある。上面は平坦で頭蓋底のうちで指圧痕、脳隆起などきわめて少ない部分である。また前頭蓋窩の後部を形成し、内側では蝶形骨隆起に移行する。下面は大翼眼窩面との間に上眼窩裂を形成している。)
- 087_04【Sphenofrontal suture蝶前頭縫合;蝶骨前頭縫合 Sutura sphenofrontalis】 Suture that gradually ascends posteriorly along the lateral aspect of the cranium, joining the greater wing of the sphenoid and the frontal bone. Interior cranium: suture that joins the frontal bone and the lesser wing of the sphenoid.
→(蝶前頭縫合は頭蓋の外側面で、蝶形骨大翼と前頭骨の間を孔へゆるやかに登る縫合線。頭蓋内面では、前頭骨と蝶形骨小翼の間にある。)
- 087_05【Cribriform plate of ethmoidal bone篩板(篩骨の) Lamina cribosa (Ossis ethmoidalis)】 Horizontal, elongated bony plate located in the median plane that forms the boundary between the nasal cavity and the anterior cranial fossa.
→(篩板は殆ど水平にあるはなはだ薄い骨板で、前頭骨鼻部の篩骨切痕にはまり、後端は蝶形骨隆起の前縁に接する。嗅神経のうち、内側の孔を通る神経線維は鼻中隔、外側の孔を通るものは鼻腔側壁より起こる。なお内側列最前端の大きい孔は眼窩から篩板の上に出た前篩骨神経が鼻腔に入る通路である。)
- 087_06【Orbital part of frontal bone眼窩部(前頭骨の) Pars orbitalis (Os frontale)】 The part that forms the roof of the orbit.
→(前頭骨の眼窩部は左右にあって眼窩上壁の大部分をつくる薄い骨板である。両側の間に馬蹄形の大きい篩骨切痕があって、ここには篩骨の篩板がはまる。眼窩部の上面は前頭鱗内面のつづきで大脳をのせるが、全体としてふくれ上がり、脳隆起および指圧痕がとくに著しい。)
- 087_07【Fronto-ethmoidal suture前頭篩骨縫合;篩骨前頭縫合 Sutura frontoethmoidalis】 Suture in the interior of the cranium that joins the ethmoidal and frontal bones.
→(前頭篩骨縫合は前頭骨と篩骨の間。)
- 087_08【Squamous part of frontal bone前頭鱗(前頭骨の) Squama frontalis】
→(前頭骨の前頭鱗は額の骨格をつくり、殆ど垂直に立つ鱗状の部で、その外面はふくれ高まり、内面はくぼむ。これに外面、側頭面および内面の3面がある。)
- 087_09【Frontal sinus前頭洞 Sinus frontalis】 It can extend beyond the squamous part of frontal bone into the orbital part of frontal bone. It opens below the middle nasal concha above the sphenoidal sinus.
→(前頭洞は眉間の辺りにある副鼻腔をなす空洞。篩骨漏斗により同側の中鼻道に連なる。)
- 087_10【Medial plate of sphenoid; Medial plate of pterygoid process; Medial pterygoid plate内側板(蝶形骨翼状突起の) Lamina medialis (Processi pterygoideus ossis sphenoidalis)】
→(翼状突起の内側板は細長く殆ど矢状位に立ち、その下端は鈎形に外方に曲がって翼突鈎をつくる。その上にある浅い翼突鈎溝は口蓋帆張筋の腱が通るところである。内側板は後縁は上部で2分して浅い舟状窩(口蓋帆張筋が起こる)を囲む。舟状窩の上に接して上に述べた耳管溝が斜めに上外方に向かい大翼後縁までつづく。これは耳管軟骨部の着く所である。また、内側板の上端から内方に向かって、蝶形骨体の下面に沿う薄板上の鞘状突起が出る。この突起の下面の細い溝(口蓋骨鞘突溝)は後方から前方にすすむんい従って深さを増し、口蓋骨の蝶形骨突起と合して口蓋骨鞘突管をつくる。なお鞘状突起の内側縁と蝶形骨体の間にできる鋤骨鞘突溝は鋤骨翼が蝶形骨に着くと鋤骨鞘突管となる。この2小管はいずれも翼口蓋神経節の咽頭枝の通る所である。)
- 087_11【Sphenoparietal suture蝶頭頂縫合;蝶骨頭頂縫合 Sutura sphenoparietalis】 Continuation of the sphenofrontal suture beginning at the coronal suture.
→(蝶頭頂縫合は蝶形骨大翼と頭頂骨の間にある縫合。。)
- 087_12【Sphenosquamosal suture蝶鱗縫合;蝶骨鱗縫合 Sutura sphenosquamosa】 Suture between the squamous part of the temporal bone and the greater wing of the sphenoid.
→(蝶鱗縫合は側頭骨鱗部と蝶形骨大翼の間の縫合。)
- 087_13【Arterial grooves動脈溝 Sulci arteriosi】 Bones that are occasionally found interposed in cranial sutures.
→(頭蓋内壁にある動脈をいれる溝。)
- 087_14【Temporal squamous of temporal bone側頭鱗(側頭骨の) Squama temporalis】
→()
- 087_15【Parietal bone頭頂骨 Os parietale】 Bone located between the occipital, frontal, sphenoidal, and temporal bones.
→(頭頂骨は正中線で合して頭頂をつくる1対の頭蓋冠の大部分を形成するほぼ四角形の扁平骨で、4縁、4角、2面を有する。4縁のうち後方で後頭鱗接する部分を後頭縁といい人字縫合をなし、下方で側頭鱗に接する部分を鱗縁といい輪状縫合をなす。4角のうち後上角の後頭角は鈍角、後下角の乳突角は鋭角、前上角の前頭角はほぼ直角、前下角の蝶形骨角は鋭角をなす。外面は頭頂面ともよばれ凸面をなし、中央部でとくに膨隆した部分を頭頂結節という。頭頂結節は胎児および若年頭蓋で著明である。また左右両側の頭頂結節間の距離が頭蓋の幅の最も広いところ、すなわち最大脳頭蓋幅径として知られている。頭頂結節の下方に上下2本の弓状の線が認められるが、上の線を上側頭線といい側頭筋膜の着く所である。下の線を下側頭線といい側頭筋の着くところである。矢状縫合の後方部に頭頂孔という小孔があり、ここを頭頂導出静脈が通る。内面は大脳面ともよばれ凹面をなし、指圧痕、脳隆起、動脈溝などが認められ、骨の上縁に沿って幅の広い矢状溝があり、他側の頭頂骨の同名溝と合して完全な上矢状洞溝となる。この近くには多数の小窩があり、クモ膜顆粒をいれる。また乳突角の部分にはS状洞溝の上部の一部が認められる。)
- 087_16【Squamous suture鱗状縫合 Sutura squamosa】 Squamous suture between the temporal and parietal bones.
→(鱗状縫合は縫合の形態上の分類としての名称と同一であるが、ここでは側頭骨鱗部と頭頂骨との縫合をさす。)
- 087_17【Lambdoid sutureラムダ状縫合;ラムダ縫合;人字縫合 Sutura lambdoidea】 Suture that unites the occipital bone with the two parietal bones.
→(後頭骨と左右頭頂骨の間の縫合。ギリシャ文字のラムダ(λ)の形から命名された。矢状縫合がぶつかる点をラムダlambdaといい、胎生期に小泉門があった場所である。(イラスト解剖学))
- 087_18【External occipital protuberance外後頭隆起;後頭結節;外後頭結節 Protuberantia occipitalis externa】 Easily palpable bony projection at the border between the occipital and nuchal planes.
→(外後頭隆起は凸面をなす後頭鱗の外面のほぼ中央に外後頭隆起がある。)
- 087_19【Squamous part of occipital bone後頭鱗(後頭骨の) Squama occipitalis】 The part that is posterior to the foramen magnum.
→(後頭鱗は大後頭孔の後方にある広い扁平な骨部で、頭蓋冠の後頭の部分と頭蓋底の後部を作る。その縁は不正三角形の広大な鱗状部である。その鋸歯状で大部分はラムダ縫合をもって頭頂骨と接するが、下方では側頭骨とも接する。後頭骨はその大半が軟骨性骨化によって生ずるが、後頭鱗のうち下項線から上方の部分だけは線維性骨窩によって生ずる膜性骨である。しかも後者は数個との骨化中心から出来るので、それら相互の癒合の様子次第で小さい2~4個の、または大きい1個の頭頂間骨(インカ骨)が独立する変異が生ずる。)
- 087_20【Internal occipital protuberance内後頭隆起 Protuberantia occipitalis interna】 Projection on the internal surface opposite the external occipital protuberance. It forms the midpoint of the cruciform eminence.
→(後頭骨の内面上にある十字隆起の中心付近の突出。)
- 087_21【Groove for transverse sinus横洞溝;横溝 Sulcus sinus transversi; Sulcus transversus】
→(横静脈洞をいれる溝。内後頭隆起からはじまり、ほぼ水平に外方に向かって横走し、側頭骨乳突部内面でS状洞溝に移行し頚静脈孔に開口する。またS状洞溝の初部からは上錐体洞溝が、その終部からは下垂体洞溝が分かれる。)
- 087_22【Occipitomastoid suture後頭乳突縫合 Sutura occipitomastoidea】 Continuation of the lambdoid suture to the cranial base.
→(後頭乳突縫合は後頭骨と側頭骨乳突部の間。)
- 087_23【Foramen magnum大後頭孔;大孔 Foramen magnum; Foramen occipitale magnum】 Large opening in the occipital bone for the medulla oblongata. vessels, and nerves.
→(大後頭孔(大孔)は大きさや形に変化があるが、一般に前後に長い卵円形である。大後頭孔は頭蓋腔と脊柱管とを結ぶ孔で、したがって脳の脊髄につづく部である延髄下部が副神経脊髄根、椎骨動脈、静脈叢などとともにこれを通る。)
- 087_24【Jugular foramen頚静脈孔 Foramen jugulare】 Opening between the occipital bone and the petrous part of the temporal bone that is subdivided by connective tissue. Union of the sigmoid sinus and inferior petrosal sinus. It transmits the internal jugular vein and cranial nerves IX, X, XI.
→(錐体後頭裂は前端と後端とで広く大きな孔となっている。前端で、錐体の前内側端にある孔は破裂孔といわれ、後端にあるのは頚静脈孔とよばれる(破裂孔に対して後破裂孔とも呼ばれる)。頚静脈孔は側頭骨の錐体部と後頭骨の頚静脈突起との間にある通路。しばしば、頚静脈孔内突起により2つに分けられる。前部を舌咽神経・迷走神経・副神経が通り、後部を内頚静脈が通る。)
- 087_25【Opening of vestibular canaliculus; *External opening of vestibular aqueduct前庭小管外口;前庭小管口 Apertura canaliculi vestibuli; Apertura externa aquaeductus vestibuli】
→(弓下窩の外下方には小さい裂孔をみる。これは前庭水管の開口で前庭水管外口という。)
- 087_26【Opening of cochlear canaliculus蝸牛小管外口;外口 Apertura externa canaliculi cochleae】 Opening of the cochlear canaliculus located anteromedial to the jugular fossa.
→(錐体小窩の後内方で錐体の後縁にそい三角形の深い小さいくぼみがあるのは蝸牛小管外口である。)
- 087_27【Hypoglossal canal舌下神経管 Canalis nervi hypoglossi; Canalis hypoglossi】 Passageway that begins superolateral to the foramen magnum and ends anterolateral to the occipital condyle. It transmits CN XII and a venous plexus.
→(後頭顆の上方には後内方から前外方に舌下神経の通路である舌下神経管が走る。)
- 087_28【Groove for inferior petrosal sinus下錐体洞溝;錐体溝 Sulcus sinus petrosi inferioris; Sulcus petrosus】
→(岩様部(錐体)と後頭骨の間に錐体後頭裂があり、これに一致して下錐体洞溝があって下垂体静脈洞を容れる。)
- 087_29【Internal acoustic opening内耳孔 Porus acusticus internus】 Entrance of the internal acoustic meatus at the posterior wall of the petrous part of temporal bone above the jugular foramen.
→(錐体後面のほぼ中央にある内耳道の入口。)
- 087_30【Groove for superior petrosal sinus上錐体洞溝;錐体稜溝 Sulcus sinus petrosi superioris; Sulcus petrosus superior】 Depression on the superior border of the petrous part of the temporal bone that lodges the petrosal sinus.
→(錐体上縁を走る溝で上錐体静脈洞をいれる。)
- 087_31【Sphenooccipital fissure蝶後頭裂 Fissura sphenooccipitalis】
→(")
- 087_32【Sella turcicaトルコ鞍 Sella turcica】 It is located above the sphenoidal sinus and houses the pituitary gland.
→(トルコ鞍は蝶形骨体上面には、トルコ風の馬の鞍に似ている骨隆起で中頭蓋窩の中央部にある。この骨のくぼみには、重要な内分泌腺の一つである下垂体が入る。)
- 087_33【Lateral plate of sphenoid process; Lateral pterygoid plate外側板(翼状突起の);外側翼状板 Lamina lateralis (Processi pterygoideus ossis sphenoidalis)】
→(蝶形骨の翼状突起の外側板は内側板にくらべて広く、やや短く、矢状面に対して斜めに位置する(その外面からは外側翼突筋が起こる)。外側翼突筋の下頭が起始する。内外両側板は前縁で連結し、その前面を縦に走る浅い翼口蓋溝は翼状突起が上顎体および口蓋骨垂直板と合してつくる翼口蓋窩の後壁をつくる。また、内外両側板は後方に開いた翼突窩をつくる(ここから内側翼突筋が起こる)。しかし、内側板と外側板とはその下部では離れて翼突切痕をはさむ。ここには口蓋骨の錐体突起がはまりこんでこれを補う。外側板の後縁は鋭く、その上部から小さい翼棘突起を出すことが多い。)