1073
- 1073_00【Nasal cavity鼻腔 Cavitas nasi】
→(鼻腔は気道の起始部であり、内壁は鼻粘膜によっておおわれ、鼻中隔によって二分される。外界への開口部は外鼻孔とよばれ、後方は後鼻孔をもって咽頭鼻部につづく。鼻腔は鼻前庭と狭義の鼻腔とに分けることができる。鼻前庭は鼻翼の形に拡張し、粘膜は皮膚からつづく重層扁平上皮で剛毛(鼻毛)を有する。鼻前庭の降誕は鼻限とよばれる弓状の隆起を示し、固有鼻腔に移行する。鼻中隔は篩骨垂直板と鋤骨よりなる尾骨および鼻中隔軟骨よりなる軟骨部がその大部分を占め、その前部の左右の外鼻孔の間は軟組織からなり、篩骨篩板と鋤骨の間にはさまる。鼻中隔軟骨の前下部には鋤鼻軟骨中に嗅覚器の名ごり(鋤鼻器)の盲孔がみられることがある。鋤鼻器は両性類、爬虫類では嗅覚器として機能し、哺乳類の中では単孔類、有袋類、食虫類、齧歯類でよく発達している。人では胎生期前半にはよく発達するが、次第に萎縮し痕跡器官となる。鼻中隔軟骨下縁の前側にはよく発達するが、次第に萎縮痕跡器官となる。微衷飼う軟骨下縁の前側に、盲端に終わる切歯管が勧誘している。鼻腔の外側壁より上・中・下鼻甲介が突出し、それぞれの下に上・中・下鼻道をつくる。下鼻甲介の基部で中鼻道の前方は中鼻道前房とよばれる弓状の隆起で、中鼻甲介の基部に移行する。また、中鼻道には篩骨蜂巣の一部が膨らみでて篩骨胞をなし、その全科法の篩骨突起との間に半月裂孔をはさむ。半月裂孔は副鼻腔の一つである上顎洞に向かって深く入り篩骨漏斗となる。上鼻道の後上方にはときに最上鼻甲介とよばれる小さな突起があり、その後上方の鼻腔上壁は篩骨迷路の内側壁と蝶形骨体前面で裂かされるへこみで蝶篩陥凹という。上・中・下鼻道は鼻腔後部で狭い鼻咽道に集合し、後鼻孔を通じて後頭鼻部につづく。鼻粘膜の大部分は多裂腺毛円柱上皮性の呼吸部で、混合性の鼻尖と杯細胞を有する。粘膜固有層にはしばしばリンパ小節をみる。呼吸部のうち鼻中隔と鼻甲介の粘膜は上皮下の静脈網がきわめてよく発達しているため肥厚し、鼻甲介海面層とよばれる。鼻腔甲状壁の上鼻道から上と鼻中隔のこれに対する面は分散する鼻粘膜の球部が位置する。中鼻甲介の根部と嗅部粘膜上皮の構成にあずかっている。嗅上皮下には漿液性の休戦がある。嗅部の体積は両側の鼻腔を合わせて約500mm2といわれ、かれいとともに縮小する傾向がある。 (解剖学事典 朝倉書店より引用))
- 1073_01【Frontal sinus前頭洞 Sinus frontalis】 It is an average of 3 cm high, 2.5 cm wide, and often extends 1.8 cm posteriorly, forming part of the roof of the orbit.
→(前頭洞は眉間の辺りにある副鼻腔をなす空洞。篩骨漏斗により同側の中鼻道に連なる。)
- 1073_02【Middle nasal concha中鼻甲介 Concha nasalis media】
→(上鼻甲介の下方に、内側壁の全長から下方に突出し、内側壁の下界をつくる中鼻甲介がある。その下端は遊離して外側に巻き、前端は上顎体の、後端は口蓋骨の篩骨稜に着く。中鼻甲介の外側にできる空間は中鼻道の上部にあたる。)
- 1073_03【Agger nasi鼻堤 Agger nasi】 Prominence directly in front of the middle nasal concha that is a vestige of an accessory nasal concha.
→(中鼻甲介のすぐ前方にある。以前あった付加的鼻甲介の隆起状遺残。 (Feneis))
- 1073_04【Atrium of middle meatus; Atrium of middle nasal meatus中鼻道前房 Atrium meatus medii】 Area at the beginning of the middle nasal meatus in front of the middle and above the inferior nasal conchae.
→(中鼻道の前で、鼻前庭の後上方にある凹みを中鼻道前房という。)
- 1073_05【Limen nasi鼻限 Limen nasi】 Mucosal ridge at the end of the nasal vestibule produced by the border of the alar cartilage.
→(鼻前庭の後端にあり、鼻翼軟骨の縁による隆起線。 (Feneis))
- 1073_06【Nasal vestibule鼻前庭 Vestibulum nasi】 Anterior part of the nasal cavity extending to the limen nasi where its lining of squamous epithelium transitions into ciliated epithelium.
→(鼻限までの鼻腔前部。この部は縦走扁平上皮で被われているが、鼻限で絨毛上皮に移行する。 (Feneis))
Hasner's valve
- 1073_07Hasner's valve【Lacrimal fold鼻涙管ヒダ Plica lacrimalis; Plica ductus nasolacrimalis】 Mucosal fold at the opening of the nasolacrimal duct located 3-3.5 cm posterior to the piriform aperture in the inferior nasal meatus.
→(ハスネル弁ともよばれる。外鼻孔から3~3.5cm後方、下鼻道にある鼻涙管開口部の粘膜ヒダ。チェコスロバキアの眼科医 Joseph von Hasner (1819-1892)の名を冠するが、他にもBianchi's valveなど多くの呼称がある。)
- 1073_08【Nasolacrimal duct; Lacrimal ducts鼻涙管 Ductus nasolacrimalis】 Duct arising directly from the lacrimal sac. Measuring 1.2-2.4 cm in length, it travels through the nasolacrimal canal and opens into the inferior nasal meatus. Its flattened lumen has a mucosal lining covered with stratified (dual-layered or multilayered) columnar epithelium that in places is ciliated.
→(鼻涙管は涙嚢より直接に始まり、1.2~2.4cmの長さで、鼻涙管中を通り、下鼻道前上部に開く通路で涙を鼻腔に運ぶ管。その扁平になった管腔はところどころに繊毛をもった2層から重層の円柱上皮ににより被われる。)
- 1073_09【Ethmoidal infundibulum篩骨漏斗 Infundibulum ethmoidale】 Passageway below the middle nasal concha for the drainage of mucinous material. The frontal sinus, maxillary sinus, and anterior ethmoidal cells open here.
→(半月裂孔の前上方はややせばまって、篩骨迷路の前部の中を下降する管状の篩骨漏斗に続いている。)
- 1073_10【Semilunar hiatus半月裂孔 Hiatus semilunaris】 Opening of the ethmoidal infundibulum between ethmoidal bulla and the uncinate process.
→(鈎状突起の外側には篩骨胞を前方から下方に囲む弯曲した裂目状の空間が残される。これを半月裂孔と呼ぶ。)
- 1073_11【Ethmoidal bulla篩骨胞 Bulla ethmoidalis】 Especially large and protruding anterior ethmoidal cell that narrows the wide opening of the maxillary sinus.
→(中鼻甲介の上壁の前部に、篩骨蜂巣の前下部のものがつくる篩骨胞が丸くふくれ出している。)
- 1073_12【Superior nasal concha上鼻甲介 Concha nasalis superior】
→(篩骨迷路の上部の後半には水平に走る上鼻甲介がある。これは単なる隆起にすぎないこともあり、また、その下縁が外側に巻くようになることもある。)
- 1073_13【Opening of sphenoidal sinus蝶形骨洞口 Apertura sinus sphenoidalis】 Anterior opening of the sphenoidal sinus into the spheno-ethmoidal recess.
→(左右の蝶形骨洞は蝶形骨体の前面の蝶形洞口で外部に開く。)
- 1073_14【Sphenoidal sinus蝶形骨洞 Sinus sphenoidalis】 Paired sinus in the body of sphenoid that varies in size. It opens at the spheno-ethmoidal recess.
→(蝶形骨体の内部は殆ど蝶形骨洞でしめられ、空洞である。その大きさは不定で、ときには体の後に結合する後頭骨の底部にも進入している。蝶形骨洞は蝶形骨体部の頭蓋底部に位置する副鼻腔である。思春期以降に発達し、成人にて含気化が顕著になるが、含気の程度にバリエーションがあり、視神経管周囲・視神経が隣接しており、(内頚動脈が走行している)頚動脈隆起・視神経管の骨性隆起、その間に視神経管頚動脈裂optico-carotid recessとよばれる陥凹が蝶形骨内面より観察される。)
- 1073_15【Spheno-ethmoidal recess蝶篩陥凹 Recessus sphenoethmoidalis】 Cleft above the superior nasal concha.
→(鼻腔の上後端の上鼻甲介と鼻中隔の間で蝶形骨体の前にある狭い部を蝶篩陥凹という。)
- 1073_16【Superior nasal meatus上鼻道 Meatus nasi superior】 Nasal passage located above the middle nasal conchae.
→(上鼻甲介と中鼻甲介との間の鼻道を上鼻道という。)
- 1073_17【Pharyngeal opening of pharyngotympanic tube耳管咽頭口 Ostium pharyngeum tubae auditivae; Ostium pharyngeum tubae auditoriae】 Funnel-shaped or slitlike opening of the auditory tube above the levator eminence at the level of the inferior nasal meatus 1 cm in front of the posterior wall of the pharynx.
→(口蓋帆拳筋の根元の上方で、後咽頭壁より1cm前方の下鼻道へ開く漏斗状の開口部。 (Feneis))
- 1073_18【Inferior nasal concha下鼻甲介 Concha nasalis inferior】 The independent lower nasal concha, which is attached to the lateral nasal wall.
→(中鼻甲介と殆ど同じ形状でこれより大きく、その下方で鼻腔外側壁に付着する1対の独立した小骨で、縁が湾曲した薄い海綿状骨板で、鼻腔の側壁にあり、中鼻道と下鼻道を分ける。篩骨、涙骨、上顎骨、口蓋骨とで関節をなす。下鼻甲介の内側面は鼻腔内に向かってふくらんだ粗面である。下縁は中鼻甲介のように外側に少し巻いている。上縁に涙骨突起、上顎突起、および篩骨突起がある。海綿状骨板とその肥厚した粘膜骨膜で、熱交換のための広範な海綿状の血管床を含む)
- 1073_19【Soft palate軟口蓋;口蓋帆 Palatum molle; Velum palatinum】 Its posterior border ends with the uvula.
→(軟口蓋は口と口腔咽頭、口腔咽頭と鼻咽頭の間に不完全な中隔を形成する口蓋の後方筋肉部分。骨性支柱を欠き、厚い結合組織板(口蓋腱膜と筋(口蓋筋)とが基礎をつくり、その表面を粘膜が被ってできる。軟口蓋、とくにその後部を口蓋帆といい、その正中部は後下方に垂れ突出して口蓋垂となる。軟口蓋を後上方に挙上し咽頭口壁に向かって圧する作用は燕下を始めると時にみられる。この働きによって口腔と咽頭鼻部とは遮断され、食塊は口腔から鼻腔にはいることなく、咽頭に向かっておくられる。また作用は発声の場合にもみられる(音声が鼻腔にぬけないようにする)。)
- 1073_20【Hard palate硬口蓋 Palatum durum】 Hard, bony part of the palate.
→(硬口蓋は鼻の粘膜により上部を、口腔の天井にあたる部分の粘膜により下部をおおわれた骨口蓋からなり、粘膜は厚く、骨口蓋の骨膜に硬く付着する。粘膜表面には、正中線に一致して口蓋縫線という高まりがみられ、その前端に切歯乳頭という小隆起がある。その前端に切歯乳頭という小隆起がある。口蓋血管、神経、粘膜腺を有する口蓋の前方部分。硬口蓋の前部には、3~4本の横走するヒダ、すなわち横口蓋ヒダがみられる。横口蓋ヒダはとくに幼児で明瞭に見られる。)