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- 177_00【Ulna尺骨 Ulna】 Medial forearm bone.
→(橈骨と並んで前腕の内側(小指側)にある長管状骨(男約24cm、女21~22cm)で、上下の両端と体が区分される。この骨は橈骨とは逆に上端部が大きく下端部が細い。上端には前上方から深く切れ込んだ滑車切痕があって上腕骨滑車と関節する。滑車切痕の中央には上腕骨の滑車のくぼみに対応する弱い高まりが縦に走っている。滑車切痕の下端は前方に付きだして鈎状突起となり、切痕の後面は著しく肥厚して肘頭を形づくっている。また、滑車切痕の下外側には橈骨切痕があり、橈骨の関節輪状面に接する。橈骨体は橈骨の骨間部でゆるくS状に弯曲しており、前面には、滑車切痕のすぐ下に尺骨粗面がある。橈骨切痕の下縁から下方に向かう高まりは回外筋の起始するところである(回外筋稜)。橈骨体には前後および外側の3縁と前後内側の3面が区別出来るが、外側縁は鋭く外側へ張り出し、骨間縁とよばれる。尺骨の下端は小さな鈍円状のふくらみになっていていて尺骨頭の外周には橈骨の尺骨粗面と関節をつくる関節環状面がある。また、尺骨下端の内側面には茎状突起という細くて小さな突起がみられる。語源はギリシャ語のOlein(ヒジ)に由来する。また、Olecranon(肘頭)はOleinのcranon(頭)という意味である。)
- 177_01【Olecranon of ulna肘頭;尺骨頭 Olecranon】 Proximal, posterior end of the ulna. Attachment site of the triceps brachii muscle.
→(肘の端。尺骨の上端部を側方から見ると、滑車切痕の後上方には肘頭という丸みを帯びた突出部があって、肘頭の尖端は前方に曲がって滑車切痕の屋根を作っている。上腕三頭筋が停止する。)
- 177_02【Radial notch of ulna橈骨切痕 Incisura radialis】 Superolateral surface for articulation with the articular circumference of the radius.
→(尺骨の鈎状突起の外側にややくぼんだ橈骨切痕があり、ここに橈骨頭の環状関節面が連結する。)
- 177_03【Interosseous border of ulna; Interosseous margin of ulna; Ulnar interosseous margin骨間縁;骨間稜(尺骨の) Margo interosseus; Crista interossea (Ulna)】 Attachment site of the interosseous membrane.
→(尺骨体の外側の縁は最も鋭い骨間縁で、橈骨の同面の縁に対向する(両者の間に前腕骨間膜が着く)。)
- 177_04【Trochlear notch; Semilunar notch滑車切痕;半月切痕 Incisura trochlearis; Incisura semilunaris】 Articular surface on the proximal end of the ulna for articulation with the trochlea of the humerus.
→(尺骨の上端部は大きなくぼみが滑車切痕で、上腕骨の滑車がはまり込む関節面である。)
- 177_05【Coronoid process of ulna鈎状突起;烏口突起(尺骨の) Processus coronoideus (Ulnae)】 Projection at the anterior end of the trochlear notch.
→(尺骨の滑車切痕の下端は前方に突き出て、鈍三角状の鈎状突起となっている。)
- 177_06【Tuberosity of ulna; Ulnar tuberosity尺骨粗面 Tuberositas ulnae】 Roughened area distal to the coronoid process for attachment of the brachialis muscle.
→(鈎状突起のすぐ下方の前面には尺骨粗面とよばれる粗面が倒立三角形のように広がっている(上腕筋の付着部))
- 177_07【Nutrient foramen栄養孔 Foramen nutricium】 Opening of the nutrient canal at the surface of the bone.
→(どの骨をとってみても、骨の表面には虫が食ったような孔がポツポツとあいている。これらのうち、こまかい孔やくぼみは主としてシャーピーの線維(骨膜から骨質に入り込む結合組織線維)が侵入する孔であるが、輪郭のハッキリした直径1~2mmの丸い穴は細い血管が骨に出入りするためのもので、栄養孔とよばれる。厳密にいえば、これらの孔の開口部が栄養孔で、骨に入り込んだトンネル状の部分は栄養管と名づけられる。この栄養孔ないし栄養管は骨質を貫いて髄腔(骨髄を収容する腔所)に達している。したがって、栄養孔からはいる動脈は主として骨髄を養うが、その枝は髄腔に近い深部の骨質も養う。また栄養孔から出てくる静脈は骨髄と骨からの炭酸ガスや老廃物を運ぶだけでなく、骨髄で形成された新しい赤血球や白血球を末梢血流に導き出す役割を持っているのである。なお骨の表層の緻密質は、骨膜の動脈叢から出る無数の細い枝で養われが、その進入路は非常に細くて肉眼的にはほとんど見分けられない。それぞれの骨における栄養孔の数や位置は、大体の原則はあるものの個体差ははなはだしい。たとえば椎骨では、栄養孔はとくに椎体の表面に多くみられるが、その数・位置・大きさなどは千差万別でる。なお、椎孔をのぞきこんでみると、椎体の後面にはとくに大きい栄養孔(ここを通る主な血管は椎体静脈)を見いだすことができる。)
- 177_08【Anterior border of ulna; Anterior margin of ulna; Anterior ulnar margin前縁;掌側縁(尺骨の) Margo anterior ulnae; Margo volaris ulnae】 Margin facing anteromedially.
→(尺骨の前縁は鈍く上端は左右に分かれる。)
- 177_09【Anterior surface of ulna前面;掌側面(尺骨の) Facies anterior ulnae; Facies volaris ulnae】
→(尺骨の前面には深指屈筋の起こるくぼみおよび粗面がある。また、浅屈筋の一部、尺側手根屈筋が発着する。)
- 177_10【Head of ulna尺骨頭;尺骨小頭 Caput ulnae; Capitulum ulnae】 The head of the ulna located at its distal end.
→(尺骨の下端部は貧弱な鈍円状の尺骨頭という膨らみで終わる。尺骨では頭とよばれる部分が下端にある。)
- 177_11【Ulnar styloid process; Styloid process of ulna茎状突起(尺骨の) Processus styloideus ulnae】 Peglike process on the distal end of the ulna. Site of attachment for the articular disc of the distal radioulnar joint and the ulnar collateral ligament.
→(尺骨の下端の内側端から下方に細い茎状突起が突出する。)
- 177_12【Articular circumference of ulna; Ulnar articular circumference関節環状面(尺骨の) Circumferentia articularis capitis ulnae】 Anterolateral articular surface for articulation with the ulnar notch of the radius.
→(尺骨頭の外側半分の周囲は橈骨の方に向かって少し突出し、橈骨の尺骨切痕に対向する関節環状面となる。関節環状面に相当する尺骨頭下面の外側の半円部は手根の骨との間に介在する関節円板に対向する関節面となる。)