290_00【Lumbar vertebrae [L I-L V]腰椎[L1-L5] Vertebrae lumbales [LI-LV]】 The five lumbar vertebrae. →(胸椎に続く5個の椎骨で、その椎体はすべて椎骨の中でもっとも強大である。椎体の幅は下位のものほど大きく、高さは第3~第4腰椎で最大である。椎弓も強大で、椎孔の形は三角形状である。腰椎の横突起は本来、この部の肋骨に相当するもので肋骨突起といい、本来の横突起は上関節突起の外側から後方に向かう小さな隆起として残っており、乳頭突起とよぶ。また、肋骨突起の根部の後面には下方に向かう小突起があり、副突起というのが、これも本来の横突起の一部が変形したものである。腰椎の棘突起は幅が広く、短い。側方から見ると、四角な板状でほぼ水平に後方へ突出している。)
290_01【Posterior longitudinal ligament後縦靱帯;後総縦靱帯 Ligamentum longitudinale posterius; Ligarnentum longitudinale commune dorsale】 Ligament that mainly connects the intervertebral discs, traveling along the posterior surfaces of the vertebral bodies within the anterior wall of the vertebral canal. It is continuous with the tectorial membrane from the third cervical vertebra upward. →(後縦靱帯は椎体と椎間円板の後面に沿い、脊柱管の前壁を縦走する。上端は幅が広く、大後頭孔前縁より約1cm上方の斜台から起こり(この部の深層の部は蓋膜と呼ばれる)、下方ほど狭くなって仙骨管の前壁に達する。椎間円板およびそれに接する椎体の縁と固く結合し、椎体後面の中部とは結合がゆるい。とくにひゅそうの線維は4~5個の椎体を越えて椎間円板から椎間円板へと結合し、この靱帯が椎間円板に着くところでは特に幅が広くなっている。前・後縦靱帯は椎体と椎間円板からなる柱を前後から支えるとともに、椎間円板の弾性によって緊張させられている。)
290_02【Nucleus pulposus of intervertebral disk髄核(椎間円板の) Nucleus pulposus (Discus intervertebralis)】 Semifluid substance at the center of the fibrous anulus. It contains the remains of the notochord. →(椎間円板の中心部に近づくにしたがって線維の配列は次第に疎になり、ついには細い膠原線維が疎に、不規則に配列し、その間に軟骨細胞の小群と、不定形の腔所とを含む膠様の組織となる。この部を髄核といい、水分を多量に含んで軟らかく、弾力に富む。この弾力と強い膨張性により新鮮な椎間円板を横断すると髄核が断面からふくれ出す。)
290_03【Intervertebral disc椎間円板;椎間線維軟骨 Discus intervertebralis; Fibrocartilagines intervertebrales】 An elastic disc that compresses and rebounds under pressure, consisting of layered rings of fibrous tissue and fibrocartilage around a gelatinous nucleus. It is attached to two adjacent vertebral bodies by their hyaline cartilage plates and by the posterior longitudinal ligament. →(椎間円板は隣接する2個の椎体間にあって厚い円盤状をなすが、脊柱の部位によりその厚さは異なる。また個々の円板ではその中央部がもっとも厚く、辺縁がやや薄い。円板の厚さが絶対的に、また隣接する椎骨の厚さと相対して厚いほど、椎骨の可動性が大きい。胸椎の中位の椎間円板はそのいずれの意味でも最も薄い。また、頚椎と腰椎では椎間円板の前縁が後縁よりやや厚い。椎間円板の上下面は椎体の面を被う硝子軟骨層と固く結合し、組織的には明瞭な境界がなくて移行する。中心部の髄核とそれを取り囲む外側の結合線維部分(線維輪)からなる。(1)線維輪:外周を輪状に走る部分。(2)髄核:中央にあって弾性に富む。胎生期の脊索の遺物といわれる。胎児の椎間円板中には、この部でとくに太くなる脊索が明瞭である。成人でも髄核組織の一部が脊索の遺物にあたる。椎間円板は単に椎体を結合するのみではなく、弾性体として脊柱の運動および体重をささえることに重要な役割を果たしている。脊柱の屈伸に際して椎間円板の屈側は低く圧迫され、伸側は引き延ばされるが、線維輪のラセン状の線維配列はこのような外力に対する抵抗と、変形のあとの復元とに大切な意義を有する。また、髄核はかたい線維輪のなかにあって、あたかも水枕のように作用し、圧をすべての方向に分散させるとともに屈伸に向かって若干おしつけられる。)
290_04【Anterior longitudinal ligament前縦靱帯;前総縦靱帯 Ligamentum longitudinale anterius; Ligamentum longitudinale commune ventrale】 Ligament that mainly connects the anterior surfaces of the vertebral bodies. →(脊柱前面を上下に縦走する帯状の靱帯で、上端は後頭骨底部からおこり、上部では狭く厚いが、環椎前結節を通り、しだいに幅を広げて薄くなり下行し、仙骨前面に至る。中央を走る長い線維と、各椎の前面を結ぶ短い弓状に走る線維とがある。深層の線維は椎間円板の前縁とも結合する。椎間円板ならびに椎体上・下縁との結合は強く、椎体中央部との結びつきは弱い。)
290_05【Vertebral body; Body of vertebra椎体;椎骨体 Corpus vertebrae】 →(椎体は椎骨の前部を占める短い円柱で、上下端は平らな面をつくる。上面と下面はやや広いため、椎体を側面から見ると、中央でややくびれている。後面は椎孔の前壁にあたり、縦に走る浅く広い溝となっている。椎体の上下面は椎間円板と固着する硝子軟骨で被われる。この軟骨の周縁部は骨化し、後方部分が欠けた不完全な輪の形の骨端板を作る。加令によりこの骨端板の骨化はさらに進行し、椎体の上下面の縁が側面から水平に突出するようになる。)
290_06【Intervertebral foramen椎間孔 Foramen intervertebrale】 Opening between two adjacent vertebrae for the passage of a spinal nerve and small vessels. It is bounded by two adjacent vertebral notches (above and below), the vertebral bodies, and the intervertebral disc. →(椎骨をその順位にしたがって連結すると、上の椎骨の下椎切痕と舌の椎骨の上椎切痕は互いに向き合って椎間孔を作る。椎間孔は脊柱管の中にある脊髄から出る脊髄神経の通路となる。椎弓根と椎弓板の移行部が合する椎弓の後端から1本の棘突起が出る。)
290_07【Ligamenta flava; Ligament flavum黄色靱帯;黄靱帯;椎弓間靱帯;弓間靱帯 Ligamenta flava; Ligamenta interarcualia】 Yellow ligaments. A mesh of elastic fibers distorted to form nearly parallel bands running between the vertebral arches. →(黄色靱帯は椎弓板下縁前面から隣接下位椎骨の椎弓板上縁に張る椎間靱帯であり、軸椎より上と仙椎間にはない。多量の弾性線維を含み黄色を呈し、脊柱の屈伸の際に椎弓間の距離が変わっても常に緊張した状態を保つ。)
290_08【Interspinous ligaments棘間靱帯 Ligamenta interspinalia】 Broad ligaments extending between adjacent spinous processes of the vertebrae. →(隣り合う上下の棘突起を結ぶ薄い膜性の靱帯で、棘突起と共に左右の固有背筋を隔てる中隔を形成する。頚部で弱く、腰部で強い。線維は棘突起間に斜めに張り、脊柱の屈伸による頬突起間距離の変化に対応している。)
290_09【Spinous process of vertebra棘突起(椎骨の) Processus spinosus vertebrae】 The spinous processes of C1-C6 are bifid. →(棘突起は椎骨椎弓の正中線から後下方に向かう長い単一の突起である。)
290_10【Supraspinous ligament棘上靱帯 Ligamentum supraspinale】 Ligaments passing over the spinous processes of the vertebrae from C7 to L4. →(第7頚椎から仙骨までの棘突起先端間を結ぶ強い線維索である。浅い線維は3~4椎をとびこえる。第7頚椎より上方では、項靱帯に連なる。)