357
- 357_00【Bones of cranium; Skull bones頭蓋骨;ズガイコツ Ossa cranii】
→(頭蓋は15種23個の骨、すなわち10種16個の頭蓋骨および5種7個の顔面骨とにより形成されている。頭蓋骨は中枢神経系および感覚器に接する部分を形成する骨格で後頭骨(1個)、蝶形骨(1個)、側頭骨(1対2個)、頭頂骨(1対2個)、前頭骨(1個)、篩骨(1個)、下鼻甲介(1対2個)、涙骨(1対2個)、鼻骨(1対2個)、及び鋤骨(1個)である。頭蓋を構成する骨の分類には諸学者による見解の相違があり、後頭骨、蝶形骨、側頭骨、頭頂骨、前頭骨の5種7個を脳頭蓋とし、他の10種16個を顔面骨とする意見もある。)
- 357_01【Internal surface of frontal bone内面;大脳面(前頭骨の) Facies interna; Facies cerebralis】 Surface of the frontal bone that faces the brain.
→(前頭骨の内面は後方を向くくぼんだ面で、脳の前端を容れるところとなる。軽度の脳隆起、指圧痕、樹枝状の中硬膜動脈溝などを見る。)
- 357_02【Anterior clinoid process前床突起;小翼突起 Processus clinoideus anterior; Processus alae parvae】 Projection from the lesser wing of the sphenoid bone that is directed posteriorly toward the middle and posterior clinoid processes.
→(蝶形骨小翼の後縁は遊離縁をなし、その内側端に視神経管の後外側から後内側に向かう前床突起がある。)
- 357_03【Sella turcicaトルコ鞍 Sella turcica】 It is located above the sphenoidal sinus and houses the pituitary gland.
→(トルコ鞍は蝶形骨体上面には、トルコ風の馬の鞍に似ている骨隆起で中頭蓋窩の中央部にある。この骨のくぼみには、重要な内分泌腺の一つである下垂体が入る。)
Blumenbach, Clivus of
- 357_04Blumenbach, Clivus of【Clivus斜台 Clivus】 Bony structure that slopes downward from the dorsum sellae to the foramen magnum. It is formed by the occipital bone and the sphenoid.
→(後頭蓋窩の正中部では中頭蓋窩の後端である鞍背から後方に大後頭孔まで「すべり台」のような急な斜面がある。これが斜台で、その上半は蝶形骨、下半は後頭骨からなる(その境界は骨が癒合しているのでわからない)。)
- 357_05【Internal acoustic opening内耳孔 Porus acusticus internus】 Opening of the internal acoustic meatus in the posterior surface of the petrous part of the temporal bone.
→(錐体後面のほぼ中央にある内耳道の入口。)
- 357_06【Superior border of petrous part錐体上縁;錐体稜(側頭骨の) Margo superior partis petrosae; Angulus superior pyramidalis (Ossis temporale)】
→(錐体上縁は前上面と後上面の境となり、頭蓋腔内に突出して中頭蓋窩と後頭蓋窩の境界を作る鋭い縁である。ここに上錐体洞溝がある。上錐体静脈洞がここにはまる。)
- 357_07【External occipital protuberance外後頭隆起;後頭結節;外後頭結節 Protuberantia occipitalis externa】 Easily palpable bony projection at the border between the occipital and nuchal planes.
→(外後頭隆起は凸面をなす後頭鱗の外面のほぼ中央に外後頭隆起がある。)
- 357_08【Transverse occipital sulcus横後頭溝;横洞溝;横溝 Sulcus occipitalis transversus; Sulcus sinus transversi; Sulcus transversus】 Continuation of the intraparietal sulcus on the occipital lobe.
→(横後頭溝は後頭葉での頭頂内溝ののつづき。)
- 357_09【Foramen magnum大後頭孔;大孔 Foramen magnum; Foramen occipitale magnum】 Large opening in the occipital bone for the medulla oblongata. vessels, and nerves.
→(大後頭孔(大孔)は大きさや形に変化があるが、一般に前後に長い卵円形である。大後頭孔は頭蓋腔と脊柱管とを結ぶ孔で、したがって脳の脊髄につづく部である延髄下部が副神経脊髄根、椎骨動脈、静脈叢などとともにこれを通る。)
- 357_10【Mastoid cells; *Mastoid air cells乳突蜂巣 Cellulae mastoideae】 Pneumatized cells that, like the tympanic cavity, are lined with squamous or cuboidal epithelium.
→(側頭骨乳様突起内にある多数の小さな相通じている腔。乳様突起洞あるいは鼓室洞に連なる。鼓室と同様、扁平または立方上皮で被われる。)
- 357_11【Mastoid process乳様突起;乳突隆起 Processus mastoideus】 Projection behind the external acoustic meatus that contains the mastoid cells.
→(乳突部の大部分は、下前方に向かって突出する大きい乳様突起で占められる。その表面は胸鎖乳突筋の着くところで粗である。乳様突起の内部は成人では大部分、多数の小さい乳突蜂巣で占められる。これは生後に乳様突起の発育に伴って拡がるもので、その拡がりは個体によりかなりまちまちであり、錐体の方にもおよぶ。乳突蜂巣は互いに迷路状につながっていて、そのつづきは乳様突起の上半分にある乳突洞につながっている。乳突洞はその前方の小さい乳頭洞入口を経て、後方から鼓室の上部に開く。生体では鼓室の内面を被う粘膜の続きが乳突洞を経てすべての乳頭蜂巣の内面にまでおよんでいる。)
- 357_12【External acoustic opening外耳孔;骨外耳孔 Porus acusticus externus】 Opening to the external acoustic meatus.
→(外耳道を作るときに前後両縁が中央部より速く発育し、その尖端で癒合するために、ある時期には外耳道下壁の骨板に孔を有することがある。)
- 357_13【Occipital condyle; *Condyle後頭顆 Condylus occipitalis】 Spherical eminence for articulation with the atlas.
→(後頭骨下面にある2つの細長い卵形をした関節面を有する高まりが後頭顆である。これは第1頚椎の上関節窩と関節する。)
- 357_14【Zygomatic arch頬骨弓 Arcus zygomaticus】 Arch formed by the zygomatic process of the temporal bone and the temporal process of the zygomatic bone.
→(眼窩の外側方には、眼鏡のつるのような骨の橋がある。これが頬骨弓で、その後端は耳の孔(外耳孔)の近くまで達している。頭蓋を正面から見ると、顔面は頬骨弓の所が最も広く、それよりも下方では急に幅が狭くなっている。頬骨の側頭突起が頬骨の後下部より後方に突出し、側頭骨の頬骨突起と連結して形成された骨弓をいい、ほぼ水平位にある。側頭突起と頬骨突起間にある前方により後方へ斜走する縫合を側頭頬骨縫合という。頬骨弓からは咀嚼筋の一つである咬筋が起こり下顎角の咬筋粗面につく。なお頬骨弓の外側方への最も突出した点を頬骨弓点といい、両側のこの点の間の距離をもって頭蓋の顔面幅最大長としている。頬骨弓の下方のくぼみにある脂肪塊(頬脂肪体sucking pad)は、普通の皮下脂肪とは違って、線維の少ないみずみずしい脂肪組織からなり、いくらを詰めたようになっている。)
- 357_15【Lateral plate of sphenoid process; Lateral pterygoid plate外側板(翼状突起の);外側翼状板 Lamina lateralis (Processi pterygoideus ossis sphenoidalis)】
→(蝶形骨の翼状突起の外側板は内側板にくらべて広く、やや短く、矢状面に対して斜めに位置する(その外面からは外側翼突筋が起こる)。外側翼突筋の下頭が起始する。内外両側板は前縁で連結し、その前面を縦に走る浅い翼口蓋溝は翼状突起が上顎体および口蓋骨垂直板と合してつくる翼口蓋窩の後壁をつくる。また、内外両側板は後方に開いた翼突窩をつくる(ここから内側翼突筋が起こる)。しかし、内側板と外側板とはその下部では離れて翼突切痕をはさむ。ここには口蓋骨の錐体突起がはまりこんでこれを補う。外側板の後縁は鋭く、その上部から小さい翼棘突起を出すことが多い。)
- 357_16【Frontal sinus前頭洞 Sinus frontalis】 It is an average of 3 cm high, 2.5 cm wide, and often extends 1.8 cm posteriorly, forming part of the roof of the orbit.
→(前頭洞は眉間の辺りにある副鼻腔をなす空洞。篩骨漏斗により同側の中鼻道に連なる。)
- 357_17【Crista galli鶏冠 Crista galli】 Small bony projection in the cranial cavity to which the falx cerebri is firmly attached.
→(篩板上面の正中線で、横からみると三角形の鋭い鶏冠が頭蓋腔に向かって突出する。)
- 357_18【Sphenoidal sinus蝶形骨洞 Sinus sphenoidalis】 Paired sinus in the body of sphenoid that varies in size. It opens at the spheno-ethmoidal recess.
→(蝶形骨体の内部は殆ど蝶形骨洞でしめられ、空洞である。その大きさは不定で、ときには体の後に結合する後頭骨の底部にも進入している。蝶形骨洞は蝶形骨体部の頭蓋底部に位置する副鼻腔である。思春期以降に発達し、成人にて含気化が顕著になるが、含気の程度にバリエーションがあり、視神経管周囲・視神経が隣接しており、(内頚動脈が走行している)頚動脈隆起・視神経管の骨性隆起、その間に視神経管頚動脈裂optico-carotid recessとよばれる陥凹が蝶形骨内面より観察される。)
- 357_19【Orbital opening眼窩口;眼窩入口 Aditus orbitalis】 Anterior opening of the orbital cavity.
→(眼窩が顔面に開く眼窩口は外側縁が少し下がった四角形である。 左右の眼窩口はほぼ四角形で、眼窩上縁、眼窩下縁、内側縁および外側縁をもつ。)
Highmore, Antrum of
- 357_20Highmore, Antrum of【Maxillary sinus上顎洞;ハイモア腔 Sinus maxillaris】 It measures over 3 cm vertically and sagittally and 2.5 cm in the frontal plane. Its floor is usually at least 1 cm below the floor of the nose and its lowest point is usually at the level of the first molar.
→(上顎洞は上顎体中にある最大の副鼻腔で、その形はだいたいにおいて上顎体の形に一致するが、尖端を外上方、すなわち頬骨突起の方に出しているので錐体状に近く、その底は鼻腔面にむく。ここにはなはだ大きい上顎洞裂孔があるが、完全な頭蓋ではこの裂孔は口蓋骨の垂直板、篩骨の鈎状突起および下鼻甲介の上顎、篩骨稜突起によりその一部がふさがれて著しく小さくなる。(生体では、さらに鈎状突起まで鼻粘膜に被われるため、中鼻甲介の下の半月裂孔に開く小さな開口を残すのみとなる。)上顎洞はその前壁が最も厚く、つぎは後壁、上壁の順で内側壁が最も薄い。下壁は歯槽突起に入り、場所によってその厚さが異なるが、大臼歯および小臼歯の歯根をおおう部、とくに第1、第2臼歯の付近で最も薄く、それらの歯根はしばしば洞に達する。また、下壁には歯槽中隔の為に多くの骨の高まりやくぼみを見るのを常とする。なお、上顎洞の前後稜壁には多くの細い歯槽溝または歯槽管および歯槽孔が見られる。『ハイモア洞』:イギリスの自然科学者Nathaniel Highmore (1613-1685)の名を冠するが、レオナルド・ダ・ビンチがすでに観察している。ハイモアは、この他にも精巣縦隔(Highmore's body)に名を残している。)
- 357_21【Infra-orbital foramen眼窩下孔 Foramen infraorbitale】 Opening of the infra-orbital canal from which the infra-orbital nerve and accompanying vessel emerge. Pressure point for the second division of the trigeminal nerve.
→(上顎体下縁は明瞭な境なしに歯槽突起に移る。眼窩下縁の下約0.5-1.0cmに眼窩下孔がある。これは眼窩面の眼窩下溝につづく眼窩下管の顔面に開く口である。)
- 357_22【Hard palate硬口蓋 Palatum durum】 Hard, bony part of the palate.
→(硬口蓋は鼻の粘膜により上部を、口腔の天井にあたる部分の粘膜により下部をおおわれた骨口蓋からなり、粘膜は厚く、骨口蓋の骨膜に硬く付着する。粘膜表面には、正中線に一致して口蓋縫線という高まりがみられ、その前端に切歯乳頭という小隆起がある。その前端に切歯乳頭という小隆起がある。口蓋血管、神経、粘膜腺を有する口蓋の前方部分。硬口蓋の前部には、3~4本の横走するヒダ、すなわち横口蓋ヒダがみられる。横口蓋ヒダはとくに幼児で明瞭に見られる。)
- 357_23【Hyoid bone舌骨 Os hyoideum】 Bone that already begins to ossify before birth.
→(下顎骨と喉頭との間で舌根部にある独立したU字形の小骨である。体、大角、小角を有する。体は舟の形を呈し、膨隆部が前方を、陥凹部が後方を向いている。前面には十字形の隆線があり、これにより4区画に分けられている。上区には外側に舌骨舌筋、内側にオトガイ舌筋がつき、下区には外側に肩甲舌骨筋、内側に胸骨舌骨筋がつく。大角は体の外側端から後上方に延びる骨片で、その先端はは肥厚する。小角は体と大角の結合部から円錐形を呈して後上方に着きだし、その先端は茎突舌骨靱帯によって側頭骨茎状突起と連結する。この靱帯はまれに骨化することがある。舌骨は系統発生的に鰓の骨格の一部に相当するもので、舌骨体の上部、小角、茎突舌骨靱帯および側頭骨茎状突起が第2臓弓軟骨、舌骨体の下部と大角が第3臓弓軟骨に由来する。Hyoideumはギリシャ語のυ(hy)に似た(eidos)という意味の形容詞。なお日本語の「舌骨」はドイツ名Zungenbeinの直訳であるが、この骨は舌の根もと(舌根)に存在して、筋肉を介して舌と密接な関係がある。)