444
- 444_01【Intercrural fibres of superficial inguinal ring; Intercrural fibers of superficial inguinal ring脚間線維(浅鼡径輪の) Fibrae intercrurales anuli inguinalis superficialis】 Fibers passing in an arch between the medial and lateral crura.
→(浅鼡径輪の内側脚と外側脚は鼡径管の前壁となる部では脚間線維で強められている。)
Fallopian ligament; Poupart's ligament; Vesalius' ligament
- 444_02Fallopian ligament; Poupart's ligament; Vesalius' ligament【Inguinal ligament鼡径靱帯;鼡径弓 Ligamentum inguinale; Arcus inguinalis】 Inferior end of the aponeurosis of the external oblique. It passes from the anterior superior iliac spine to the pubic tubercle.
→(鼡径靱帯は上前腸骨棘と恥骨結節との間に張る靱帯で、前面における体幹と下肢の境界である。外腹斜筋の停止腱膜のつくる腱弓の発達したものである。恥骨櫛は恥骨結節のやや後部から後外側にのびているので、鼡径靱帯は恥骨櫛よりもやや前方にある。鼡径靱帯の内側端の一部は分かれて後走し、恥骨櫛は恥骨結節のやや後部から後外側にのびているので、鼡径靱帯は恥骨櫛よりもやや前方にある。鼡径靱帯の内側端の一部は分かれて後走し、恥骨櫛内側部に達する。これを裂孔靱帯といい、鼡径管下壁の形成に関与する。裂孔靱帯外側縁が恥骨櫛に沿ってのびているものを恥骨櫛靱帯という。また、浅鼡径輪の外側脚をを作る外腹斜筋腱膜線維が鼡径靱帯内側端に到達した後、上内側に方向をかえて反転し、腹直筋鞘前葉をつくる内腹斜筋の前面に向かって線維を送る。これを反転靱帯といい、鼡径管内側端に到達した後、上内側に方向をかえて反転し、腹直筋鞘前葉をつくる内腹斜筋の前面に向かって線維を送る。これを反転靱帯といい、鼡径管内側端で、その後壁の形成に関与する。プーパルの靱帯とも呼ばれる。Poupart, Francois (1616-1708)フランスの外科医、ルイ14世の侍医。プーパルの靱帯(鼡径靱帯)を既述("Suspenseurs del'-abdomen", Hist. Acad. Roy. Sci., Paris, 1730, 51)、プーパル線は鼡径靱帯の中心と鎖骨とを結ぶ線。)
Burn's ligament; Hey's ligament
- 444_03Burn's ligament; Hey's ligament【Falciform margin of saphenous opening鎌状縁;弓状縁(伏在裂孔の) Margo falciformis hiatus saphenus; Margo arcuatus hiatus saphenus】 Arched margin of the saphenous opening, mainly along its lateral border.
→(伏在裂孔の周縁をつくる大腿筋膜は肥厚して内側に向いたC字形を示し、その上縁を上角、下縁を下角といい、また両者の中間部を鎌状縁という。)
- 444_04【Superior horn of falciform margin of saphenous opening上角;上脚;近位角(伏在裂孔の鎌状縁の) Cornu superiu; Crus superius; Cornu proximale】 Upper arch of the falciform margin.
→(伏在裂孔の上角は鎌状縁の上部。)
- 444_05【Femoral ring; Femoral foveola大腿輪;大腿小窩 Anulus femoralis; Foveola femoralis】
→(大腿輪は大腿管の入口。血管裂孔の最も内側の部分で、大腿静脈の内側にあるせまい間隙をいう。ここは大腿管の上端部にあたり、径約1cmの楕円形をなす。前壁は鼡径靱帯、後壁は恥骨筋膜、内側は裂孔靱帯、外側は大腿静脈によってつくられ、リンパ管、リンパ節、および少量の脂肪組織によってみたされる。大腿輪の腹腔側は、横筋筋膜と壁側腹膜におわれるだけで、おの部を大腿輪中隔といい、腹壁の抵抗の弱い部分にあたる。鼡径部から外腸骨リンパ節に通じる多数のリンパ管によって貫かれる。)
Gimbernat's ligament
- 444_06Gimbernat's ligament【Lacunar ligament; Lacunar inguinal ligament裂孔靱帯 Ligamentum lacunare】 Arched connective-tissue band that extends inferiorly from the medial attachment of the inguinal ligament to the pubis.
→(鼡径靱帯の内側部は後方に向かって広がり、恥骨筋膜と癒着しながら恥骨櫛内側部に至る。これを裂孔靱帯といい、血管裂孔の内側縁をなし、外方にすこしくぼんで鋭い。ギムベルナト靱帯とも呼ばれる。ギムベルナト Gimbernat, Don Mannuel Louise Antonio de (1734-1790)スペインの外科医、解剖学者1762年から1774年までバルセロナ大学教授。カルロス3世の侍医。ギベルナト靱帯(1768年)を起始、女性のヘルニア手術法を開発("Nuevo metodo de operar en la hernia crural", 1793)。)
- 444_07【Saphenous opening伏在裂孔;卵円窩 Hiatus saphenus; Fossa ovalis】 Large aperture in the fascia lata just below the inguinal ligament for the passage of the great saphenous vein.
→(BNA,INAでは卵円窩とも呼ばれていた。大腿の前面上部にある大腿筋膜の欠損部で、鼡径靱帯内側端の下方にある。大伏在静脈が大腿静脈に合する直前でこれを通過する。裂孔の周縁をつくる大腿筋膜は肥厚して内側に向いたC字形を示し、その上縁を上角、下縁を下角といい、また両者の中間部を鎌状縁という。伏在裂孔の内側部では、大腿筋膜はその深層の恥骨筋膜に移行して裂孔の床をつくるが、この部はリンパ管や血管によって貫かれて網状を呈し、これを篩状筋膜という。)
- 444_08【Pectoral fascia; Pectoralis major fascia胸筋筋膜;胸筋膜;大胸筋筋膜 Fascia pectoralis; Fascia pectoralis major】 Fascial sheet that encloses the pectoralis major, extending to the deltoid muscle and axillary fascia.
→(胸筋筋膜は大胸筋をおおう筋膜で、体壁筋の表面をおおう筋膜の一部分である。したがって、上方は鎖骨について頚筋膜浅葉に、内側は胸骨について対側の同名筋膜に、下方は浅腹筋膜に連続する。外側では、上方は三角筋膜に、下方は前鋸筋をおおう筋膜に、中間では腋窩筋膜に連続する。なお、大胸筋の裏面では筋膜は発達が不良である。)
- 444_09【Femoral vein大腿静脈 Vena femoralis】 Accompanying vein of the femoral artery that extends from the adductor hiatus canal to the inguinal ligament.
→(大腿静脈は大腿動脈に伴行して内転筋管裂孔において膝窩静脈からつづいておこり、大腿下部では動脈の外側に位置するが、上方に走るにつれて次第にその深層を通って、大腿近位部では動脈の内側に位置するようになる。鼡径靱帯の深層で血管裂孔を通過して腹腔に入り外腸骨静脈となる。)
- 444_10【Great saphenous vein; Long saphenous vein大伏在静脈 Vena saphena magna】 Vein possessing valves that arises on the medial side of the foot and ascends medially, collecting most of the medial superficial cutaneous veins. It passes through the saphenous opening to empty into the femoral vein.
→(大伏在静脈は古くは薔薇静脈とよんだこともある。ギリシャ語のsaphisは「見える」という意味であるというが、他方アラビア語では「かくれた」という意味を表すという。このように語原的にはギリシャ語とアラビア語では反対の意味に解されているのは興味深いが、いずれにしてもVena saphenaの語原ははっきりしていない。大伏在静脈は下肢最大の皮静脈で、下肢の内側に沿って皮下組織の中を上行する。足背の内側縁にはじまり、内果の前を通るが、この部分で皮膚のうえからその走行をみることができる。伏在神経と伴行して下腿の内側を通り、膝関節の後内側を経て大腿内側面を上行し、鼡径靱帯の下方で深く入り、伏在裂孔で大腿静脈にそそぐ。この経過の途中、周辺より多くの皮静脈がこれに合流するが、とくに大腿の内側と後面よりの皮静脈は1本に合して伏在裂孔のやや下方で大伏在静脈にそそぐことがある。これを副伏在静脈という。また大腿の前面や外側面よりの皮静脈が合しこれにそそぐときは、とくに外側伏在静脈とよぶことがある。このときは大内々側面よりのものは内側伏在静脈という。)
- 444_11【Inferior horn of falciform margin of saphenous opening下角;下脚;遠位角(伏在裂孔の鎌状縁の) Cornu inferius; Crus inferius; Cornu distale】 Lower arch of the falciform margin.
→(伏在裂孔の下角は鎌状縁の下部。)
- 444_12【Fascia lata大腿筋膜 Fascia lata】 Fascia enclosing the thigh muscles. It is attached anteriorly to the iliac crest and inguinal ligament, splitting into two layers medial to the sartorius muscle and deep to the inguinal ligament. It forms the C-shaped lateral margin of the saphenous opening and covers the femoral vessels with a perforated sievelike sheet. Its deep portion lies posterior to the femoral vessels. Both layers unite with the pectineal fascia. Laterally it thickens to form a tendinous band. It is continuous with the gluteal fascia to posterosuperior and with the deep fascia of the leg to distal.
→(大腿筋膜は大腿筋全体の表面を包み、上方は鼡径靱帯、腸骨稜、仙骨外側縁および恥骨弓についてから浅腹筋膜および浅背筋膜に連なり、下方は下腿筋膜につづく。よく発達して厚いが、とくに外側部は腱膜様に著しく厚くなって腸脛靱帯となっている。)
- 444_13【External oblique muscle; Abdominal external oblique muscle; External abdominal oblique muscle外腹斜筋 Musculus obliquus externus abdominis】 o:Outer surface of the fifth through twelfth ribs, i: Iliac crest, inguinal ligament, rectus sheath, linea alba. Flexes the trunk, elevates the pelvis, raises intra-abdominal pressure, bends laterally, and rotates the trunk to the contralateral side. I: Intercostal nerves of fifth to twelfth ribs.
→(外腹斜筋の起始は下位8本の肋骨外側面から指状に出ている筋線維束。停止は最下部肋骨からの筋肉性の厚い線維は腸骨稜の外唇前半部に付着し、残りは前腹壁の広い腱膜に付着する。機能としては腹部の収縮、内臓の保護、強い呼気の場合も働く。神経支配は下部6本の胸神経と上部2本の腰神経の前枝。動脈は上および下腹壁動脈の筋枝より受ける。3つの側腹筋の中でもっとも広い領域を占める筋である。最初の起始筋束は、わずかに斜めに下る程度であるが、もっとも尾側の筋束は急角度で下方へ進む。腱膜への移行は、腹直筋の外側縁に並行に直線的に生じ、その線は、上前腸骨棘のやや頭側で急に直角あるいは鋭角に向きを変え、腸骨稜の上端に終わる。このようにして筋角が形成されるが、この角はしばしば皮膚の表面から認められ、古代の彫刻にも良く強調されている。この筋線維束は、筋が引き伸ばされない限りは腸骨稜を越えて膨出し、そのために骨盤の上縁をおおって鼡径隆起を形成する。多くの人において(男性より女性において頻度が高いが)広背筋は外腹斜筋に直接隣接しない。広背筋の前縁と外腹斜筋の後縁の間には尾側が腸骨稜によって境される三角形の領域、腰三角が形成され、この部位の腹壁は、内服斜筋と腹横筋にのみによって形成される。ここは、脊柱に生じ腸骨稜に沿って移動してきた膿瘍が、外へ逃げることが出きる場所であり、まれには(下)腰ヘルニアも出現する。)
- 444_14【Superficial inguinal ring浅鼡径輪;皮下鼡径輪 Anulus inguinalis superficialis; Anulus inguinalis subcutaneus】 Outer opening of the inguinal canal.
→(鼡径管の長さは約4~5cmで、その外口すなわち浅鼡径輪(外または皮下鼡径輪)は鼡径靱帯内側端の上に、内攻すなわち深鼡径輪(内または腹膜下鼡径輪)は鼡径陣地あ中央部の後上にある。)
- 444_15【Medial crus of superficial inguinal ring内側脚(浅鼡径輪の) Crus mediale anuli inguinalis superficialis】 Bundle of fibers arising from the aponeurosis of the external oblique medial to the superficial inguinal ring.
→(浅鼡径輪の内側を斜めに上行する外腹斜筋腱膜の線維群。)
- 444_16【Spermatic cord精索 Funiculus spermaticus】 It consists of the ductus deferens, its accompanying vessels, nerves and connective tissues, as well as coverings.
→(精索は精管が血管、神経とともに皮膜に包まれ、精巣上体から深鼡径輪に達するまでの約11.5cm長の紐状の構造。蔓状静脈叢、精巣動脈、脂肪、平滑筋などを含む。精索と子宮円索とは共に鼡径管を通っているが、その由来は同じではない。精索(精管)に相当するものは女性ではほとんど退化して、わずかに卵巣状態(の縦管)として残り、子宮円索は男性の精巣導帯gubernaculum testis(精巣の下端と陰嚢の皮膚をつなぐ結合組織で、ハンター導帯Hunter's gubernaculumとも呼ぶ)に相当する。このように由来の異なるものが男女で同じ場所を通っている原因は、女性では卵巣下降descent of ovariesが子宮の高さで止まり、卵巣が腹腔外に出てこないからである。)
Riolan, Muscle of
- 444_17Riolan, Muscle of【Cremaster; Cremaster muscle精巣挙筋;挙睾筋 Musculus cremaster】 Muscle that is mainly derived from the internal oblique abdominal muscle and acts to elevate the testes.
→(清祥挙筋は内腹斜筋の最下部筋束から分かれ、鼡径管を通り、精索と精巣(女では子宮円索)を包む。なお、腹横筋最下部筋束も精巣挙筋となりうる。第2腰神経由来の陰部大腿神経から支配を受け、精巣を引き上げる働きがある。)