489
- 489_01【Ilium腸骨 Os ilium; Ilium】
→(寛骨のうち幅広く外方に張り出している部分。出生児には別個の骨であるが、後に坐骨および恥骨と癒合する。下端のやや肉厚な寛骨臼付近が腸骨体で、扇状に拡がる上方部が腸骨翼である。腸骨翼の上縁が腸骨稜で、腸骨翼の内外2面との境の稜線がそれぞれ内唇・外唇、これらの間の粗な部分が中間線である。下端のやや肉厚な寛骨臼付近が腸骨体で、扇状に拡がる上方部が腸骨翼である。腸骨翼の上縁が腸骨稜で、腸骨翼の内外2面との境の稜線がそれぞれ内唇・外唇、これらの間の粗な部分が中間線である。腸骨稜は上方に張り出し、中央やや後方寄りのところが最も高位にあって第3腰椎棘突起と第4腰椎棘突起の間に相当する。また前方で内面に凹、後方で外面に凹のS字状を呈す。幅は中央部が狭く前方と後方で広い。腸骨稜が前縁に移行することで、前下方に突出する丸みを帯びた部分が上前腸骨棘である。この下方の浅い陥凹を隔てて前下方へ突出する部分が下前腸骨棘である。腸骨稜と後縁の境で後方へ突出する部分が下腸骨棘である。腸骨稜と後縁の境で後方へ突出する部分が上後腸骨棘で、この直下の浅い陥凹を隔てて幅広く突出する部分が下後腸骨棘である。下後腸骨棘直下で、坐骨後縁とともに深い切れ込みを呈する部分が大坐骨切痕である。腸骨の内面で、後上方(腸骨稜後方1/3位)から前下方恥骨上肢へ向かう隆線が弓状線で、前上方部の平滑で浅い陥凹を示す腸骨窩と、後下方部の粗な部分である仙骨盤面との境をなす。仙骨盤面では、上方の粗面が腸骨粗面、下方の耳介状を呈し、仙骨との関節面をなす部分が耳状面である。大坐骨切痕に面する平滑な部分は小骨盤側壁をなす。腸骨の外面で寛骨臼縁より上部が粗面状の臀筋面あり、前方で軽く外方へ張り出し後方で陥凹している。前上方から後下方へ向かう3本の隆線が臀筋線で、前殿筋線は最も長く、腸骨稜の前方約1/4から後下方大坐骨切痕上縁の中央部へ向かう。後臀筋線は最も短く、上後腸骨棘の少し前方から下後腸骨棘の少し前方にいたる。下臀筋線は下前腸骨棘の少し上方から後下方へ向かい、大坐骨切痕の尖端近くに達する。)
- 489_02【Acetabulum寛骨臼 Acetabulum】 Articular fossa of the hip joint formed by the ilium, pubis, and ischium.
→(寛骨の外側面の中央部で腸骨、恥骨、坐骨の3骨の合するところには大腿骨と股関節をつくる深い寛骨臼がある。大腿骨頭の先端には長さ約3cmの関節内靱帯(大腿骨頭靱帯)がついており、これが関節窩(寛骨臼)の切痕部に付着している。寛骨臼はその辺縁に線維軟骨性の関節唇が取り巻いてその深さをましている。寛骨臼(Acetabulum)はラテン語のacetum(酢)+abrum(支持台・入れ物)の縮小形abulumからきたacetabulum(酢を入れる小さなびん)に由来する。)
- 489_03【Ischium坐骨 Os ischii; Ischium】 Bone involved in formation of the acetabulum. It surrounds the obturator foramen from inferoposterior.
→(寛骨の後下方部にあり、閉鎖溝の後方と下方部を囲む。寛骨臼の後下部とこの下方の肥厚した三角柱状部が坐骨体で、坐骨体から前内側上方へ伸びる細い扁平柱状部が坐骨枝である。坐骨体の前縁は稜線状で、閉鎖孔の上縁後部および後縁を形成する。寛骨臼切痕の下方、恥骨との癒合部の近くの前縁でしばしばみられる棘上の突起が後閉鎖結節である。後面は後上方やや背側に面し、上方で広く、腸骨臀筋面下部につらなる。腸骨との癒合部は寛骨臼の後部にあたり、やや隆起している。後面下部から坐骨体下端にある隆起しいた比較的大きな粗面部分が坐骨結節である。坐骨結節は上方で幅が広く下方で狭い。後上方から前下方へ比較的水平に走る隆線により、上下の2部分に分けられる。三角形の下部は中央を縦に走る隆線で内外の2部分に分けられる。坐骨のとき身体を支持するのは坐骨結節下部の内側部である。寛骨臼後部と坐骨結節の間に、後上内側から前下外側へ走る浅い溝がある。後面の内側縁が後縁へつづき、後縁の上部は腸骨の後縁とともに大坐骨切痕を形成する。大坐骨切痕の下方で、内後方へ突出する扁平三角錐部が坐骨棘であり、坐骨棘と坐骨結節の間にある丸みをおびた浅い陥凹部が小坐骨切痕である。坐骨結節の外側縁と坐骨体前縁との間にある大腿面および坐骨体前縁と坐骨体後縁の間にある骨盤面は平滑である。坐骨枝は前内側上方へ伸び恥骨下枝と癒合する。癒合部はやや隆起し粗面を呈していることが多い。前面はやや粗で後面は平滑である。上縁は鋭利縁をなし閉鎖溝の下縁を形成する。下縁は粗で恥骨下枝内縁とともに恥骨弓・恥骨下角の形成に関与する。ギリシャ語のIschion(股関節)に由来し、臀部全体や坐るときにあたる骨を意味していた。)
- 489_04【Obturator foramen閉鎖孔 Foramen obturatum】 Round opening in the pelvis in which the obturator membrane replaces the bone.
→(閉鎖孔は寛骨臼の下方にある大きな孔。男性では卵形、女性では三角形に近い形状である。閉鎖孔の前方は恥骨で、後方は坐骨である。閉鎖動静脈および閉鎖神経が通る小孔が開いている他は、結合組織性の閉鎖膜によって大部分が閉じられている。)
- 489_05【Anterior superior iliac spine; Iliospinale anterius上前腸骨棘;前腸骨棘 Spina iliaca anterior superior; Spina ilica ventralis】 Bony projection at the anterior border of the iliac crest giving origin to the sartorius muscle.
→(腸骨稜の前端は鈍円な突起として大きく突出し、上前腸骨棘として体表上からもよく触れる。大腿筋膜張筋および縫工筋が起こる。)
Fallopian ligament; Poupart's ligament; Vesalius' ligament
- 489_06Fallopian ligament; Poupart's ligament; Vesalius' ligament【Inguinal ligament鼡径靱帯;鼡径弓 Ligamentum inguinale; Arcus inguinalis】 Inferior end of the aponeurosis of the external oblique. It passes from the anterior superior iliac spine to the pubic tubercle.
→(鼡径靱帯は上前腸骨棘と恥骨結節との間に張る靱帯で、前面における体幹と下肢の境界である。外腹斜筋の停止腱膜のつくる腱弓の発達したものである。恥骨櫛は恥骨結節のやや後部から後外側にのびているので、鼡径靱帯は恥骨櫛よりもやや前方にある。鼡径靱帯の内側端の一部は分かれて後走し、恥骨櫛は恥骨結節のやや後部から後外側にのびているので、鼡径靱帯は恥骨櫛よりもやや前方にある。鼡径靱帯の内側端の一部は分かれて後走し、恥骨櫛内側部に達する。これを裂孔靱帯といい、鼡径管下壁の形成に関与する。裂孔靱帯外側縁が恥骨櫛に沿ってのびているものを恥骨櫛靱帯という。また、浅鼡径輪の外側脚をを作る外腹斜筋腱膜線維が鼡径靱帯内側端に到達した後、上内側に方向をかえて反転し、腹直筋鞘前葉をつくる内腹斜筋の前面に向かって線維を送る。これを反転靱帯といい、鼡径管内側端に到達した後、上内側に方向をかえて反転し、腹直筋鞘前葉をつくる内腹斜筋の前面に向かって線維を送る。これを反転靱帯といい、鼡径管内側端で、その後壁の形成に関与する。プーパルの靱帯とも呼ばれる。Poupart, Francois (1616-1708)フランスの外科医、ルイ14世の侍医。プーパルの靱帯(鼡径靱帯)を既述(""Suspenseurs del'-abdomen"", Hist. Acad. Roy. Sci., Paris, 1730, 51)、プーパル線は鼡径靱帯の中心と鎖骨とを結ぶ線。)
- 489_07【Interlacunar part of Iliac fascia裂孔間部(腸骨筋膜の) Pars interlacunaris fasclae ilicae】
→(")
- 489_08【Tuberculum of iliac crest腸骨結節(腸骨稜の) Tuberculum iliacum】 Palpable projection on the outer lip about 5 cm posterior to the anterior superior iliac spine at the junction of the anterior gluteal line and the iliac crest.
→(上前腸骨棘の後方5cmにあり、前臀筋線と腸骨稜とが出会う部位にある外唇の隆起。触れることができる。)
Hyrtl's muscle
- 489_09Hyrtl's muscle【Iliopsoas muscle腸腰筋 Musculus iliopsoas】 Muscle comprising the psoas major and iliacus. i: Lesser trochanter. Most important anterior flexor of the leg. Trunk flexion, lateral rotation.
→(腸骨筋と大腰筋からなる複合筋で、共同腱によって大腿骨小転子の前面に停止する。内側部(大腰筋、長線維、大きな挙上作用を持つ)は第12胸椎および第1から4腰椎外側面から起こる深層と大腰椎の肋骨突起から起こる浅層から成る(この両層間に腰神経層の大部分が入る)。外側部(腸骨筋、多数の線維を持ち、大きな力として作用する)は腸骨窩を埋める。骨盤外の起始は股関節の関節包から起こる(関節包張筋)。大腰筋も腸腰筋もともに筋裂孔を(大腿神経とともに)通って骨盤から出る。大腿骨頚の内側をまわりこみ、関節包とは腸恥包で隔てられる。腸恥包は時々関節腔につながる。しばしば他の滑液包、腸骨筋腱下包が小転子と腸腰筋腱の間にある。頭側では薄い大腰筋の筋膜は尾側では厚くなり、腸骨筋の筋膜と合流して鼡径靭帯外側部に強く結びつくとともに、強い結合組織膜として腸腰筋の停止までをおおう。第3の寛骨内筋、小腰筋は人で常在しない。その起始は第12胸椎と第1腰椎である。長い腱は大腰筋上を尾側へ向かい、腸腰筋膜や、特に腸恥骨弓に放散する。)
- 489_10【Vascular space; Vascular lacuna; Retro-inguinal vescular space血管裂孔 Lacuna vasorum retroinguinalis】 Compartment between the pubis, inguinal ligament, and iliopectineal arch for passage of the femoral vessels, the femoral branch of the genitofemoral nerve, and lymphatic vessels.
→(鼡径靱帯と寛骨との間の間隙のうち、腸恥筋膜弓によって二分された内側部をいう。この部は、大腿動脈と大腿静脈と裂孔靱帯との間のせまい間隙は、リンパ節、リンパ管および脂肪組織によってみたされ、この部をとくに大腿輪という。)
- 489_11【Femoral nerve大腿神経 Nervus femoralis】 Thickest branch of the lumbar plexus, which arises from L2-L4. It emerges at the lateral border of the psoas and travels in the muscular space between it and the iliacus. It divides below the inguinal ligament.
→((Netter)大腿神経(L2,L3,L4)は、腰神経叢から出る最大の枝で、腸骨筋と大腿前面の筋群を支配し、股関節や膝関節および周囲の血管へ枝を送り、また下肢の前内側面に皮枝を出す。大腿神経は、第2~4腰神経前枝の背側部から起こり(図10)、大腰筋を下外方へ貫通し、ついで大腰筋と腸骨筋間の溝を走行しながらこれらの筋に支配枝を出す。大腿神経は、鼡径靱帯の後方を通り、大腿部に入る。大腿三角では大腿動脈鞘の外側に位置し、ここで筋枝と皮枝に分かれる。筋枝は、恥骨筋、縫工筋および大腿四頭筋を支配する。恥骨筋へ行く筋枝は、鼡径靱帯の高さで起こる。縫工筋への筋枝は、この筋の上部2/3に入る。また数本の枝は、大腿神経前皮枝と起始を同じくしている。大腿四頭筋への支配枝は、図のごとく支配する。すわなち大腿直筋と外側広筋への枝は、両筋の後面へ入る。また、中間広筋への枝は、その前面から中間広筋に入り、中間広筋を貫いて下部にある膝関節筋を支配する。さらに、内側広筋への枝は、内転筋管を大腿動静脈と伏在神経の外側に沿って様々な長さを走りながら、次々に内側広筋へ枝を出し、そのうちの何本かは中間広筋や膝関節筋に終わる。 大腿神経の前皮枝は、大腿三角に起こる。鼡径靱帯より8~10cm遠位で、この神経のすべての枝は大腿筋膜を貫き、膝関節の高さまで下行する。走行の間に、大腿前面および内側面を覆う皮膚と筋膜に枝を送る。伏在神経は、大腿神経の最大かつ最長の枝であり、大腿三角の高さで起こり、大腿動静脈の外側に沿って大腿三角内を下行し、内転筋管に入る。ここでこの神経は大腿動静脈を斜めに越え、大内転筋下端の前面で、これらの動静脈内側に位置するに至る。内転筋管内において、伏在神経は、大腿神経前皮枝および閉鎖神経と交通して縫工筋下神経叢を形成する。内転筋管下端では、この神経は、大腿動静脈から離れて膝蓋下枝を生じる。この枝は、縫工筋の後縁を回り、大腿筋膜を貫いて走行を続け、膝関節や膝蓋靱帯の内面および前面を覆う皮膚に分布する。膝蓋下枝は大腿神経前皮枝および外側大腿皮神経より枝を受けて膝蓋神経叢を作る。伏在神経は、膝関節の内側面を下行し、縫工筋と薄筋の間で大腿筋膜を貫く。この後、大伏在静脈の近傍で下腿の内側面を下行し、内側下腿皮枝を出す。伏在神経は、下腿の下部でさらに2枝に分かれる。小さな枝は脛骨内側縁に沿って足首まで下げる。他方、大きい枝は、内果前面を越え、足の内側面と足背を覆う皮膚と筋膜に分布する。関節枝は、大腿直筋の支配枝から起こり、外側大腿回旋動脈の関節枝と共に股関節に至る。大腿の広筋群への支配枝からの小枝および伏在神経からの小枝が、膝関節を支配する。)
- 489_12【Femoral artery大腿動脈 Arteria femoralis】 Artery extending from the inguinal ligament to the popliteal artery,
→(大腿動脈は外腸骨動脈よりつづいて鼡径靱帯の直下にはじまり下行して大腿内側部の中1/3と下1/3の境界あたりで、内転筋管裂孔を貫いて膝窩に出て膝窩動脈となる。大腿の上1/3のあたりでは大腿静脈と並んで大腿三角を通り(静脈が内側)、中1/3では縫工筋に被われて内転筋管を通る。)
- 489_13【Iliopectineal bursa腸恥包 Bursa iliopectinea】 Bursa situated between the iliopsoas, pelvic bone, and iliofemoral ligament. It overlies the hip joint, with which it often communicates.
→(腸恥包は腸腰筋の後面と股関節の関節包との間にあるよく発達した滑液包で、ときに腸骨大腿筋と恥骨大腿靱帯の間を通って股関節の関節腔と連絡することがある。)
- 489_14【Femoral vein大腿静脈 Vena femoralis】 Accompanying vein of the femoral artery that extends from the adductor hiatus canal to the inguinal ligament.
→(大腿静脈は大腿動脈に伴行して内転筋管裂孔において膝窩静脈からつづいておこり、大腿下部では動脈の外側に位置するが、上方に走るにつれて次第にその深層を通って、大腿近位部では動脈の内側に位置するようになる。鼡径靱帯の深層で血管裂孔を通過して腹腔に入り外腸骨静脈となる。)
- 489_15【Iliopubic ramus; Iliopubic eminence腸恥隆起 Eminentia iliopubica; Eminentia iliopectinea】 Flat eminence near the proximal part of the pubis.
→(恥骨上枝の上端にあたり、寛骨急の前縁から寛骨の前縁に沿う部分が高まって腸恥隆起を作っている。)
- 489_16【Femoral ring; Femoral foveola大腿輪;大腿小窩 Anulus femoralis; Foveola femoralis】
→(大腿輪は大腿管の入口。血管裂孔の最も内側の部分で、大腿静脈の内側にあるせまい間隙をいう。ここは大腿管の上端部にあたり、径約1cmの楕円形をなす。前壁は鼡径靱帯、後壁は恥骨筋膜、内側は裂孔靱帯、外側は大腿静脈によってつくられ、リンパ管、リンパ節、および少量の脂肪組織によってみたされる。大腿輪の腹腔側は、横筋筋膜と壁側腹膜におわれるだけで、おの部を大腿輪中隔といい、腹壁の抵抗の弱い部分にあたる。鼡径部から外腸骨リンパ節に通じる多数のリンパ管によって貫かれる。)
Gimbernat's ligament
- 489_17Gimbernat's ligament【Lacunar ligament; Lacunar inguinal ligament裂孔靱帯 Ligamentum lacunare】 Arched connective-tissue band that extends inferiorly from the medial attachment of the inguinal ligament to the pubis.
→(鼡径靱帯の内側部は後方に向かって広がり、恥骨筋膜と癒着しながら恥骨櫛内側部に至る。これを裂孔靱帯といい、血管裂孔の内側縁をなし、外方にすこしくぼんで鋭い。ギムベルナト靱帯とも呼ばれる。ギムベルナト Gimbernat, Don Mannuel Louise Antonio de (1734-1790)スペインの外科医、解剖学者1762年から1774年までバルセロナ大学教授。カルロス3世の侍医。ギベルナト靱帯(1768年)を起始、女性のヘルニア手術法を開発(""Nuevo metodo de operar en la hernia crural"", 1793)。)
- 489_18【Superficial inguinal ring浅鼡径輪;皮下鼡径輪 Anulus inguinalis superficialis; Anulus inguinalis subcutaneus】 Outer opening of the inguinal canal.
→(鼡径管の長さは約4~5cmで、その外口すなわち浅鼡径輪(外または皮下鼡径輪)は鼡径靱帯内側端の上に、内攻すなわち深鼡径輪(内または腹膜下鼡径輪)は鼡径陣地あ中央部の後上にある。)
- 489_19【Pectineus muscle恥骨筋 Musculus pectineus】 o: Pectineal line of pubis. i: Pectineal line of femur, linea aspera. Flexion, adduction, and medial rotation at the hip. I: Femoral and obturator nerves.
→(恥骨筋は腸恥隆起-恥骨結節間の恥骨上肢から起こり、大腿骨の恥骨筋線に停止する。この筋はもとももと腸腰筋群と同じ原基に由来する。本筋の構成に内転筋群がどの程度関わるかには個体差がある。恥骨筋は腸骨筋膜の延長部分である恥骨筋膜におおわれ、腸腰筋とともに腸恥窩には大腿動静脈が通る。)
- 489_20【Pubic tubercle恥骨結節 Tuberculum pubicum】 Tubercle situated anterolateral to the pubic symphysis.
→(恥骨櫛の前端の付近に上方に突出する小さな恥骨結節がある。)
- 489_21【Pubis; Pubic bone恥骨 Os pubis; Pubis】 Bone involved in formation of the acetabulum and the anterior and inferior borders of the obturator foramen.
→(恥骨は寛骨の前下部を占める。恥骨体、恥骨上枝および恥骨下枝の3部に分けられる。寛骨臼の前方約5分の1と寛骨の前下方部を形成し、対側の恥骨と恥骨結合面で軟骨(線維軟骨)結合をする。長楕円形の恥骨結合面を含む前上部が恥骨体である。丸みをおびた恥骨体上縁の外側端にある隆起が恥骨結節で、恥骨結節から恥骨結合面へ向かう、恥骨体前面との移行部の粗な隆線が恥骨稜である。恥骨体の上外側から後上外側へ伸び、寛骨臼に達する三角柱状の部分が恥骨上枝である。恥骨上枝上面(櫛状面)は三角形を呈す。恥骨結節から寛骨臼部へいたる、上面外側前方の丸みをおびた隆線が閉鎖稜であり、恥骨結節から後上外側の橈骨との癒合部を示す粗な隆起へいたる、上面内側後方の稜線が恥骨櫛である。腸骨との境界部は肥厚しているが、寛骨臼前下縁にいたる、とくに肥厚した部分が腸恥隆起である。恥骨櫛・恥骨稜は分界線の恥骨部をなす。内側面(骨盤面)は恥骨櫛と、鋭利縁をなす下縁との間の平滑な面で、外側部で幅が狭くなる。下面(閉鎖面)には内側面下後方から下面前下方へ向かう閉鎖溝がある。閉鎖溝は前方が閉鎖稜で、後方は下縁で境される。下縁中央部で、やや後方へ突出した小隆起が前閉鎖結節である。生体では前閉鎖結節と後閉鎖結節との間に、閉鎖膜の上縁をなす線維束が張って閉鎖溝の底となり閉鎖管を形成する。腸骨体の下外側から後下外側方へ伸びる扁平な部分が恥骨下枝で、坐骨枝と癒合し閉鎖溝の下縁をなす。癒合部は粗な隆起部として残ることがある。恥骨下枝の上縁は鋭いが、下縁は被厚し粗面をなす。下縁の内側部が粗に隆起して陰茎稜を示すことがある。ラテン語のPubes(陰部)に由来する。Pubesはpuberty(思春期)の語でわかるように、元来は成人の意味で、これから成人のシンボルである陰毛(pubes)のこととなった。このpubesはやがて陰部を指すようになり、その所有格によって「恥部の骨」os pubisの名が生まれた。)