504
- 504_01【Sacrotuberous ligament; Sacrotuberal ligament仙結節靱帯 Ligamentum sacrotuberale; Ligamentum sacrotuberosum】 Strong band that extends from the sacrum and the ilium to the ischial tuberosity.
→(仙結節靱帯は三角形をした強大な靱帯で、坐骨結節よりおこり、内上方に扇形に放散して、下後腸骨棘、仙骨下半部の外側縁、鼻骨につく。仙棘靱帯とともに、大坐骨切痕および小坐骨切痕をそれぞれ大坐骨孔、小坐骨孔にかえる。また後面は大臀筋の起始となる。しばしば下臀皮神経の枝によって貫かれる。この靱帯の深層で、これと仙棘靱帯との間を、陰部神経、内陰部動静脈が走る。)
- 504_02【Piriformis muscle梨状筋 Musculus piriformis】 o: Anterior surface of sacrum, i: Greater trochanter, medial aspect of the apex. Abduction, extension, and lateral rotation at the hip joint. 1: Sacral plexus.
→(梨状筋は骨盤の後側の深層にある回旋筋で仙骨の骨盤筋膜(前仙骨孔およびそれらの外側の)と仙腸関節の関節包から、大坐骨切痕上縁に由来する線維束とともに、起始する。大坐骨孔を通過して、同孔を梨状筋上孔と下孔に分け、大腿筋の深層を骨盤外側をおおって走り、大転子先端の内側に至る。広い起始に始まり、梨状筋は次第に収束して細い停止腱となる。股関節と停止腱は滑液包により隔てられる。坐骨神経の梨状筋枝から支配を受け、股関節の外転、伸展および外旋を行う。)
- 504_03【Gemellus muscles双子筋 Musculi gemellus】
→(内閉鎖筋腱の上下に位置する1対の回旋筋。上双子筋と下双子筋があり、いずれも坐骨からおこって大腿骨に停止しする。支配神経:仙骨神経叢(L5,S1,S2)。動脈:下殿動脈(←内腸骨動脈)。(イラスト解剖学))
- 504_04【Trochanteric bursa of gluteus maximus大殿筋の転子包;大臀筋の転子包;大転子筋膜下嚢 Bursa trochanterica musculi glutei maximi; Bursa trochanterica subfascialis】 Bursa situated between the tendon of the gluteus maximus and the greater trochanter.
→(大臀筋の転子包は大臀筋の深層で、大臀筋腱と大転子との間にある。)
- 504_05【Obturator internus muscle; Internal obturator muscle内閉鎖筋 Musculus obturator internus】 o: Internal surface of obturator membrane and surrounding area, i: Trochanteric fossa of greater trochanter. Lateral rotation, abduction, adduction. I: Sacral plexus.
→(内閉鎖筋と2つの双子筋は発生的にはひとまとまりである。内閉鎖筋はその起始を骨盤腔内へ移し、閉鎖膜上および閉鎖孔の骨性枠から起こるに至った。小坐骨孔縁(軟骨でおおわれている)が視点となり、内閉鎖筋包が介在し、ここで急に走行を骨盤外へ変える。骨盤の外にある部分は3分筋のうちの2頭、つまり上下の双子筋を多少なりともおおう。上双子筋は坐骨棘を発し、下双子筋は坐骨結節を発する。内閉鎖筋の停止腱の上下縁にはそれぞれ上下の双子筋が合流し、転子窩に終わる。骨盤内にある内閉鎖筋は強い内閉鎖筋膜に包まれ、これが肛門挙筋の起始となる。内閉鎖筋膜は肛門挙筋起始部では弓状をした腱様の筋膜束(肛門挙筋腱弓)で補強さえている。肛門挙筋腱弓よりも上で、内閉鎖筋は小骨盤の筋性壁をつくり、その筋膜は壁側骨盤筋膜の一部となる。これより下では内閉鎖筋とその筋膜は外側部において、骨盤底の下にある結合組織性の部位、すなわち坐骨直腸窩を区画する。)
- 504_06【Quadratus femoris muscle大腿方形筋 Musculus quadratus femoris】 o: Ischial tuberosity. i: Intertrochanteric crest. Lateral rotation and adduction. I: Sacral plexus.
→(大腿方形筋はほとんど筋性で、大腿骨が正常位にあれば四辺形である。坐骨結節から転子間稜へ横走する。筋の大きさから予想する以上にこの筋が効果的に股関節外施に働くのは筋力のほとんどが外施に有効となるような筋線維走行だからである。)
- 504_07【Gracilis muscle薄筋;大腿薄筋 Musculus gracilis】 o: Inferior pubic ramus. i: Medial tibial surface. Adduction, flexion, and extension at the hip joint. Flexion and medial rotation at the knee joint I: Obturator nerve.
→(薄筋は大腿内側の筋で内転筋群のうちで唯一の二関節筋である。薄く扁平な筋として、恥骨結合直下の恥骨下枝から起こり、大腿内側面を下行する。平走する筋線維からなり、長い停止腱は大腿遠位3分の1に終わる。遠位では大腿骨内側顆のうしろに達し、鵞足をつくって脛骨内側面、脛骨粗面のうしろ、および大腿の深筋膜に終わる。神経支配は閉鎖神経で大腿の内転、膝の屈曲、下肢を内旋する。)
- 504_08【Adductor magnus muscle大内転筋 Musculus adductor magnus】 o: Inferior pubic ramus, ramus of ischium. i: Medial lip of linea aspera and, via a long tendon, the medial epicondyle. Adduction, lateral rotation, and extension at the hip joint. I: Obturator and tibial nerves.
→(大内転筋は内転筋群の中で最強、人体中最大の筋の1つである。他の内転筋の背側、恥骨下枝および隣接する坐骨枝から坐骨結節までを起始とする。他の起始をもつ部分はほとんどが粗線内側唇に筋性停止する。)
- 504_09【Semimembranosus muscle半膜様筋 Musculus semimembranosus】 o: Ischial tuberosity. i: Medial condyle of tibia and oblique popliteal ligament. It is partly covered by the semitendinosus muscle. Extension at the hip joint; flexion and medial rotation at the knee joint. Tenses the knee joint capsule. I: Tibial nerve.
→(半膜様筋は大腿二頭筋長頭と大腿方形筋の起始の間の坐骨結節から起こる。脛骨内側顆、膝関節包後壁および膝窩筋の筋膜に停止する。半膜様筋は中4分の2のみが筋性である。起始腱は広い腱性の板をなし、停止腱も同じ平板である。3本の腱様の索として終わる。脛骨への索は腹側で迂回し、内側側副靱帯の下の脛骨内側顆に付く。中央の索は筋の方向を受け継ぎ、一部は脛骨近位端後面に、一部は膝窩筋の筋膜に付く。腓骨への索は膝関節包の後壁を補強し、斜膝窩靱帯として大腿骨外側顆に向かって外側へ射創する滑液包が通常同筋の停止腱と脛骨内側顆の間にある。)
- 504_10【Semitendinosus muscle半腱様筋 Musculus semitendinosus】 o: Ischial tuberosity. i: Medial surface of tibia. Extension at the hip joint. Flexion and medial rotation at the knee joint. I: Tibial nerve.
→(半腱様筋は大腿二頭筋長頭の起始近くの坐骨結節から起こり、鵞足を介して脛骨近位端内側面および下腿筋膜に終わる。半腱様筋は半膜様筋によってつくられた溝の中を遠位へ向かう。長い停止腱は大腿部ですでに始まり(ここから“半腱様”の名がつけられた)、鵞足の深層へと放散する。)
- 504_11【Gluteus medius muscle中殿筋;中臀筋 Musculus gluteus medius】 o: Lateral surface of ilium, i: Greater trochanter. Abduction, medial and lateral rotation, extension, and flexion at the hip joint. I: Superior gluteal nerve.
→(中臀筋は腸骨稜と前後の臀筋線に囲まれた腸骨翼領域から起こる。大転子先端外表面に停止する。中臀筋の線維束は大転子に集まり、外側から見ると三角形を呈する。大転子では腹側からきた線維短い停止腱に前に背側の筋束上に重なる。滑液包(中臀筋の転子包)が大転子と筋の間にある。中臀筋は大腿筋膜に被われ、大腿筋膜下面からも起始する。同筋の後部は大臀筋前縁部の深層に位置する。)
- 504_12【Gluteus maximus muscle大殿筋;大臀筋 Musculus gluteus maximus】 o: Ilium, behind the posterior gluteal line, sacrum, coccyx, thoracolumbar fascia, sacrotuberous ligament, i: Fascia lata, iliotibial tract, gluteal tuberosity, lateral femoral intermuscular septum, linea aspera. Extension, lateral rotation, abduction, and adduction at the hip joint. I: Inferior gluteal nerve.
→(大臀筋は大腿を伸展する主力筋で、とくに歩行の際重要である。中臀筋や小臀筋(小さな臀部の筋群)と同様、大きな臀部の筋である大臀筋も発生的には伸筋群である。仙骨と尾骨の辺縁、後臀筋線より後方の腸骨稜、胸腰筋膜、そして仙結節靭帯などから起始する。その厚い筋線維束は斜め下方へ走り、広い停止腱となる。その停止域は近位では大腿筋膜、腸脛靱帯に放散する。また、臀筋粗面よりも遠位で外側筋間中隔より上の粗線外側唇にも停止する。坐骨包坐骨結節と大臀筋下面の筋膜との間にある。慢性的刺激の結果として(機織工結節、抗夫結節)、臀部に敷物なしに座り仕事をする人々では同包に炎症が起こり、後大腿皮神経を圧迫する。大腿筋の停止腱は転子包によって大転子と離される。臀筋粗面では、大腿筋はふつう他の臀筋との間にあるいくつかの筋間包の上を滑走する。立位では大臀筋下部が坐骨結節をおおう。大腿を屈すると大臀筋下部は頭側に移動する。このため座位では坐骨結節は皮下脂肪上に位置し、皮膚を通して容易に触れる。臀溝はほぼ水平に走り、大臀筋収縮時には深くなるが、大臀筋の下縁をあらわしているわけではなく、同筋走行に対して鋭角的に交わる。)
- 504_13【Subcutaneous trochanteric bursa皮下転子包;大転子皮下包 Bursa subcutanea traochanterica】 Bursa situated on the tendon of the gluteus maximus between the skin and the greater trochanter.
→(皮下転子包は大臀筋の表層で大転子部の皮下にある。)
Maissiat, Bandelette of
- 504_14Maissiat, Bandelette of【Iliotibial tract腸脛靱帯 Tractus iliotibialis】 Vertically oriented lateral thickening of the fascia lata extending from the anterior part of the iliac crest to the lateral condyle of the tibia. It receives fibers from the tensor muscle of the fascia lata and the gluteus maximus.
→(腸脛靱帯は大腿筋膜の補強層として腸骨稜から大腿外側を下行し、股関節と膝関節をこえて脛骨外側顆に至る。大腿筋膜張筋、大腿筋、中臀筋の腱性線維から起こり、脛骨への停止以外では、外側筋間中隔を介して大腿骨に付着する。また、腓骨頭や外側膝蓋支帯への線維もある。腸脛靱帯は大腿骨の牽引帯である。立脚期には体重が大腿骨を内側にくぼませる曲げの力として働く。腸脛靱帯の緊張は大腿骨を逆方向に曲げる力を生じ、大腿骨内側に加わる圧力と外側に加わる張力を大きく軽減する。中臀筋の収縮は骨盤の落込みを防ぐとともに腸脛靱帯を緊張させ、支持脚側への荷重が増すにしたがって牽引帯としての作用を発揮させる。)
- 504_15【Biceps femoris muscle大腿二頭筋 Musculus biceps femoris】 Two-headed muscle arising from the pelvis and femur, i: Head of fibula. Flexion at the knee joint, lateral rotation.
→(大腿二頭筋は2関節性の長頭と1関節性の短頭から成る。長頭は坐骨結節で半腱様筋と総頭をつくって起こる。短頭は粗線の外側唇の中1/3と外側筋間中隔から起こる。これら両頭は合して2頭筋となり、腓骨頭に終わる。その際この筋と膝関節の外側側副靱帯との間に大腿二頭筋の下腱下包がある。股関節では長頭は大腿を後斜するように働く。膝関節では大腿二頭筋は屈曲するように働き、屈曲した状態では下腿を外旋する。この筋は膝関節における唯一の外旋筋であって、すべての内旋筋に匹敵する作用をもっている。)
- 504_16【Long head of biceps femoris muscle長頭(大腿二頭筋の) Caput longum (Musculus biceps femoris)】 o: Ischial tuberosity. Extension at the hip joint. I: Tibial nerve.
→(大腿二頭筋の長頭は半腱様筋とともに坐骨結節後面から起こる。短頭は粗線外側唇の中1/3から起こる。同レベルの粗線内側唇に停止する長内転筋の線維方向を短頭は引き継ぐ。両頭の共通停止腱は腓骨頭に止まる。腱線維の一部は脛骨外側顆および下腿筋膜に達する。大腿二頭筋腱は腱下包によって外側側副靱帯と隔てられる。)