507_01【Sartorius muscle縫工筋 Musculus sartorius】 o: Anterior superior iliac spine, i: Medial to the tibial tuberosity. Flexion, abduction, lateral rotation at the hip joint; flexion and medial rotation at the knee joint. I: Femoral nerve. →(縫工筋は大腿前部浅層の筋。上前腸骨棘からラセン状に大腿前面と内側面を走る。大腿筋膜がつくる筋膜の鞘に包まれている。その弓状走行により、同筋は背側にある膝関節の屈曲軸を横切ることになる。停止腱は遠位かつ腹側へ斜走し、脛骨内側面(脛骨粗面のうしろ)が鵞足に、また下腿筋膜に停止する。鵞足は縫工筋(浅層)、薄筋および半腱様筋(深層)の末広がりの停止腱が1カ所に集まってできる。その様子は鵞の足の水掻きが折れ重なったようにみえる。鵞足は内側側副靱帯とは鵞足包で隔てられ、その腱線維は脛骨内側面に放散する。また、浅層の線維は下腿筋膜に続く。かつて縫工(仕立屋)は作業をするときに、あぐらをかくように脚をむく姿勢をとった。このように、大腿を屈曲・外転・外旋し、かつ膝を屈曲するのに、縫工筋が働くと考え、名付けられた。)
507_02【Rectus femoris muscle大腿直筋 Musculus rectus femoris】 Two-headed muscle. Also flexes the hip joint. Contributes fibers to the lateral and medial patellar retinacula. →(大腿直筋は大腿前側の筋で大腿四頭筋の中央浅層にある。羽状筋の大腿直筋は下前腸骨棘から起こる直頭と寛骨臼上縁や股関節から起こる反転頭からなる。起始腱中心部からの線維は膝蓋骨の上縁に終わるが、膝蓋骨前面を通って膝蓋靱帯となる。両側方の線維は膝蓋骨の両側へ放散し、膝蓋支帯になる。)
507_03【Vastus medialis muscle内側広筋;脛側広筋 Musculus vastus medialis; Musculus vastus tibialis】 o: Medial lip of linea aspera. →(内側広筋は粗線内側唇の近位2/3と長および大内転筋停止腱から起こる。近位の線維は斜めに下行し、遠位の線維はほとんど横走する大腿四頭筋の共通停止腱に加えて内側広筋の線維は膝蓋骨内側縁や内側膝蓋支帯へ達する。)
507_04【Medial patellar retinaculum内側膝蓋支帯;脛側膝蓋支帯 Retinaculum patellae mediale; Retinaculum patellae tibiale】 Aponeurosis that is derived from a portion of the vastus medialis muscle lying medial to the patella. It inserts medially to the tibial tuberosity, ensures proper patellar tracking by means of muscular contraction, and functions as a back-up extensor mechanism. →(膝蓋骨および膝蓋靱帯の両側には、内・外側広筋につづく腱膜がその表面を被う大腿後筋膜と合して作る膜状に拡がった強い縦走線維束が関節包を補強する。これが内側膝蓋支帯および外側膝蓋支帯と呼ばれるものである。)
507_05【Patella膝蓋骨 Patella】 The kneecap, which is embedded in the tendon of the quadriceps femoris muscle. →(膝関節の前面にあり、尖端を下方に向けた扁平な栗の実によく似た骨で、幅広い上端部が膝蓋骨底で、尖った下端部が膝蓋骨尖である。大腿四頭筋腱中に発生した種子骨とみなされ、上縁には大腿直筋と中間広筋の内側縁には内側広筋の、外側縁には外側広筋のそれぞれの腱が付着する。前面は凸面状で、大腿四頭筋腱による縦に走る小隆起を伴う粗面をなし、小血管孔がある。後面には、上方の広い卵形の平滑な面と、下方の小さい逆三角形の粗な面がある。平滑な面は大腿骨の膝蓋面に対する関節面をなし、中央部にある縦方向の隆起によって小さい内側部と大きい外側部に分けられる。下方の粗面の下端には膝蓋靱帯が付着するが、粗面の上方部には脂肪組織が入り、脛骨と膝蓋骨とを隔てる。ラテン語のPatera(皿・円板状の)の縮小形。)
507_06【Patellar ligament膝蓋靱帯;膝蓋腱 Ligamentum patellae】 Ligamentous continuation of the tendon of the quadriceps femoris muscle that passes from the apex of the patella to the tibial tuberosity. It is 2-3 cm wide and about 0.5 cm thick. →(膝蓋腱と膝蓋靱帯は同義語。本体は大腿四頭筋の停止腱であるから、膝蓋腱という方が理論的には正しいが、膝蓋骨の下部から起こって脛骨粗面に着く強靱な線維束を膝蓋靱帯といい、膝蓋骨に着く上端が幅広く、下部が細い。また膝関節包を補強する意味から膝蓋靱帯という名が採用されている。また膝蓋腱とう語も慣用されている。)
507_07【Tibial tuberosity脛骨粗面 Tuberositas tibiae】 Roughened area near the upper part of the anterior border of the tibia giving attachment to the patellar ligament. →(脛骨体の前縁の上端はS状に曲がる縁で脛骨粗面(上半部に膝蓋靱帯がつく)となって結節状に隆起している。脛骨粗面の上半のやや平滑なところは膝蓋靱帯の着く所である。)
507_08【Gracilis muscle薄筋;大腿薄筋 Musculus gracilis】 o: Inferior pubic ramus. i: Medial tibial surface. Adduction, flexion, and extension at the hip joint. Flexion and medial rotation at the knee joint I: Obturator nerve. →(薄筋は大腿内側の筋で内転筋群のうちで唯一の二関節筋である。薄く扁平な筋として、恥骨結合直下の恥骨下枝から起こり、大腿内側面を下行する。平走する筋線維からなり、長い停止腱は大腿遠位3分の1に終わる。遠位では大腿骨内側顆のうしろに達し、鵞足をつくって脛骨内側面、脛骨粗面のうしろ、および大腿の深筋膜に終わる。神経支配は閉鎖神経で大腿の内転、膝の屈曲、下肢を内旋する。)
507_09【Semimembranosus muscle半膜様筋 Musculus semimembranosus】 o: Ischial tuberosity. i: Medial condyle of tibia and oblique popliteal ligament. It is partly covered by the semitendinosus muscle. Extension at the hip joint; flexion and medial rotation at the knee joint. Tenses the knee joint capsule. I: Tibial nerve. →(半膜様筋は大腿二頭筋長頭と大腿方形筋の起始の間の坐骨結節から起こる。脛骨内側顆、膝関節包後壁および膝窩筋の筋膜に停止する。半膜様筋は中4分の2のみが筋性である。起始腱は広い腱性の板をなし、停止腱も同じ平板である。3本の腱様の索として終わる。脛骨への索は腹側で迂回し、内側側副靱帯の下の脛骨内側顆に付く。中央の索は筋の方向を受け継ぎ、一部は脛骨近位端後面に、一部は膝窩筋の筋膜に付く。腓骨への索は膝関節包の後壁を補強し、斜膝窩靱帯として大腿骨外側顆に向かって外側へ射創する滑液包が通常同筋の停止腱と脛骨内側顆の間にある。)
507_10【Semitendinosus muscle半腱様筋 Musculus semitendinosus】 o: Ischial tuberosity. i: Medial surface of tibia. Extension at the hip joint. Flexion and medial rotation at the knee joint. I: Tibial nerve. →(半腱様筋は大腿二頭筋長頭の起始近くの坐骨結節から起こり、鵞足を介して脛骨近位端内側面および下腿筋膜に終わる。半腱様筋は半膜様筋によってつくられた溝の中を遠位へ向かう。長い停止腱は大腿部ですでに始まり(ここから“半腱様”の名がつけられた)、鵞足の深層へと放散する。)
507_11【Gastrocnemius muscle腓腹筋 Musculus gastrocnemius】 Superficial leg muscle composed of the following two heads. Flexion at the knee joint, plantar flexion and supination at the ankle joint. →(下腿後側の浅層の筋で、ヒラメ筋と合わせて下腿三頭筋と呼ばれる。大腿骨の内側上顆(内側頭)と外側上顆(外側頭)とから起こる。その停止腱はヒラメ筋とともに合流し、アキレス腱(踵骨腱)となり、踵骨隆起に停止する。踵骨後面の上部と踵骨腱が接近する部位には小さな滑液包が介在する。この筋は脛骨神経支配を受け、距腿関節による足の底屈、膝関節屈曲を生じさせる。Gastrocnemiusはフクラハギ(gastro-腹[腹のようにふくらむ]+kneme脚、スネ))