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- 605_01【Cavernous sinus海綿静脈洞 Sinus cavernosus】 Spongy structure of expanded veins on both sides of the sella turcica into which the ophthalmic veins and other veins empty. The carotid artery and abducent nerve lie within it and cranial nerves III, IV, VI, and V2 travel in its lateral side wall.
→(海綿静脈洞は静脈間が網目に吻合して大きい不規則な網状構造をしている。この海綿静脈洞は蝶形骨洞、トルコ鞍、下垂体などの両側にある静脈洞、上眼窩裂から錐体乳突部の岩様部まで広がっている。海綿静脈洞は、内頚動脈と外転神経をとり囲む。静脈洞の外側壁には動眼神経、滑車神経、三叉神経の枝である眼神経と上顎神経が存在する。左右の海綿静脈洞は脳底静脈叢および下垂体前面にある前海綿間静脈叢と後面にある後海綿間静脈叢により対側の静脈洞と連絡する。眼静脈と蝶形骨頭頂静脈洞は、海綿静脈洞に注ぎ込む。海綿静脈洞は、後方に向かい上錐体静脈洞と下錐体静脈洞に入り、上錐体動脈洞は横静脈洞に、下垂体静脈洞は、短い静脈網によって翼突筋静脈叢や喉頭静脈叢とも連絡する。)
- 605_02【Pituitary gland; Hypohysis; Cerebral hypophysis下垂体;脳下垂体 Hypophysis; Glandula pituitaria】 Gland located in the sella turcica.
→(下垂体は間脳の視床下部から下方に突出する漏斗に連なる内分泌腺である。蝶形骨のトルコ鞍の下垂体窩に位置する無対の小器官で、大きさは前後径約0.5cmで、重さは男性約0.5g、女性ではそれよりやや重い。このような小さい器官であるが、10種類近くのホルモンを分泌し、全身のいろいろな器官の働きを調節している。下垂体は2種のまったく異なった由来をもつ組織が結合してできたもので、腺下垂体と神経下垂体とよばれる。前者は胎児の咽頭上壁が上方に膨出Rathke嚢から生じ、後者は第三脳室の底部である漏斗が下方に伸びだして生じたものであり、両者は厳密に結合している。一般に腺下垂体を前葉、神経下垂体を後葉と呼んでいる。Hypophysisは、「~の下に」を意味するギリシャ語の接頭詞hypoに、「成長する」という意味のギリシャ語phyeinを付けたもので、「下に向かって成長したもの」という意味である。)
- 605_03【Intercavernous sinus海綿間静脈洞 Sinus intercavernosus】
→(左右の海綿静脈洞を前方および後方で吻合させる静脈洞で、下垂体の後ろを前方に進み海綿静脈洞とともに輪状静脈洞を形成する)
- 605_04【Body of sphenoid bone体(蝶形骨の);蝶形骨体;脳底蝶形骨 Corpus (Ossis sphenoidalis)】 The part of the sphenoid between the wings of the sphenoid and their processes.
→(蝶形骨体は蝶形骨の中央部にあり立方体をなしている。上面中央部には鞍状を呈したトルコ鞍があり、その中央に横位楕円形の下垂体窩がある。トルコ鞍の後方には鞍背という上方に突出した骨板があり、その両側外側端の突起を後床突起という。鞍背の後部は台形をなして後頭骨の底部とともに斜台を形成する。下垂体窩の前には体の前部との境界線である鞍結節とよべる横走する稜があり、その両側端にある中床突起は発育が弱く明瞭なものは少ない。鞍結節の前には細い横走する[視神経]交叉溝があり、その両外側は視神経管につづく。交叉溝の前部は蝶形骨隆起とよばれているが、これは隆起ではなく滑らかな平面である。体の前部は小翼と後部は大翼と結合している。下錐体窩の外側と大翼の根部との間には、内側頚動脈溝という前後に走る溝があり、外側に蝶形骨小舌という突起状の骨板がある。体の下面は鼻腔、咽頭腔の上壁をなし、中央に蝶形骨吻が前下方に突出し鋤骨翼にはさまれる。体の前面中央部には蝶形骨稜という上下に走る稜線があり、篩骨の垂直板と相接する。蝶形骨稜の両側でがいおうに蝶形骨甲介が認められる。これはバルタン小骨ともよばれ、発生学的には篩骨の一部であったものが8~12歳に蝶形骨体と癒合したものでとくに若年頭蓋で著明である。体の内面は空洞状をなし蝶形骨洞とよばれ、その正中部には蝶形骨洞中隔があり、洞を左右に分けている。その前面には蝶形骨洞口という開口部が両側にあり蝶篩陥凹に通じている。)
- 605_05【Sphenoidal sinus蝶形骨洞 Sinus sphenoidalis】 Paired sinus in the body of sphenoid that varies in size. It opens at the spheno-ethmoidal recess.
→(蝶形骨体の内部は殆ど蝶形骨洞でしめられ、空洞である。その大きさは不定で、ときには体の後に結合する後頭骨の底部にも進入している。蝶形骨洞は蝶形骨体部の頭蓋底部に位置する副鼻腔である。思春期以降に発達し、成人にて含気化が顕著になるが、含気の程度にバリエーションがあり、視神経管周囲・視神経が隣接しており、(内頚動脈が走行している)頚動脈隆起・視神経管の骨性隆起、その間に視神経管頚動脈裂optico-carotid recessとよばれる陥凹が蝶形骨内面より観察される。)
- 605_06【Internal carotid artery内頚動脈 Arteria carotis interna】 It passes from the carotid bifurcation, without any branches, to the cranial base, continuing in the carotid canal to its terminal division into the middle and anterior cerebral arteries.
→(内頚動脈は、総頚動脈から起こり、頚部では頭蓋底にいたるまでは枝を出さない。ついで頚動脈管をへて中大脳動脈と前大脳動脈に分枝するまでをいう。内頚動脈は頚部、側頭骨錐体部(岩様部)、海綿静脈洞部、大脳部の4つの部分に分けられる。この内頚動脈の海綿静脈洞部と大脳部とは、特別な形態を呈するので、「頚動脈サイフォン」とよばれている。内頚動脈の主な枝として、眼動脈、後交通動脈、前脈絡叢動脈がでる。内頚動脈は、視交叉の外側で小さな前大脳動脈と大きな中大脳動脈とに分岐する。中大脳動脈は内頚動脈の直接の続きで終枝と考えられる。)
- 605_07【Oculomotor nerve [III]動眼神経[脳神経III] Nervus oculomotorius [III]】 Nerve containing motor and parasympathetic fibers that exits the oculomotor sulcus and passes through the superior orbital fissure into the orbit.
→(動眼神経の主成分は動眼神経主核から出る体性運動性のもので外側直筋および上斜筋以外の眼筋を支配する。このほかに副交感性の動眼神経副核[Edinger-Westphal核]から出る線維が加わる。以上の2核から出る線維は多数の根をつくって大脳脚内側溝から出て1神経幹となり、滑車神経、外転神経および眼神経とともに、蝶形骨体の両側にある海綿静脈洞の上壁に沿ってすすみ、上眼窩裂を通って眼窩内に入り、上下の2枝に分かれる。上枝は上瞼挙筋および上直筋に、下枝は内側直筋、下直筋および下斜筋に分布する。また下枝からはきわめて短い動眼神経からの根が出て、毛様体神経節に入るが、これは動眼神経副核から出て、下枝を通って毛様体神経節に入る副交感線維にほかならない。)
- 605_08【Trochlear nerve [IV]滑車神経[脳神経IV] Nervus trochlearis [IV]】 Nerve exiting on the dorsal side, caudal to the tectal plate. It supplies the superior oblique muscle.
→(滑車神経は脳神経中最少のもので、滑車神経核からでて上斜筋を支配する鈍体性運動性神経である。この神経は脳の背側から脳をでる唯一の脳神経で、下丘のすぐ後方で、上小脳脚と上髄帆小帯との間から出て、大脳脚をめぐり、(側頭骨)錐体尖の近くで硬膜を貫いて海綿静脈洞の上壁に達し、動眼神経の外側から上側に向かって前進し、上眼窩裂を通って眼窩内に入り、上直筋、上眼瞼挙筋起始部の上を前内側にすすんで、上斜筋に分布する。)
- 605_09【Abducent nerve[VI]; Abducens nerve [VI]外転神経[脳神経VI] Nervus abducens [VI]】 Cranial nerve emerging from the brain at the angle between the pons and medulla oblongata. It penetrates the dura mater at a point half as high as the clivus, continues laterally in the cavernous sinus, and then passes through the superior orbital fissure into the orbit where it supplies the lateral rectus.
→(外転神経は第六脳神経である。外側直筋に至る鈍体性運動性神経で、その起始核たる外転神経核は橋の中にあり、これから出る神経は橋の後縁で正中線に近く表面に現れ、内頚動脈の外側を通って上眼窩裂から眼窩に入り、外側直筋の内側からそのなかに入る。)
- 605_10【Ophthalmic nerve; Ophthalmic division [Va; V1]眼神経 [三叉神経第1枝] Nervus ophthalmicus [Va; V1]】 First division of the trigeminal nerve, which passes through the superior orbital fissure.
→(眼神経は第五脳神経の第一枝(CN V1)。蝶形骨体上の海綿静脈洞の外側に沿って前方にすすみ、上眼窩裂を通って眼窩に入る。つぎの枝(①涙腺神経、②前頭神経、③鼻毛様体神経)に分かれる。また眼筋にいたる動眼、滑車、外転の3神経および交感神経との間に交通がある。)
- 605_11【Maxillary nerve; Maxillary division [Vb; V2]上顎神経[三叉神経第2枝] Nervus maxillaris [Vb; V2]】 Second division of the trigeminal nerve. It passes though the foramen rotundum to the pterygopalatine fossa and continues through the orbital fissure into the orbit.
→(三叉神経の第2枝で蝶形骨大翼の正円孔を通って頭蓋腔を去り、翼口蓋窩で頬骨神経および翼口蓋神経を出した後、眼窩下神経となって眼窩下裂を経て眼窩に入り、顔面まで達する。知覚枝は下眼瞼の皮膚と結膜、上唇と頬の皮膚と粘膜、口蓋、上顎歯と歯肉、上顎洞、鼻翼および鼻腔の後下部に分布する)