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Fallopian tube
- 625_01Fallopian tube【Uterine tube; Oviduct卵管;ファロッピー管 Tuba uterina; Salpinx】 About 10 cm long tube connecting the region around the ovary with the uterus.
→(ファロピウス管とも呼ばれる。卵巣から排卵された卵子を子宮に運ぶ管で、受精は卵管とくに膨大部で起こる。卵子が受精していれば子宮に子宮腔に達して着床する。漏斗部、膨大部、峡部、子宮部からなる。ガレノスらも記載しているが、ファロピウスの報告で知られたので彼の名が残った。なお、同じファロピウスの名を冠する顔面神経管は、日本では混乱をさけてファロッピオ管と呼ぶことが多い。卵管は卵巣と子宮とを結び、卵を子宮へ送る。卵巣側の端は卵管腹腔口で腹腔に開き、子宮側の端は卵管子宮口で子宮内膜へ開く。卵巣側2/3の部分はやや太く、卵管膨大部をなし、その卵巣右端はとくに拡がって卵巣漏斗をつくる。漏斗の縁からは房状の卵管采が放射状にひろがり、そのうちの一つ、卵管采は卵巣外側端へ達する。卵管の子宮側は1/3はやや細く、卵管峡部といい、その先で子宮壁内を通る部分を子宮部という。卵管内面には粘膜のヒダである卵管がよく発達して、複雑な形を示す。上皮は単層円柱で、繊毛細胞と分泌細胞が混在する。筋層は内輪外縦、その外側は漿膜におおわれる。イタリアの解剖学者Gabriele Fallopio [Fallopius] (1523-1563)の名を冠する。)
- 625_02【Uterus子宮 Uterus】 Pear-shaped organ measuring about 7.5 cm in length.
→(子宮は骨盤腔のほぼ中央で膀胱の後ろ、直腸の前に位置する筋性の中空器官でで卵管から送られてきた授精卵が着床し、発育して胎児となり、分娩にいたるまでの間、必要な血液を供給し、発育の環境を与える器官である。子宮は妊娠していないときは非常に小さい(約2.5×4×7cm)が、妊娠とともに巨大になる。これは主として子宮筋層の平滑筋細胞の肥大と増殖、結合組織の増量による。子宮は西洋梨型の嚢状器官で、上縁(子宮底)の外側端に左右の卵管が開く。ほぼ球状の糸球体は下方にのびて円筒形の子宮頚となり、腟に向かって突出する子宮腟部を形成し、子宮頚を縦に貫く頚管は、上方は子宮腔に開き、下方は外子宮口によて腟の内腔にひらく。子宮の外面は子宮蓋膜であるが、その一部(子宮底と子宮体後面)のみを腹膜がおおって、子宮漿膜をなし、他は粗線遺精結合組織からなる蓋膜である。子宮壁は大部分を占める子宮筋層は非常に厚く、次の4層に分けられる(内方から外方の順)。(1)粘膜下層:大部分縦走筋、一部は斜走または輪走筋。(2)血管層:多くの血管を含み海綿状をなす。輪状ないし斜走筋。(3)血管上層:輪状ないし縦走筋。 子宮壁の内面をおおう粘膜を子宮内膜という。子宮体の内面をおおう子宮内膜は月経周期とともに形態変化をなし、妊娠によって脱落膜にかわる。しかし頚管内面の子宮内膜は周期的変化をしめさない。子宮内膜の表面上皮は単層円柱上皮で、線毛細胞と分泌細胞が混ざっている。内膜の厚さは月経周期の時期によって異なるが、厚い粘膜固有層(子宮内膜支質)の中を、表面から垂直に管状の子宮腺が伸びている。子宮腺の中にも少数の線毛細胞がある。頚管粘膜は丈の高い円柱上皮で被われており、その上皮細胞は粘液によって満たされている。子宮頚腺は複雑に分枝する大きな腺で、腺細胞は丈が高い円柱状細胞で粘膜を分泌する。この腺の導管が濃い粘液のために閉塞し、腺体が極端に貯留した粘液のために閉塞し、腺体が極端に貯留した粘液のために拡大して肉眼で小胞状にみえることがあり、古くからナボットの卵(嚢胞)とよばれてきた。子宮頚部の外表面は平滑で、腟と道央に重層扁平上皮でおおわれている。頚管の円柱上皮から重層扁平上皮への移行は外子宮口のすぐ内側で急激に代わる。頚管内の円柱上皮が斑点状に子宮腟部の重層扁平上皮の部分にまぎれこんだものを頚部ビランという。これは炎症をおこしやすい。また子宮頚癌の原因になる。)
Hunter's ligament
- 625_03Hunter's ligament【Round ligament of uterus子宮円索;子宮鼡径索 Ligamentum teres uteri; Chorda uteroinguinalis (teres)】 Ligament derived from the caudal gonadal fold during development. It passes from the tubal angle through the parametrium and inguinal canal into the labia majora.
→(卵管開口部の前下方、左右両側で子宮に付着している筋線維を含む線維帯。鼡径管から大陰唇に至る。男性の精索に相当し、これも鼡径管を通り同じような腓腹をもつが相同ではなく精巣導帯と相同である。スコットランドの解剖学者William Hunter (1718-1783)によって記載された。WilliamはJohn Hunterの兄で、彼の業績はグラスゴーのハンター博物館に残されている。)
- 625_04【Urinary bladder; Bladder膀胱 Vesica urinaria】 Organ located beneath the peritoneum in the lesser pelvis posterior to the pubic symphysis. Its size varies depending on fullness, with the urge to evacuate the bladder occurring at about 350 ml. Even at maximum distension it remains below the level of the navel.
→(膀胱は腎臓で産生され尿管によって送られる尿を約350~500mlまたはそれ以上を一時的に貯える。平滑筋よりなり弾性に富む尿の貯留器官。膀胱は骨盤腔のもっとも前部にあり、恥骨の後ろに位置する。軽度に充満する時には、四面体を呈し、頂にあたるところを膀胱尖といい、錐体の底部にあたるところを膀胱底と呼ぶ。尖と底との間を膀胱体と呼ぶ。)
- 625_05【Deep dorsal vein of clitoris; Dorsal vein of clitoris♀深陰核背静脈;陰核背静脈;筋膜下陰核背静脈(♀) Vena dorsalis profunda clitoridis; Vena dorsalis clitoridis subfascialis♀】 Subfascial vein of the corpus of clitoris that passes to the vesical venous plexus.
→(深陰核背静脈は陰核背神経・動脈に伴行する無対性の静脈で、陰核背面を背側に走り、恥骨結合の下縁から膀胱静脈叢にそそぐ。)
- 625_06【Vesical venous plexus膀胱静脈叢 Plexus venosus vesicalis】 Venous plexus on the fundus of bladder that is connected with the prostatic or vaginal venous plexus.
→(膀胱静脈叢は膀胱底の静脈叢で、前立腺ないし腟静脈叢と連絡している。)
- 625_07【Internal pudendal vein内陰部静脈 Vena pudenda interna】 Vein running within the lateral wall of the ischiorectal fossa and passing through the lower portion of the greater sciatic foramen into the pelvis.
→(内陰部静脈は内陰部動脈に伴行するが、主として陰茎(核)深静脈のつづきとしてはじまり、坐骨直腸窩の外側壁に沿って背側へ走り、仙結節靱帯と仙棘靱帯の間を経て、梨状筋下孔から骨盤腔に入り、内腸骨静脈へそそぐ。この間、外陰部、肛門よりの静脈を入れる。)
- 625_08【Vaginal venous plexus♀腟静脈叢(♀) Plexus venosus vaginalis♀】 Venous plexus around the vagina with numerous connections to the surrounding venous plexuses.
→(腟静脈叢は腟の両側にあり、上方は子宮静脈叢と交通している。したがってここからの静脈は子宮静脈を介して、または1本にまとまって内腸骨静脈へそそぐ。一部の静脈は前方にある膀胱静脈叢へ入る。)
- 625_09【Rectum直腸 Rectum; Intestinum rectum】 Tenia-free 15 cm long segment extending between the sigmoid colon and anus.
→(直腸は消化管の末端部でS状結腸につづく大腸の一部である。結腸から直腸への移行はゆるやかで、仙骨中央部あたりがほぼ両者の境界となる。直腸は腸間膜を欠き、直腸ヒモを示さない部分である。直腸の下端は、骨盤隔膜を貫く寸前までで、それ以下は肛門管である。肛門管の直上部にあたる直腸窩部はふくらみ、ここを直腸膨大部という。膨大部上方には横走するヒダが2~3本認められ、直腸横ヒダといい、最も恒常的なものは右壁にあって、コールラウシュのヒダという。直腸ははじめ仙骨の曲がりに沿って前方に凹の間借りを示し、これを仙骨曲といい、下端近くでは前方に凸の曲がりを示し、これを会陰曲という。直腸壁の平滑筋の筋層のうち、重筋層と一部の輪筋層は周辺の臓器へとのび、直腸尾骨筋、直腸膀胱筋、直腸尿道筋などとよばれる筋束をなす。直腸が内容をいれて拡張すると、壁の伸展刺激は求心性神経線維によって仙髄に伝えられ、反射的に内容の排出、すなわち排便が起こる。このような排便中枢の中枢は仙髄(S2~4)にあり、肛門脊髄中枢anospinal centerといわれる。排便defecationのさいには、交感神経が抑制されるとともに、副交感神経の興奮が高まって、大腸の蠕動・収縮がおこり、内肛門括約筋は弛緩し、さらに陰部神経を介して外肛門括約筋も随意的に緩められる。そのほかに、腹壁の筋・横隔膜・骨盤隔膜を作る肛門挙筋の収縮によって腹圧が高められ排便を助ける。)
- 625_10【Pampiniform plexus; Pampiniform venous plexus蔓状静脈叢 Plexus venosus pampiniformis】 Venous plexus around the spermatic cord.
→(蔓状静脈叢は男性においては精巣および精巣上体より出た精巣静脈が陰嚢の内部で精索のまわりにつくる静脈叢。女性の場合は、卵巣静脈が広間膜内にこの静脈叢をつくる。)
- 625_11【Ovary卵巣 Ovarium】 It lies intraperitoneally on the wall of the lesser pelvis in the ovarian fossa. It is 2.5-4.5 cm long and 0.5-1 cm thick. Its long axis is vertical when standing.
→(女性の生殖細胞すなわち卵子を作り出す器官、女性の生殖腺は卵巣である。卵巣は腹腔(骨盤腔)内にあって、成人では平均1×2×3cmくらいの扁平楕円形の器官である。その一端は卵巣間膜によって、子宮広間膜に固定さえている。卵巣の表面は、1層の扁平ないし立方上皮でおおわれている。これは卵巣ばかりでなく、他の腹腔内器官の表面をおおっている腹膜中皮と本質的に異ならないので、卵巣の表面上皮とよばれる。しかし古くはこの上皮から原始卵細胞が発生すると考えられたので、胚上皮とよばれた。現在はこの考えは否定されている。表面上皮の皮膜を形成している。この膜を白膜とよぶ。卵巣の実質は皮膚と髄質に分けられるが、両者の区分は明瞭ではない。皮質には卵細胞を含む多数の胞状体が存在し、卵胞とよばれる。正常な女性の卵巣には両側に合わせて数十万個の卵胞があるた、この中一生涯(生殖期間中)に排卵されるのは1000個以下である。卵胞はその発育段階によって、(1)原始卵包、(2)一次卵胞、(3)二次卵胞、(4)成熟卵胞というように異なった名で呼ばれる。成熟卵胞はその内部の卵胞腔に大量の卵胞液を貯え、非常に大きくなって卵巣の表面にドーム状に隆起する。人では28日周期で、この成熟卵胞が表面に破裂して、卵細胞をふくむ卵胞内容が腹腔内に放出される。これを排卵という。排卵された卵はその表面に1層の卵胞上皮細胞の層(放線冠)を付着させている。卵胞上皮(果粒層細胞)の残りの大多数はそのまま排卵後の卵包内にとどまり、この卵胞はつぶれて果粒層はひだをなして内腔に落ち込む。さらに内卵胞膜の血管から出血して、内腔に凝血塊たまってくる。このような排卵後の卵胞はまもなく、多数の多角形の細胞の集団となり、その細胞が黄色の組織を有するようになるので、黄体とよばれる。排卵された卵は、卵管采の働きや、卵管粘膜の線毛上皮細胞の線毛運動による水流にさからって溯ってくる。これは精子自身の鞭毛運動による。授精は卵管内でおこり、授精卵は子宮粘膜(子宮内膜)に着床して妊娠が成立する。卵巣内では排卵後に形成された黄体が、卵の授精、妊娠の成立とともに、一層大きくなって妊娠黄体となり、6ヶ月の間成長するが、その後は徐々に縮小し、分娩後は急速に縮小して白体になり瘢痕化する。妊娠が成立しなかったときには、黄体はそれほど大きくならないので、月経黄体とよばれ、約14日間存続し、継いで急速に変性萎縮して白体となる。卵巣は生殖細胞を産生する器官であると同時に、内分泌腺でもある。卵巣は分泌されるホルモンに2種あって、卵胞ホルモン(エストロゲン)は一次卵包囲後の卵胞の外方をとり囲む間質組織(結合組織)に由来する卵胞膜の内方部分、すなわち内卵帆うまくの細胞で合成される。他のホルモンは黄体細胞で形成されるので、黄体ホルモン(プロゲステロン)とよばえ、卵胞ホルモンは子宮内膜を増殖肥厚させ、黄体ホルモンは妊娠を持続させ役立つ。)
- 625_12【Uterine venous plexus♀子宮静脈叢(♀) Plexus venosus uterinus♀】 Venous plexus mainly at the root of the broad ligament of uterus. It is connected with the vaginal venous plexus.
→(子宮静脈叢は子宮広間膜の基部に主としてある静脈叢。腟静脈叢に結合。)
- 625_13【Superior rectal vein上直腸静脈 Vena rectalis superior】 Branch from the superior portion of the rectum.
→(上部直腸すなわち櫛状線の上方領域からの血液を受ける静脈。下腸間膜静脈から門脈をへて肝臓に注ぐ。直腸上部の癌が肝臓に血行性移転する際の経路となる。(イラスト解剖学))
- 625_14【Ureter尿管 Ureter】 Urinary duct situated in the retroperitoneum. It connects the renal pelvis with the urinary bladder, measures 25-30 cm in length and is about 3 mm thick.
→(尿管は全長約25~27cmで、上半分は腹腔内を走り腹部といわれ、下半分は骨盤内にあり骨盤部といわれる。腎盂につづき、腎臓から膀胱に至る管。輪層と縦層の平滑筋に囲まれた移行上皮によって裏打ちされ、外部は外膜でおおわれている。腎門の内下側から出て、大腰筋の前面を斜めに内下方に向かい、精巣(卵巣)動脈の後ろで、これと交叉して下行する。第四腰椎の高さで、総腸骨動・静脈の前を横切って骨盤内に入る。ついで、骨盤の側壁に沿って走り、最後に前内方にまたがって骨盤邸の上面を走り膀胱に開く。尿管はつぎの3箇所にやや細い狭窄部をもつ。すなわち、1.腎盂から尿管への移行部(上端部)、2.腹部から骨盤部への移行部(この部は総腸骨動・静脈と交叉し、尿管は腹膜と癒着している、3.膀胱壁を貫く部(尿管は膀胱壁を斜めに貫き、長さは約2cm)の3箇所である。)
- 625_15【External rectal venous plexus外直腸静脈叢;辺縁静脈;皮下静脈叢 Plexus venosus rectalis externa; Vena marginalis; Plexus venosus subcutaneous】
→()
- 625_16【Levator ani muscle肛門挙筋 Musculus levator ani】 Principle muscle of the pelvic diaphragm. It is derived from the abdominal wall musculature and permeated by smooth-muscle cells. I: Sacral plexus, S2-S5. It consists of the following parts.
→(肛門挙筋の丈夫な前部(恥骨尾骨筋)は分界線直下の恥骨の内面から起こり、薄い後部(腸骨尾骨筋)は腸骨から起こる。その起始腱は内閉鎖筋筋膜に接して移行し、閉鎖筋膜から発する腱束を受ける。これらの線維の起始部では腱性の係留物(肛門挙筋腱弓)により強化されている。左右両側で恥骨尾骨筋の内側線維束は挙筋脚を形成している。それらの線維束は背方と尾方、また直腸の前では外側を通り、それぞれ会陰の中心腱へ放散する薄い前直腸線維束や前立腺挙筋として前立腺筋膜(あるいは恥骨腟筋として腟壁)へと分かれる。それより鼻側にある肛門挙筋の線維束は恥骨直腸筋として直腸の背側を取り囲み、反対側の線維と共にループを形成する。恥骨尾骨筋の外側束は尾骨と仙骨の背側に広がる。腸骨尾骨筋の筋線維は尾骨と仙骨に付き、また肛門と尾骨の間では強靱な線維束である肛門尾骨靱帯に付いている。)
- 625_17【Uterine veins♀子宮静脈(♀) Venae uterinae♀】 Connecting veins between the uterine venous plexus and internal iliac vein.
→(子宮静脈は子宮広間膜に包まれて、子宮体は外側縁に沿って分布し、これから出た静脈は外子宮口の高さで子宮静脈叢をつくったのち、左右ともそれぞれ1本にまとまり、内腸骨静脈に開く。)
- 625_18【Uterine artery♀子宮動脈(♀) Arteria uterina♀】 Corresponds to the artery of the ductus deferens, passing in the base of the broad ligament of uterus to the cervix of uterus and ascending in a very tortuous course along the side of the uterus.
→(子宮動脈は内腸骨動脈より起こり、子宮、腟上部、子宮円索、卵管の内側部に分布する。卵巣動脈、腟動脈、下腹壁動脈と吻合する。妊娠時には胎盤への母胎循環血を供給する。)
- 625_19【Vagina腟 Vagina】 Fibromuscular canal about 10 cm long that is flattened frontally and appears H-shaped in cross-section.
→(腟は女性の交接器であり、産道の下部をなし、月経による産物を排出する経路となる。上方は子宮口を通じて子宮腔に、下方は腔口を通じて腟前庭で外界に開く。腟口を不完全に閉じる粘膜のヒダが処女膜で、その遺物が残るものを処女膜痕という。子宮の腟部が腟後壁の方を向くため、後壁は長く(7cm以上)、前腟はやや短い(6cm)。子宮腟部と腟壁の間で、腟部を輪状に取りまく陥凹を腟円蓋という。腟壁には横皺が多く、腟粘膜皺といい、前・後壁には縦の隆起があって、前皺柱、後皺柱という。前皺柱の下部は尿道により生ずる腟の尿道隆起に連続する。粘膜上皮は重層扁平上皮、筋層は平滑筋からなる。腟の刺激によって、性感特に絶頂反応(オルガスム)が起こるメカニズムについたは、ほとんど何もわかていなかった。産婦人科医の話によると、腟口の一部分を除けば、腟は機械的な刺激には鈍感らしい。メスで切っても鉗子でつまんでも、患者は痛みを訴えないという。組織学的にも、腟壁に豊富な知覚神経が分布している様子はなく、終末装置のようなものは全く見られない。それでは性交による腟の快感はどこからくるのだろうか?最近の研究によると、その答えは、腟の前方を走る尿道にありそうだ。免疫組織化学の発達によって、尿道の固有層と更に上皮の中に、知覚神経(Substance PとCGPRという、いずれも知覚神経に特徴的な伝達物質を含む)が、想像を絶するほど密な網を作っていることが分かってきた。それに加えて上皮の中には、セロトニン(5HT)というアミンを分泌する、神経細胞に似た正常の細胞(paraneuron)がたくさんに分布している。このパラニューロンは、上皮の中に樹枝状に突起を伸ばし、その分布と形態から見て、圧迫される、引き延ばされる、といった機械的な刺激を受ける機械受容細胞mechano-receptorと推定される。)
- 625_20【Vesical veins膀胱静脈 Venae vesicales】 Veins from the vesical venous plexus.
→(膀胱静脈は膀胱下面と前立腺の上面付近に分布して膀胱静脈叢をつくり、これから出る血液は内腸骨静脈そそぐ。)