674
- 674_00【Pharynx咽頭 Pharynx】 Airway and food passageway; 1416 cm long. It extends from the vault of pharynx to the beginning of the esophagus in front of the sixth cervical vertebra.
→( 咽頭は上端で咽頭円蓋となりその前方で後鼻孔を介して鼻腔に、その直下で口峡を介して口腔につながる。下方は第6~7頚椎、または輪状軟骨下端の高さで食道に移行し、途中、第二頚椎の高さで咽頭前壁に喉頭口が開口する。したがって、咽頭は呼吸器系と消化器系が交叉している。前後にやや扁平な管で、肝の内腔が咽頭腔である。咽頭の後壁は単純であるが、前・側壁は発生時に鰓弓と関連が深く、生体での構造が複雑となる。咽頭を上から下へ、鼻部・後部・後頭部の三つに分ける。鼻部は鼻腔につづき、燕下時に軟口蓋が挙上すると、消化管から遮断される。したがって鼻部は気道に属するとみなされることが多い。後部は口峡を経て口腔につづき、軟口蓋と舌根とが前方上下に位置する。後頭部は前壁に後頭の後壁となる。咽頭の下端は食道に連続する。鼻部には耳管が開き、その開口部を耳管咽頭口という。この周囲では咽頭壁にかなり凹凸がみられる。耳管隆起は耳管軟骨により、挙筋隆起は口蓋帆挙筋により生ずる。耳管咽頭ヒダは耳管咽頭筋の足行き一致する。耳管隆起の後方のくぼみは咽頭陥凹とよばれる。鼻部の天井は頭蓋底直下にあたり、この部分を咽頭円蓋という。喉頭部では、舌根の後下方に喉頭蓋が突き出す後頭口の両側、すなわち後頭の側壁と咽頭の側壁の井田は梨状陥凹とよばれる。ここは燕下時に食物の通路となる。この部に上喉頭神経・動脈による後頭神経ヒダを認める。咽頭壁は、最上部では前方鼻腔へ通じる部分を除き、頭蓋底に付着する。頭蓋底近くでは、咽頭壁は筋層を欠き、結合織性の壁となす。これを咽頭頭底板という。咽頭の粘膜上皮、他では重層扁平上皮である。咽頭線は粘膜全体に分布する。)
- 674_01【Pharyngeal opening of pharyngotympanic tube耳管咽頭口 Ostium pharyngeum tubae auditivae; Ostium pharyngeum tubae auditoriae】 Funnel-shaped or slitlike opening of the auditory tube above the levator eminence at the level of the inferior nasal meatus 1 cm in front of the posterior wall of the pharynx.
→(口蓋帆拳筋の根元の上方で、後咽頭壁より1cm前方の下鼻道へ開く漏斗状の開口部。 (Feneis))
- 674_01a【Anterior lip前唇(耳管咽頭口の) Labium anterius (Ostium pharyngeum tubae auditivae)】
→()
- 674_02【Nasopharyngeal meatus鼻咽道 Meatus nasopharyngeus】 The part of the nasal cavity extending from the posterior margin of the nasal conchae to the choana.
→(上鼻道、中鼻道、下鼻道などの鼻道は後方で合して鼻咽道となり、後鼻孔を経て咽頭に開く。)
- 674_03【Sphenoidal sinus蝶形骨洞 Sinus sphenoidalis】 Paired sphenoidal sinuses.
→(蝶形骨体の内部は殆ど蝶形骨洞でしめられ、空洞である。その大きさは不定で、ときには体の後に結合する後頭骨の底部にも進入している。蝶形骨洞は蝶形骨体部の頭蓋底部に位置する副鼻腔である。思春期以降に発達し、成人にて含気化が顕著になるが、含気の程度にバリエーションがあり、視神経管周囲・視神経が隣接しており、(内頚動脈が走行している)頚動脈隆起・視神経管の骨性隆起、その間に視神経管頚動脈裂optico-carotid recessとよばれる陥凹が蝶形骨内面より観察される。)
- 674_04【Superior nasal concha上鼻甲介 Concha nasalis superior】
→(篩骨迷路の上部の後半には水平に走る上鼻甲介がある。これは単なる隆起にすぎないこともあり、また、その下縁が外側に巻くようになることもある。)
- 674_05【Middle nasal concha中鼻甲介 Concha nasalis media】
→(上鼻甲介の下方に、内側壁の全長から下方に突出し、内側壁の下界をつくる中鼻甲介がある。その下端は遊離して外側に巻き、前端は上顎体の、後端は口蓋骨の篩骨稜に着く。中鼻甲介の外側にできる空間は中鼻道の上部にあたる。)
- 674_06【Middle nasal meatus中鼻道 Meatus nasi medius】 Middle nasal passageway between the middle and inferior nasal conchae. Opening of the middle ethmoidal cells.
→(中・下鼻甲介間にある。 (Feneis))
- 674_07【Inferior nasal concha下鼻甲介 Concha nasalis inferior】 Lowest and longest nasal concha. It obscures the opening of nasolacrimal duct.
→(中鼻甲介と殆ど同じ形状でこれより大きく、その下方で鼻腔外側壁に付着する1対の独立した小骨で、縁が湾曲した薄い海綿状骨板で、鼻腔の側壁にあり、中鼻道と下鼻道を分ける。篩骨、涙骨、上顎骨、口蓋骨とで関節をなす。下鼻甲介の内側面は鼻腔内に向かってふくらんだ粗面である。下縁は中鼻甲介のように外側に少し巻いている。上縁に涙骨突起、上顎突起、および篩骨突起がある。海綿状骨板とその肥厚した粘膜骨膜で、熱交換のための広範な海綿状の血管床を含む)
- 674_08【Inferior nasal meatus下鼻道 Meatus nasi inferior】 Lower nasal passageway between the inferior nasal concha and the floor of the nose.
→(下鼻甲介の下方の鼻道を下鼻道という。)
- 674_09【Hard palate硬口蓋 Palatum durum】 Hard, bony part of the palate.
→(硬口蓋は鼻の粘膜により上部を、口腔の天井にあたる部分の粘膜により下部をおおわれた骨口蓋からなり、粘膜は厚く、骨口蓋の骨膜に硬く付着する。粘膜表面には、正中線に一致して口蓋縫線という高まりがみられ、その前端に切歯乳頭という小隆起がある。その前端に切歯乳頭という小隆起がある。口蓋血管、神経、粘膜腺を有する口蓋の前方部分。硬口蓋の前部には、3~4本の横走するヒダ、すなわち横口蓋ヒダがみられる。横口蓋ヒダはとくに幼児で明瞭に見られる。)
- 674_10【Dorsum of tongue舌背 Dorsum linguae】
→(舌の上面を舌背という。)
- 674_11【Palatoglossal arch; Anterior pillar of fauces; Glossopalatine arches口蓋舌弓;口峡前ヒダ;舌口蓋弓 Arcus palatoglossus; Plica anterior faucium; Arcus glosopalatinus】 Mucosal fold extending in front of the tonsillar fossa from the palate to the tongue. It overlies the palatoglossus muscle.
→(口蓋舌弓は口蓋扁桃窩の前方にあり、口蓋から舌へ張る粘膜のヒダ。その下を同名の筋が走る。)
- 674_12【Supratonsillar fossa扁桃上窩 Fossa supratonsillaris】 Remnant of the embryonic tonsillar fossa.
→(扁桃上窩は最上部にある陰窩でとくに広い。)
- 674_13【Triangular fold三角ヒダ Plica triangularis】 Free posterior margin of the palatoglossal arch that sometimes covers the tonsil.
→(三角ヒダは口蓋扁桃の前にあり、口蓋舌弓から起こる三角形のヒダ。)
- 674_14【Torus tubarius耳管隆起 Torus tubarius】 Prominence behind the opening of auditory tube produced by its dorsomedial cartilaginous part.
→(耳管開口の後で、後内側の耳管軟骨によりできる隆起。 (Feneis))
- 674_15【Torus levatorius口蓋帆挙筋隆起 Torus levatorius; Torus musculi levatoris】 Elevation located below the opening of auditory tube anterior to the dorsomedial lip of its cartilaginous part. It is produced by the levator veli palatini.
→(耳管軟骨の後内側唇の前にある隆起で、耳管咽頭口の下方に位置する。口蓋帆挙筋に一致した隆起。)
- 674_16【Nasopharynx咽頭鼻部;鼻部;鼻咽頭;上咽頭 Pars nasalis pharyngis; Epipharynx】 Part of the cavity of pharynx behind the choana.
→(咽頭の鼻部は咽頭のうち、軟口蓋より上方の部分。前方は後鼻孔によって鼻腔に開き、下方は口峡を経て後咽頭と連絡し、外側方は耳管が開き、その開口部を耳管咽頭口という。この周囲では咽頭壁にかなり凸凹が見られる。)
- 674_17【Vault of pharynx咽頭円蓋 Fornix pharyngis】 Roof of the cavity of pharynx below the sphenoid.
→(咽頭円蓋は咽頭の鼻部の上壁は頭蓋底(蝶形骨)の下につき、円蓋状で咽頭腔の屋根をなす。)
Luschka, Glands of, Tonsil of
- 674_18Luschka, Glands of, Tonsil of【Pharyngeal tonsil咽頭扁桃 Tonsilla pharyngealis; Tonsilla pharyngea】 Tonsil located in the vault of pharynx.
→(咽頭扁桃は咽頭鼻部天井の粘膜下組織の集まりにより形成される物であり、口蓋扁桃と同じく、小児期に最も発達して思春期以後には退縮傾向を示す。)
- 674_19【Pharyngobasilar fascia咽頭頭底板 Fascia pharyngobasilaris; Membrana pharyngobasilaris】 Uppermost, nonmuscular, membranous part of the pharynx. It attaches the wall of the pharynx to the base of the cranium. Corresponds to the submucosa
→(咽頭壁のうち筋のない最上部の結合組織壁。)
- 674_20【Anterior longitudinal ligament前縦靱帯;前総縦靱帯 Ligamentum longitudinale anterius; Ligamentum longitudinale commune ventrale】 Ligament that mainly connects the anterior surfaces of the vertebral bodies.
→(脊柱前面を上下に縦走する帯状の靱帯で、上端は後頭骨底部からおこり、上部では狭く厚いが、環椎前結節を通り、しだいに幅を広げて薄くなり下行し、仙骨前面に至る。中央を走る長い線維と、各椎の前面を結ぶ短い弓状に走る線維とがある。深層の線維は椎間円板の前縁とも結合する。椎間円板ならびに椎体上・下縁との結合は強く、椎体中央部との結びつきは弱い。)
Rosenmüller, Fossa of
- 674_21Rosenmüller, Fossa of【Pharyngeal recess咽頭陥凹 Recessus pharyngeus】 Nasopharyngeal niche situated posterolateral to the auditory tube.
→(『ローゼンミュラー窩』とも呼ばれる。耳管隆起の後上方には、鉛直位の深窩、すなわち咽頭陥凹がある。ローゼンミューラー Rosenmueller, Johann Christian (17771-1820) ドイツの解剖学者。ローゼンミュラー腺(涙腺、鼡径輪リンパ腺)、ローゼンミュラー窩(鼻咽腔の外側の小陥凹)を記述。)
- 674_22【Salpingopharyngeal fold耳管咽頭ヒダ;咽頭耳管ヒダ Plica salpingopharyngea; Plica pharyngotubalis】 Fold overlying the salpingopharyngeus muscle that extends obliquely downward from the dorsomedial lip of the cartilaginous part of auditory tube.
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- 674_23【Soft palate軟口蓋;口蓋帆 Palatum molle; Velum palatinum】 Its posterior border ends with the uvula.
→(軟口蓋は口と口腔咽頭、口腔咽頭と鼻咽頭の間に不完全な中隔を形成する口蓋の後方筋肉部分。骨性支柱を欠き、厚い結合組織板(口蓋腱膜と筋(口蓋筋)とが基礎をつくり、その表面を粘膜が被ってできる。軟口蓋、とくにその後部を口蓋帆といい、その正中部は後下方に垂れ突出して口蓋垂となる。軟口蓋を後上方に挙上し咽頭口壁に向かって圧する作用は燕下を始めると時にみられる。この働きによって口腔と咽頭鼻部とは遮断され、食塊は口腔から鼻腔にはいることなく、咽頭に向かっておくられる。また作用は発声の場合にもみられる(音声が鼻腔にぬけないようにする)。)
- 674_24【Cavity of pharynx咽頭腔 Cavitas pharyngis; Cavum pharyngis】 Space that can be divided into three levels.
→(咽頭壁によって囲まれる腔所。(Feneis))
- 674_25【Body of axis椎体(軸椎の) Corpus axis】
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- 674_25a【Axis; Second cervical vertebra; C2 vertebra; [CII]軸椎[C2];第2頚椎 Axis; Epistropheus [CII]】 Second cervical vertebra.
→(軸椎(第二頚椎)上半部は特異的な形をしており、犬歯によくにた歯突起が上方に突出している。これは本来環椎の軸体であり、発生の途中、椎体の周辺部から分離し、軸椎体と結合したものである。歯突起の前後面にはそれぞれ前関節面、後関節面があり、前者は軸椎の歯突起窩に、後者は環椎横靱帯と対向する。頭蓋の回旋運動は歯突起を軸とする環椎の回旋運動にによって行われる。椎体上面の上関節面は対向する環椎の下関節面の形によく似て円形平坦である。また、椎弓は強大であり、下椎切痕も著明であるが、上椎切痕は明らかでない。横突起はやや小さく、尖端では後結節だけが認められる。)
- 674_26【Palatopharyngeal arch; Posterior pillar of fauces口蓋咽頭弓;口峡後ヒダ;咽頭口蓋弓 Arcus palatopharyngeus; Plica posterior faucium; Arcus pharyngopalatinus】 Mucosal fold situated behind the tonsillar fossa between the palate and the wall of the pharynx, overlying the palatopharyngeus muscle.
→(口蓋咽頭弓は口蓋扁桃窩の後方にある口蓋と喉頭壁の間の粘膜ヒダ。その下を同名の筋が走る。)
- 674_27【Palatine tonsil口蓋扁桃 Tonsilla palatina】 Tonsil located between the palatoglossal and palatopharyngeal arches.
→(口蓋扁桃は舌口蓋弓と咽頭口蓋弓の間にある。扁桃中もっとも大きく、よく発達した扁桃である。肉眼解剖学的には、アーモンドの種の形に似ていて、組織学的には重層扁平上皮がおおっているが、この上皮が深く落ち込んでいて、十数個の陰窩cryptsを形成している。これらの陰窩に沿って、上皮の下層の固有層にリンパ小節が並んでいる。扁桃窩は発生上は第2鰓嚢のなごりとみなされる。扁桃窩の前方部には、三角ヒダが口蓋舌弓から張り出し、上方では口蓋舌弓と口蓋咽頭弓を半月ヒダが結ぶ。扁桃窩の上部に残された口蓋扁桃に占有されない扁桃窩の部分を扁桃上窩という。口蓋扁桃の表面に認められる小小陥凹が扁桃小窩で、これは扁桃の上皮が陥入してつくる扁桃陰窩の上皮表面への開口部を示す。 )