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- 716_00【Spleen脾臓 Splen; Lien】 Lymphoreticular organ assisting the circulatory system. It has mainly filtering and immune functions.
→(脾臓は左上腹部にあるやや扁平な手挙大の器官である。長さ約10cm・幅約7cm、厚さ約3cm・重さ約80~150gである。血管の出入りする脾門を除き表面を鞘膜(腹膜)がおおい、その下に結合組織性の被膜が存在する。被膜の結合組織のつづきは脾柱となって柱状に脾臓実質の中へ入り込んでいる。脾柱と脾柱の間は細網線維が網をつくっており、いわゆる細網組織となっている。この網眼を脾髄とよばれる組織が満たしている。すなわち被膜、脾柱、細網線維網が脾臓の骨組みである。脾臓の実質は白[色]脾髄と赤[色]脾髄に分けられる。前者は脾(リンパ)小節(マルピギー小体ともいう)、後者はそれ以外の組織である。脾リンパ小節は径約1mmで脾臓の中に散在しているが、その構造は一般のリンパ小節と変わらない。中心には胚中心がみられる。赤脾髄の構造を理解するために脾臓に入った血管の運命をたぐってみよう。脾門から入った脾動脈は脾柱に入り脾柱動脈となり、ついで脾髄に入り脾リンパ小節を偏心性に貫く。この部位を中心動脈とよぶ。一部の枝は脾リンパ小節の中で毛細血管をつくるが、主流はリンパ小節を出るとまもなく筆の先のように枝分かれをして、筆毛動脈となる。ついでこの枝は平滑筋を失い、特殊な細網組織のさやに包まれた莢毛細血管ともいう。内皮は丈が高く、また莢をつくる細網組織は細網線維と、たべこみ能力を有する特殊な細胞からなっている。細動脈は次に最終毛細血管に移行し脾洞に開く。終末毛細血管や脾洞の外は脾索(Bilroth索)とよばれる多数の血球や結合組織細胞を有する。終末毛細血管が静脈洞に直接連絡しているか、いったん脾索に開き、血液はいったん血管外に吐き出された後に脾洞に回収されるかが、古くから問題になってきた。前者を閉鎖説、後者を解放説という。動物による違いもあるようで十分な決着は得られていないが、いずれにしても機能的には血液は脾索に入るはずである。脾洞はきわめて太い静脈性の類様血管で、隙間の多い、たてに長い柱状細胞とよばれる内皮の外側を、輪状線維とよばれる細網線維が取り巻いている。したがって脾洞の壁は血液が容易に通り抜けることができる。脾索には、赤血球、顆粒白血球、リンパ球、形質細胞などいろいろな種類の脂肪があるが、とくに大食細胞の存在が目立つ。この細胞は血液とともにやってきた異物や細菌をはじめ古くなった赤血球をたべこみ処理する。そしてその抗原刺激を脾リンパ小節のリンパ球に伝える。)
- 716_01【Posterior extremity of spleen; Posterior pole of spleen後端;椎骨端;上端(脾臓の) Extremitas posterior splenica; Extremitas vertebralis splenica; Extremitas superior】
→(脾臓の後端は後上方に向いている。)
- 716_02【Short gastric arteries短胃動脈 Arteriae gastrici breves; Arteriae gastricae breves】 Branches of the splenic artery or its branches that mainly pass to the fundus of stomach.
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- 716_03【Omental bursa; Lesser sac; Lesser peritoneal sac網嚢;腹膜の小嚢 Bursa omentalis】 Largest pocket within the peritoneal cavity, located behind the stomach and lesser omentum.
→(腹膜で囲まれた腔で、大部分は胃の後にある。 (Feneis))
- 716_04【Inferior recess of omental bursa下陥凹(網嚢の) Recessus inferior (Bursa omentalis)】 Peritoneal pouch between the stomach and transverse colon.
→(胃と横行結腸の間の盲嚢下方部分。場合によっては大網の前葉と後葉の間のこと。 (Feneis))
- 716_05【Splenic artery脾動脈 Arteria splenica; Arteria lienalis】 Third branch of the celiac trunk. It runs along the superior border of the pancreas and then through the splenorenal ligament to the spleen.
→(脾動脈は膵上縁を左走して脾臓に達し、多数の脾枝になっておわる。経過中に多くの脾枝を分岐する。それらのうち大きな枝は、膵頭・膵体移行部後面を下行する後膵動脈、膵体中央部に分布する大膵動脈および膵尾動脈である。以上の動脈は膵下縁で横走吻合鎖をなし、下垂動脈を形成する。脾枝分岐付近では上下に側枝がおこる。上枝は数本をもって胃体部大弯側に至る短胃動脈である。下枝、すなわち左胃大網動脈は大弯に沿って大網内を右方へ走り、途中で大網枝を分岐したのち右胃大網動脈と吻合を営む。)
- 716_06【Splenic vein脾静脈 Vena splenica; Vena lienalis】 Vein running in the phrenicosplenic ligament and then behind the pancreas. It unites with the superior mesenteric vein to form the hepatic portal vein.
→(脾臓の血液を排出する静脈。赤脾髄内の脾洞に集められた血液は脾静脈を通って脾臓を出たのち、上腸間膜静脈と合して門脈を形成、肝臓へと向かう。このように、脾臓は門脈によって肝臓と連絡しており、脾臓で処理した赤血球の血色素は肝臓へ送られる。また、この連絡のため、脾臓は肝障害の影響を受けやすく。門脈圧亢進症などの際に腫大を起こすことがある(脾腫splenomegaly)。また、食後すぐに運動すると左脇腹が痛むことがある。消化機能が高まることで門脈血流が増加し、脾臓にも血液が貯留するために被膜が引っ張られて起こると言われる。(イラスト解剖学))
- 716_07【Gastrosplenic ligament; Gastrolienal ligament胃脾間膜;胃脾部(後胃間膜の) Ligamentum gastrosplenicum; Ligamentum gastrolienale; Pars gastrolienalis mesogastrium dorsale】 Part of the greater omentum passing from the greater curvature of stomach to the splenic hilum.
→(胃脾間膜は後(背側)胃間膜のなかに脾臓が発生し、大弯と脾臓との間の間膜は胃脾間膜といわれる。胃脾間膜は大網の左端にある。)
- 716_08【Left gastro-omental artery; Left gastro-epiploic artery左胃大網動脈 Arteria gastroomentalis sinistra; Arteria gastroepiploica sinistra】 It initially lies in the gastrosplenic ligament and then passes in the greater omentum toward the right gastro-omental artery.
→(左胃大網動脈は脾動脈から起こり、胃の大弯と大網とに分布し、右胃大網動脈・短胃動脈と吻合している。)
- 716_09【Accessory spleen副脾 Splen accessorius】 Islands of splenic tissue usually found in the greater omentum or gastrosplenic ligament.
→(副脾は、脾臓組織から小豆大から鶏卵大の孤立ないし複合塊で散在性の脾臓原基から由来したものである。副脾は、胃脾間膜上、大網内、脾動脈上にあり、さらに他の部位にも存在することがある。)
- 716_10【Superior border of spleen; Superior margin of spleen上縁;鋭縁;前縁(脾臓の) Margo superior; Margo acutus; Margo anterior (Splen)】 Margin between the gastric impression and diaphragmatic surface.
→(脾臓の上縁は胃面と横隔面の間の縁。)
- 716_11【Gastric impression on spleen; Gastric surface of spleen胃面;胃圧痕;胃部(脾臓の) Facies gastrica splenica; Pars gastrica】 Superior surface that is in contact with the stomach.
→(脾臓の胃面は上方に位置し、胃と接触する面。)
- 716_12【Diaphragmatic surface of spleen横隔面(脾臓の) Facies diaphragmatica splenica】 Convex surface facing the diaphragm.
→(脾臓の横隔面は横隔膜に面する凸表面。)
- 716_13【Splenic hilum; Hilus of spleen; Hilum of spleen脾門 Hilum splenicum; Hilum lienale】 Entry and exit site for vessels between the gastric and renal impressions.
→(脾門は脈管が出入りする帯状の脾門は脾門溝にある。胃面と腎面の間で血管が出入する部位。脾門溝によって臓側面はその全体が上区と下区とに分けられている。)
- 716_14【Anterior extremity of spleen前端;下端(脾臓の) Extremitas anterior splenica; Extremitas inferior】
→(脾臓の前端は前下方に向いている。)