826_00【Spinal cord脊髄 Medulla spinalis】 It extends from the end of the medulla oblongata near the exit of the first spinal nerve to the beginning of the terminal filum at L1 or L2. →(脊髄は頚部(頚髄)、胸部(胸髄)、腰部(腰髄)、仙骨部または脊髄円錐(仙髄と尾髄)とからなり、それぞれ髄節に分かれ、それに対応して31対の脊髄神経が出る。頚髄では8対の頚神経、胸髄では12対の胸神経、腰仙髄では各々5対の腰神経と仙骨神経とが出る。尾髄からは通常1対の尾骨神経が出る。上肢および下肢支配の神経の出る頚髄下部と腰髄下部は発達が著しく、太くなっており、それぞれ頸膨大、腰部大とよばれる。脊髄下端は細くなり脊髄円錐となっておわる。その高さは成人では第1ないし第2腰椎の高さに相当する。新生児、幼児では低く第3腰椎の高さでおわっている。脊髄円錐の先はさらに細く糸状の終糸となって尾骨の背面に付着している。終糸に沿って走る脊髄神経の束はその形状から馬尾とよばれている。脊髄外側面でその腹側と背側の正中には(前)正中裂および(後)正中溝とよばれる溝があり、脊髄を左右の半分に分けている。前者は後者より深く、そこには前脊髄動脈が走っている。左右の脊髄半の外側面には腹側の前外側溝と背側の後外側溝の二つの溝がある。頚髄の高さの背側面は中心部の灰白質とその周辺の白質から成る。灰白質はそれぞれ前角(柱)、中間質(帯)、後角(柱)がある。灰白質の中央を貫いて中心管が通る。上方は第四脳室に開き、下方は脊髄炎水の所では拡大して終室となる。白質は前外側溝と後外側行と②より腹側の前索と外側の側索および背側の後索の3部分に分けられる。頚髄の高さで後索は後中間溝により内・外の薄束と楔状束とに分けられる。)
826_01【Spinal dura mater脊髄硬膜 Dura mater spinalis】 Hard membrane forming a protective covering around the spinal cord. It is separated from the wall of the vertebral canal by the epidural space. →(脊髄硬膜は内外の2枚の膜からなる。外板はやや薄く、脊柱管をおおう骨膜となる。内板は厚く、狭義の脊髄硬膜に相当し、脊髄を包む長い円筒形の嚢を作る。これは上方は大後頭孔縁に付き、下方は脊髄円錐を越えてさらに馬尾を包みつつ下り、第2~3仙椎の高さで急に尖って終わる。なおその続きは終糸の下半分と癒着して細い索となり、尾骨に付く(脊髄硬膜糸)。椎間孔では硬膜は骨と癒着している。内板と外板の間は脂肪に富んだ結合組織、静脈叢などで満たされ、これを硬膜上腔という。内板とクモ膜との間にも内皮細胞で覆われた狭いリンパ腔隙があり、これは硬膜下腔と呼ばれる。)
826_02【Spinal arachnoid mater; Arachnoid of spinal cord脊髄クモ膜 Arachnoidea mater spinalis; Arachnoidea spinalis】 Thin, avascular membrane attached to the spinal dura mater by surface adhesion. Its connective-tissue fibers extend to the pia mater. →(脊髄クモ膜は脊髄と硬膜と軟膜の間にある血管を含まない薄膜で、内皮細胞でおおわれた多数の細い結合組織線維の小梁によって軟膜と結合されている。特に頚部から胸部にかけてこれらの小梁が背側正中部で多く、強くなり、上下に続いた中隔を作る。これを中間頚部中隔という。クモ膜と軟膜との間には比較的広いクモ膜下腔があり、ここには脳脊髄液がある。脳クモ膜にみられるような槽を作らない。脊髄クモ膜下腔は臨床的に腰椎穿刺に利用される。穿刺は脊髄損傷を避けるために脊髄円錐より下方(第3,4腰椎間)で行う。その際に高さの基準としてヤコビの線Jacoby's lineが選ばれる。ヤコビの線は左右の腸骨稜の最高点を結ぶ線で、およそ第4腰椎の棘突起の高さに相当する。)
826_04【Spinal pia mater脊髄軟膜;脊髄柔膜 Pia mater spinalis; Pia mater spinalis】 Vascularized membrane containing connective-tissue fibers that is firmly attached to the surface of the spinal cord. →(脊髄軟膜は脊髄の表面を直接おおう、血管に富む薄い膜で、前正中裂も入り込んでいる。軟膜の特別の延長部として歯状靱帯がある。これは約20対の、前根と後根の間で前頭面にある靱帯で、ほぼ三角形を呈し、その頂点は硬膜に付き、脊髄を固定するのに役立つ。)
826_05【Denticulate ligament歯状靱帯 Ligamentum denticulatum】 Sheet of connective tissue running in the frontal plane. It connects the spinal cord with the spinal dura mater and is scalloped at the level of the roots of the spinal nerve. →(脊髄では、表層軟膜の組織から成る扁平な厚い膜が外側へ向かって一列に連続してならび、脊髄と硬膜とを結んでいる。これが歯状靱帯である。各々の歯状靱帯は外側に頂点を向けた三角形を呈し、この三角形の頂点が前根と後根の中間に当たる脊髄の外側表面に付着している。この靱帯の基部は軟膜から起こり、三角形の頂点が、クモ膜と脊髄硬膜の内表面に固く付着している。歯状靱帯は、脊髄を硬膜に固定するため、脊髄全長にわたって存在する。しかし脊髄円錐の部位では、表層軟膜が終糸の周囲を包むように覆っている。)
826_06【Posterior root of spinal nerve; Sensory root of spinal nerve; Dorsal root of spinal nerve後根;感覚根;背側根(脊髄神経の) Radix posterior; Radix dorsalis; Radices dorsalis; Radix sensoria (Nervus spinalis)】 →(脊髄神経の後根は脊髄神経節の神経芽細胞の中枢性の突起が集まってできる。後根の線維は脊髄にはいると長い上行枝と短い下行枝に分ける。上行枝と下行し共に灰白質の細胞とシナプス結合する。上行枝の一部は延髄の楔状束核(Burdach核)と薄束核(Goll核)に終止する。)