845
- 845_00【Cerebral hemisphere大脳半球 Hemispherium cerebri】
→(大脳半球は表層の外套と深部の大脳核からなる。外套は表面の灰白質である大脳皮質と、より深部の白質である大脳髄質からなる。しかし、TAによると英語では外套という用語がなく外套と大脳皮質を同義語としている。左右の大脳半球は大脳縦裂により分けられているが、その大部分は脳梁により結合されている。さらに大脳半球は大脳横裂により小脳と分けられている。外套の表面には多数の溝と、溝の間の隆起がみられ、それぞれ大脳溝および頭頂骨横行は葉間溝とよばれ、四つの大脳葉(前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉)を区別する上で重要な溝である。外側口の深部には島とよばれる外套の一部がある。前頭葉の下面には嗅脳がある。大脳皮質は部位により構造上の差違があり、系統発生学的に古い古皮質および原皮質と新しい新皮質に大別される。新皮質は発生の途上で少なくとも一度は原則として6層形成を示すのに対して、古皮質および原皮質の発生のいかなる時期にも6層形成を示さず、嗅脳、海馬および歯状回などに限局してみられる。)
- 845_01【Parietal lobe頭頂葉 Lobus parietalis】 Lobe bounded by the central sulcus, and, posteriorly, by the parieto-occipital sulcus.
→(頭頂葉は中心溝の後方にあり、外側溝の上方、頭頂後頭溝の前方に位置する。上外側面において、中心溝の後方にこれと平行して走る中心後溝があり、これらの二つの溝の間に中心後回を形成する。ここに体制感覚野が位置する。中心後溝の後方を大脳半球上縁にほぼ平行に走る頭頂間溝があり、これによって上および下頭頂小葉が区別される。これら小葉は頭頂連合野とされている。下と強う小はさらに小さな溝により前方の縁上回と後方の角回とに分けられる。内側面では、帯状溝の後方延長部と考えられる頭頂下溝とよばれる短い溝がある。中心傍小葉(後部)の後方には楔前部とよばれる部分がある。これは帯状溝の縁部、頭頂下溝、頭頂後頭溝などで囲まれた部分である。さらにこの後方は、後頭葉に属する楔部に接している。 発生と区分:胎生初期の脳は表面がなめらかで、発達にしたがって大脳溝と大脳回が順次形成されてくる。胎生4ヶ月から8ヶ月の間に出現する脳溝が、いわゆる第1次脳溝で、変異の少ない脳溝である。大脳半球外側面では外側溝 (Sylvius裂)、中心溝 (Rolando溝)、頭頂間溝、上側頭溝などの第1次脳溝が確認できる。外側溝(大脳外側窩)は、胎生4ヶ月頃大脳半球の外側部に陥凹として出現する脳溝であり、後部は縁上回に達している。外側溝の腹側域を側頭葉と呼ぶ。中心溝は胎生6ヶ月頃出現し、この溝により頭頂葉は前頭葉から区別される。頭頂葉の後方部は、半球内側面からのびて一部外側面にも現れている頭頂後頭溝によって後頭葉と境される。このように頭頂葉は、肉眼的には、前方は中心溝、後方は頭頂後頭溝と後頭前切痕を結ぶ仮想の線により境界されるが、腹外側方での側頭葉後部との境界は不明瞭である。このように第1次脳溝を基準にして大脳皮質は前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉に区分される。Brodmann(1909)はニッスル標本を用いてヒトの皮質を約50の領域に区分した。現在、皮質領野を区分する標準として広く臨床医学の場で用いられている。大脳皮質全体、層ごとの細胞の大きさや形、分布とその数(密集度)、層の幅、垂直方向における細胞の分布状態や特別な形の細胞の存在など、これらの相違を基礎にして分類したものである。これらの境界の多くが必ずしも脳溝と一致していないが、この形態上の区分が皮質の機能局在と密接な関係にある。Brodmannによる大脳皮質の細胞構築学的区分にしたがえば、頭頂葉外側面では領域3,1,2(中心後回)、領域5,7(上頭頂小葉)、領域39(角回)、領域40(縁上回)に相当する。なお、内側面では領域3,1,2,5(中心傍小葉の後部)、領域7(楔前部)に相当し、中古皮質に属する帯状回(領域31の一部)に接している。)
- 845_02【Occipital lobe後頭葉 Lobus occipitalis】 Lobe that is partially bounded by the transverse occipital sulcus, parieto-occipital sulcus, and preoccipital notch.
→(後頭葉は大脳半球の後部に位置し、外側面では頭頂葉および側頭葉の後方に続き、上外側面ではこれらとは明瞭な境界はない。しかし大脳半球内側面では頭頂後頭溝により頭頂葉と明確に区分される。機能的には視覚野がある。頭頂間溝の後端にほぼ横に走る小溝、すなわち横後頭溝がある。上外側面における溝および回は一般に不規則で、これらを上および外側後頭溝ならびに、上および外側後頭回と呼ぶ。外側後頭溝の後部はしばしば前方に凸部を向けた弓状を呈し、前部の溝と叉状に交わる。この弓状の溝は月状溝または猿裂と呼ばれる。しかしサルの月状溝はヒトの月状溝、頭頂後頭溝および横後頭溝の連続したものと考えられる。)
- 845_03【Temporal lobe側頭葉 Lobus temporalis】 Lobe bounded superiorly by the lateral sulcus.
→(側頭葉は外側溝より下方にある部分で、上外側面から下面におよび、後方は後頭葉および頭頂葉に移行する。上外側面では溝としては前後に走る上および下側頭溝があり、これらによって上、中および下側頭回が区画される。上側頭回の背側面で外側溝にかくれた部分には3本の横側頭溝があり、これらにより区別される二つの横側頭回(Heschl)がある。ここに聴覚野がある。これらの大部分は側頭葉下面皮質とともに連合中枢(側頭連合野)と目される。優位半球(主に左脳)の上側頭回の後部から角回にかけて感覚性言語中枢(Wernicke野)があるとされる。側頭葉下面では溝として前後に走る後頭側頭溝およびその内側をほぼこれと平行に走る側副溝がある。また側副溝の前方の延長部には浅い嗅脳溝がある。これは海馬傍回の前部と側頭葉の残部とを境する。回としては外側後頭側頭回は大脳上外側面における下側頭回が下面へ直接移行したもので、これらの両回の間を境する溝はない。内側後頭側頭回は後頭側頭溝と側副溝の間にあり、舌状回は側副溝後部と鳥距溝の間にあり、むしろ大部分は後頭葉に属する。)
- 845_04【Frontal lobe前頭葉 Lobus frontalis】 Portion extending from the frontal pole to the central sulcus.
→(前頭葉は中心溝の前、そして外側溝の上にある。前頭葉の上外側表面は3つの脳溝によって4つの脳回に分けられる。前頭葉には、1次運動野はBrodmannの脳区分でいうと領域4(中心前回から中心傍小葉)を中心に錐体外路系の中枢があり、身体の反対側の随意運動を起こす。Betzの巨大細胞が特徴的であるが、この細胞からの線維は皮質脊髄路の3%程である。運動前野(2次運動野)はBrodmannの領域6,8,44など(中心前回の前部から上・中・下前頭回後部)にある錐体外路系の運動中枢。この部は一次運動野の活動プログラム化に働き、障害されると習得した運動が障害される。通常の運動障害はなく、失行と呼ばれる。前頭眼野は中心前回で、顔面支配領域の前方に位置する(主に8野で6,9野の一部)。眼球や眼瞼の共同運動の中枢である。補足運動野は上前頭回内部に位置し、姿勢や運動開始と関係するらしい。運動性言語中枢はBrodmannの領域44,45(三角部)に位置する。Brocaの言語野ともいい、言語発声に必要な口から口頭の筋を統合支配する中枢で、運動野と連絡して発声運動を行うという。この部が障害されると意味のある言語を発声できなくなる運動失語が生じる。運動前野は大脳皮質の前頭葉の前方を広く占有している連合野である(Brodmannの9,10野)。前頭前野は脳の極めて広範囲から上方を集めて行動のプログラミングを行う。靴紐を結んだり、ボタンをかけるなどの学習・経験による複雑な組織化された運動の遂行と関係がある。背側運動前野は運動の企画や準備に対応し、腹側運動前野は物体を認知して動作へ変換する情報に変えるといわれる。)
- 845_05【Precentral gyrus中心前回;前中心回 Gyrus precentralis; Gyrus centralis anterior】 Motor area of the frontal lobe lying anterior to the central sulcus.
→(中心前回は大脳半球の外側面で、中心溝のすぐ前にある高まりで、ここは随意運動に関係する運動領(運動野)motor areaである。)
- 845_06【Postcentral gyrus中心後回;後中心回 Gyrus postcentralis; Gyrus centralis posterior】 Chiefly sensory region between the central sulcus and postcentral sulcus.
→(中心後回は中心溝とその後方に平行に走る中心後溝があり、この両溝に挟まれた脳回で一次体性感覚野という。領域3は中心溝の後壁に沿って位置する。中心溝の後壁をなす3bと、溝の深部にある3a(通常は運動野に含められる)が領域3を構成する。領域3と領域1,2とは皮質間結合で結ばれている。領域1,2から運動野、頭頂連合野へ投射し、逆に運動野からの投射をうける。2野には主として深在性(非皮膚性)の受容器に対応する部位対応配列がある。一次体性感覚野の背側部には下肢が、腹側部には頭頚部が対応しており、中間部には体幹と上肢が対応する。二次体性感覚野は頭頂弁蓋に位置する。温、痛覚や触覚などの体性感覚の中枢で、内側毛帯、脊髄視床路、三叉神経毛帯を経過して、視床の後外側腹側核、後内側腹側核で中継された上行性投射線維をうける。一次体性感覚野のすべての視床投射は体性感覚局在的に構成されている。)
- 845_07【Superior parietal lobule上頭頂小葉 Lobulus parietalis superior】 Portion of the parietal lobe situated dorsolateral to the intraparietal sulcus.
→(上頭頂小葉は頭頂間溝によって上頭頂小葉と下頭頂小葉に分けられる。これらの上および下頭頂小葉は頭頂連合野とみなされる。上頭頂小葉の前方の狭い部分が領域5、後方の広い部分が領域7に相当する。領域5は主として体性感覚連合野で空間位置関係や微細運動の統合、認知に関する機能を有し、皮膚、筋肉、深部組織、とくに関節からの興奮に反応するニューロンが同定されている。領域7は体性感覚と視覚、さらに聴覚、前庭覚の連合野であり、空間知覚にかかわる領域である。この部位の障害は、体性感覚の統合や、他者や環境に対する身体部位の三次元的な方向づけに障害をきたし、感覚情報の認知障害を起こす。)
- 845_08【Inferior parietal lobule下頭頂小葉 Lobulus parietalis inferior】 Portion of the parietal lobe situated anteromedial to the intraparietal sulcus.
→(下頭頂小葉は頭頂間溝の下にある大脳の頭頂葉の一部分で縁上回と角回に分けられる(角回の後方に後下頭頂小葉が認められることがある)。優位半球の下頭頂小葉が障害されると、半盲、失書-失読、失計算、観念運動失行、観念失行および構成失行が生じる。また劣位半球が障害されると、左半側空間無視、錯乱状態、地誌的記憶障害、地誌的観念の喪失、着衣失行、構成失行、病態失認、知覚転位症などが生じる。下頭頂小葉と側頭葉の上側頭回後上部(領域22の後部:狭義のウェルニッケ領域)に位置する領域は広義のウェルニッケ領域と呼ばれ、感覚性言語野に相当する。)
- 845_09【Angular gyrus角回 Gyrus angularis】 Convolution that curves around the posterior end of the superior temporal sulcus.
→(角回は側頭葉の上側頭溝の上行枝の末端部を囲むように位置する皮質領域である。ウェルニッケ領域の後部に位置し、Brodmannの領域39に相当する。角回の背側は上頭頂小葉に接し、後方は後頭葉の視覚前野(第二次視覚野)に接し、これらの領域からの線維をうけている。縁上回と同様に頭頂連合野に属する。視覚性言語を聴覚性言語に変換する情報処理をしているといわれている視覚性言語野がある(Geschwind, 1979)。優位半球の障害で失読、失書、観念失行、Gerstmann症候群などが生じる。また、劣位半球の角回周辺の障害で左半側空間失認が生じる。)
- 845_10【Lateral occipital gyri外側後頭回 Gyri occipitales laterales】
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- 845_11【Superior frontal gyrus上前頭回 Gyrus frontalis superior】
→(上前頭回は上前頭溝の上にある。上前頭回および中前頭回の後部には運動性皮質中枢の続き(運動前野)があるが、これらの回の前部および下前頭回は連合中枢(前頭連合野)と考えられれる。)
- 845_12【Middle frontal gyrus中前頭回 Gyrus frontalis medius】
→(中前頭回は上前頭溝と下前頭溝の間にあり、中前頭回および下前頭回は人脳では特に発育が良い。)
- 845_13【Superior part of middle frontal gyrus上部(中前頭回) Pars superior (Gyrus frontalis medius)】
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- 845_14【Inferior part of middle frontal gyrus下部(中前頭回) Pars inferior (Gyrus frontalis medius)】
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- 845_15【Inferior frontal gyrus下前頭回 Gyrus frontalis inferior】
→(下前頭回は外側溝の前枝と上行枝によって3つの部分に分けられる。すなわち、①眼窩部、②三角部、③弁蓋部である。優位大脳半球(通常は、右利きの人では左側にある)の三角部と弁蓋部は運動性言語中枢motor speech center(ブローカ中枢Broca's area)があり、言語活動に必要な微妙な運動支配を支配すると言われる。前頭葉下面は前頭骨眼窩部の上面にのっておりわずかに凹んでいる。ブローカ中枢は、右利きの人では左半球に、左利きの人では右半球にあるという説がある。)
- 845_16【Supramarginal gyrus縁上回;回旋回 Gyrus supramarginalis; Gyrus circumflexus】 Convolution that curves around the posterior end of the posterior ramus of the lateral sulcus.
→(縁上回は外側溝の上行枝をとり囲む皮質部位を占め、Brodmannの領域40に相当する。縁上回は背方にある上頭頂小葉から感覚情報をうけていて頭頂連合野に属する。優位半球のこの領域が限局性に障害されると、失書、手指失認、身体部位失認が生じる。また、伝導失語や観念運動失行もしばしば認められる。)
- 845_17【Superior temporal gyrus上側頭回 Gyrus temporalis superior】
→(上側頭回は側頭葉の外側表面上にある矢状回で外側溝と上側頭溝の間にある。上側頭回の後部付近には感覚性言語中枢sensory speech center(ウェルニッケ中枢Wernicke's area)があり、これは聞いた言葉を理解する中枢であるという。一次聴覚野は聴覚の中枢で、側頭葉の上側頭回の上面(Brodmannの41野)にある。二次聴覚野は一次聴覚野の周囲(42、22野)にある。一次聴覚野で聞く音の意味はこの皮質領域で理解される。)
- 845_18【Middle temporal gyrus中側頭回 Gyrus temporalis medius】
→(中側頭回は側頭葉の外側表面上にある矢状回で上側頭溝と下側頭溝の間にある。側頭葉の外側表面には大脳回が横に3列に並んでいる。つまり中央の大脳回が中側頭回である。)
- 845_19【Inferior temporal gyrus下側頭回 Gyrus temporalis inferior】
→(下側頭回は大脳の側頭葉の下外側境界上にあり、下側頭溝により中側頭回から分けられる脳回。側頭葉の下部表面上において、後頭側頭溝により内側後頭側頭回から分離される。外側後頭側頭回を含む。)
Rolando, Fissure of, Sulcus of
- 845_20Rolando, Fissure of, Sulcus of【Central sulcus; Central cerebral sulcus中心溝 Sulcus centralis cerebri】
→(ローランド溝ともよばれる。中心溝は大脳半球の上縁から外側溝の方向に向かって下前方に走る明瞭な溝である。通常、この溝は2か所で屈曲し、上方では大脳半球の内側面までは伸びていない。この溝の深部が前頭葉と頭頂葉の境となっている。一般に、中心溝は外側溝(シルビウス裂)に達しないことが多く、内側面に入るとすぐに終わることで確認される。イタリアの解剖学者Luigi Rolando (1773-1831)による。)
- 845_21【Marginal branch of cingulate sulcus; Marginal sulcus縁枝;縁溝;辺縁部;縁部(帯状溝の) Ramus marginalis; Sulcus marginalis; Pars marginalis】 Ascending terminal branch of the cingulate gyrus.
→(帯状溝の辺縁枝は辺縁溝ともよばれる。辺縁溝は帯状溝が上方へ伸びて頭頂葉の上内側縁で終わるまでの後端部。)
- 845_22【Intraparietal sulcus頭頂間溝;頭頂内溝 Sulcus intraparietalis; Sulcus interparietalis】 Inconstant groove between the inferior and superior parietal lobules.
→(頭頂間溝は中心後溝からある間隔をおいて後方へのび、さらに垂直に2枝に分かれて中心後溝とともにH字形をつくる水平な溝。上および下頭頂小葉間にある不定の溝。)
- 845_23【Parieto-occipital sulcus; *Occipitoparietal sulcus頭頂後頭溝;頭頂後頭裂 Sulcus parietooccipitalis; Fissura parietooccipitalis】 Deep furrow anterior to the cuneus that divides the occipital and parietal lobes.
→(頭頂後頭溝は頭頂葉楔前部と後頭葉楔部との境をつくる非常に深い垂直に走る溝。頭頂葉と後頭葉を分ける。)
- 845_24【Transverse occipital sulcus横後頭溝;横洞溝;横溝 Sulcus occipitalis transversus; Sulcus sinus transversi; Sulcus transversus】 Continuation of the intraparietal sulcus on the occipital lobe.
→(横後頭溝は後頭葉での頭頂内溝ののつづき。)
- 845_25【Lateral occipital sulcus外側後頭溝 Sulcus occipitalis laterales】
→(月状溝は本来2つの水平溝が前端で合して生ずるものと考え、それらを上後頭溝および中後頭溝とした。そして月状溝は往々この2溝に分離するが、時にはそのうち1溝を失って一つの水平溝のみを残す物であって、それが上後頭溝か中後頭溝かどちらとも決しかねるときは外側後頭溝よぶのがよい。)
- 845_26【Anterior occipital sulcus前後頭溝 Sulcus occipitalis anterior】
→(前後頭溝は中側頭溝の上行枝に当たるものであるが、ShellshearおよびWernickeはほぼ後頭葉の前境をなすといいう意味で、sulcus occpitalis anteriorと呼ぶ方が妥当であると述べている。)
- 845_27【Superior temporal sulcus上側頭溝 Sulcus temporalis superior】 Groove between the middle and superior temporal gyri.
→(上側頭溝は上側頭回と中側頭回の間にある縦溝。)
- 845_28【Middle temporal sulcus中側頭溝 Sulcus temporalis medius】
→(中側頭溝は中側頭回と下側頭回との間にある溝。 P.N.A.のSulcus temporalis inferiorはJ.N.A.,B.N.A.のそれと全く異なるものを指し(本文参照)、したがってGyrus temporalis inferiorの範囲もP.N.A.のそれはJ.N.A., B.N.A.のそれよりも狭く、J.N.A., B.N.A.におけるGyrus temporalis inferiorの上半分を指すにすぎない。これはB.R.を参照もればあきらかであるが、また大脳半球の内側面と下面の項の語の配列によっても窺われる。しかしこのためにGyrus occipitotemporalis med.とlat.がP.N.A.とJ.N.A.とで異なるものを指すこととなり、簡単に言えばこのGyriの名称が1つずつ外側へずれたようになってしまったのには注意を要する。J.N.A.の使い方ではGyrus occipitotemporalis medialisはGyrus occipitotemporalis lateralisの内側というよりはむしろ後内側上方にあったが、P.N.A.によれば両者が平行して内側と外側に位することになり、却ってそのなにふさわしいものになった。)
- 845_29【Precentral sulcus中心前溝 Sulcus precentralis】 Groove running anterior to the precentral gyrus.
→(中心前溝は大脳半球の上縁に始まり中心溝と平行に下方に延びる。中心溝と中心前溝の間は中心前回であり第一次運動野が存在する。)
- 845_30【Superior frontal sulcus上前頭溝 Sulcus frontalis superior】 Groove below the superior frontal gyrus.
→(上前頭溝は大脳の前頭葉上面にある矢状溝。中心前溝から始まり、上前頭回の外側の境界をつくる。)
- 845_31【Inferior frontal sulcus下前頭溝 Sulcus frontalis inferior】 Groove running between the inferior and middle gyri.
→(下前頭溝は中および下前頭回の間にある溝で上前頭溝と平行に走る。)
- 845_32【Opercular part of inferior frontal gyrus; Frontal operculum弁蓋部(下前頭回の);前頭弁蓋 Pars opercularis (Gyrus frontalis inferior)】 Opercular part of the inferior frontal gyrus lying behind the ascending ramus and covering the insula. Its anterior portion is part of Broca's motor speech area.
→(下前頭回の弁蓋部は島部を被覆する皮質回である。)
- 845_33【Triangular part of inferior frontal gyrus三角部(下前頭回の) Pars triangularis (Gyrus frontalis inferior)】 Part of the inferior frontal gyrus between the ascending and anterior rami of the lateral sulcus. Central region of Broca's motor speech area.
→(下前頭回の三角部は外側溝の前の前枝と上行枝の間にある下前頭回の部分。優位半球(一般に左脳)のこの部分には運動性言語中枢(Broca)がある。)
- 845_34【Orbital part of inferior frontal gyrus; Orbital operculum眼窩部(下前頭回の);眼窩弁蓋 Pars orbitalis; Operculum orbitalis (Gyrus frontalis inferior)】 Part of the inferior frontal gyrus below the anterior ramus of the lateral sulcus.
→(眼窩部は下前頭回の一部外側回前枝の下にある。)
Sylvian fissure, sulcus
- 845_35Sylvian fissure, sulcus【Lateral sulcus; Lateral cerebral sulcus外側溝;外側大脳裂;シルヴィウス溝 Sulcus lateralis cerebri; Fissura cerebri lateralis (sylvii)】 Groove running between the frontal and parietal lobes (above) and the temporal lobes (below).
→(シルビウス裂溝ともよばれる。外側溝は大脳半球の底面における陥凹である大脳外側窩に始まり、外包にすすんで半球外側面に現れ、その主部は後枝として後上方にすすみ、一方は前頭葉および頭頂葉と他方は側頭葉との境をなす深い溝である。半球外側面に現れたところで2小枝、すなわち前に向かう前枝と、上行する上行枝を出す。外側溝の奥には島がある。オランダの医学者Francis Sylvius (1614-1672)による。ちなみに中脳水道のシルビウスは別人である。)
- 845_36【Anterior ramus of lateral sulcus前枝(外側溝の) Ramus anterior (Sulcus lateralis)】 Short, anteriorly directed portion of the lateral sulcus.
→(外側溝の前枝は外側溝の前に向かう外側溝の短い枝。下前頭回の眼窩部と三角部を分ける。)
- 845_37【Ascending ramus of lateral sulcus (sylvian fissure)上行枝(外側溝の) Ramus ascendens sulci lateralis cerebri】 Short, ascending portion of the lateral sulcus in the frontal lobe.
→(外側溝の上行枝は前頭葉中にある外側溝の上行する短い枝。下前頭回の三角部と弁蓋部を分ける。)
- 845_38【Posterior ramus of lateral cerebral sulcus後枝(外側溝の) Ramus posterior sulci lateralis cerebri】 Portion of the lateral sulcus that ends at the supramarginal gyms.
→(外側溝の後枝は外側溝から後方へ長く続く溝で、下方に側頭葉、上方に頭頂葉の間を伸びて縁上回に囲まれて終わる長い枝。)