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Willis' nerve
- 896_01Willis' nerve【Accessory nerve [XI]副神経[脳神経XI] Nervus accessorius [XI]】 Nerve arising with two roots forming a single trunk that emerges through the jugular foramen along with CN IX and CN X, before dividing into two branches again.
→(副神経は第十一脳神経である。鈍運動神経で、その起始核は延髄から頚髄の上半におよぶ。したがってその神経根を延髄根と脊髄根とに分ける。前者は3~6本の根をなし迷走神経の下で延髄の後外側溝から出、脊髄根は6~7本の根をなして頚神経の前後両根の間から出て上行して延髄根と合して副神経の幹を作り、舌咽迷走両神経とともに頚静脈孔の前部を通って頭蓋底の外に出、内枝と外枝とに分かれる。内枝は延髄根の延長で、迷走神経下神経節の上端で迷走神経に合し、外枝は脊髄根の延長で下外方に走って胸鎖乳突筋および僧帽筋に分布する。また外枝はその経過中に第3および第4頚神経と交通する。)
- 896_02【Deltoid muscle三角筋 Musculus deltoideus】 Muscle consisting of three parts, all attaching on the deltoid tuberosity of the humerus and acting together to abduct the arm to about 90°. I: Axillary nerve.
→(三角筋は肩から上腕の上部にかけての丸みをつくる強大な筋。厚い筋性の被いで、上腕骨近位端を上、前、横および後から包んでいる。これは肩の弯曲を形どっている。しかしそれは筋自体によるものではなく、骨の形、特に大結節によっている。広げると、この筋は逆さにしたギリシャ文字のデルタに似ている。なぜなら肩関節における起始は非常に広がっており、上腕骨における停止は大変狭いからである。三角筋は鎖骨の外側1/3、肩峰および肩甲棘から起こる。肩峰部は複合羽状である(多数の線維-大きな生理的断面)、筋の内表面にあり三角筋粗面に停止しする腱に向かって筋線維の太い束が、集まっている。作用として上腕を外転する。しかし、三角筋は上腕を体幹に沿って下垂している状態から直ちに外転することはできない(三角筋の筋線維の走行が上腕骨の長軸に平行であるため、はじめは上腕を上方に引き上げるにすぎない)。したがって、上腕を下垂した位置から外転するためには、最初に棘上筋によって外転を起動しなければならない。)
- 896_03【Index finger [II]示指;ひとさしゆび(第2指) Index; Digitus secundus manus [II]】
→(示指は母指を第1指とすると第2指に相当する。)
- 896_04【Metacarpophalangeal joints; MP joint中手指節関節 Articulationes metacarpophalangeae】 Basal joints of the fingers located between the heads of the metacarpal bones and the bases of the proximal phalanges.
→(MP関節ともよばれる。中手指節関節は中手骨頭と基節骨底との間の関節で、関節腔は各指で独立している。中手骨頭が球面上をなすから関節面の毛板からは球関節に似るが、側副靱帯などによる運動性限をうけて、機能的には2軸性の顆状関節に属し、指の屈曲、伸展、内転、および描円を行う。関節包は比較的ゆるいが、その背側面は総指伸筋腱が膜状に拡がったものからなり、掌側面は浅および深指屈筋の腱を容れる手指に線維鞘と固く着く。また関節包靱帯として、背面の線維は側副靱帯を作り、掌側面に走る線維は掌側靱帯を作る。関節包の表面には次の補強靱帯がある。(1)側副靱帯:関節包の内外両側面にあって、やや掌側に傾いた走行をとる。(2)掌側靱帯:関節包の掌側面で、二つの側副靱帯の間にある。その表面は指にいたる屈筋腱のための溝をつくり、またその線維鞘と溝の両側で癒合している。(3)深横中手靱帯:第2指から第5指にいたる各中手骨頭の掌側面を互いに結合する横走線維束で、掌側靱帯と癒合する。またこの靱帯の表層を虫様筋が、その背側を掌側および背側骨間筋が通る。)
- 896_05【Little finger [V]小指;コユビ;第5指 Digitus minimus manus; Digitus quintus manus [V]】
→(小指は母指を第1指とすると第5指に相当する。)
- 896_06【Angle of mouth口角 Angulus oris】
→(口角は口裂の外側隅をいう。)
- 896_07【Eyelids眼瞼;マブタ Palpebrae】
→(眼瞼(まぶた)は、上・下2枚よりなる眼の蓋で、眼球前面を外傷からまもる。上眼瞼が下眼瞼より大きく上眼瞼挙筋をもつので可動範囲が大きい。眼瞼が開いているとき、その空間を眼瞼裂といい、まじりと目頭の上・下移行部を外・内側眼瞼交連という。外側眼瞼交連はより鋭角的で、眼球結膜面に密接している。内側眼瞼交連は鼻方へ数mm引き寄せられている。そのために生じる上・下眼瞼と眼球結膜との間の三角錐形の空間を皮膚の小島(涙丘)が満たし、その周辺を涙湖という。前眼瞼縁に睫毛がある。①眼瞼の構造は眼瞼前面から後面へ向かい皮膚、皮下組織、眼輪筋、瞼板、瞼板腺、結膜などの構造があり、上眼瞼には、上眼瞼挙筋腱が加わる。皮膚は全身中ここが最も薄く、後眼瞼縁で眼瞼結膜に移行する。皮下組織は脂肪が少ない。上の前眼瞼縁に平行な上眼瞼溝が著しい物を二重まぶた、溝がないかあっても上野皮膚に覆い隠されている物を一重まぶたという。めがしらの上眼瞼の皮膚が内側交連を越えてつくるヒダを蒙古ヒダ(瞼鼻ヒダ)といい、日本人などモンゴロイド人種の特徴とされる。②瞼板は楕円形の密線維結合組織板。上瞼板は、幅25mm、縦径10mm、下瞼板は幅25mm、縦径5mm。前縁は厚く直線的、後縁は薄く眼窩中隔を介して眼窩骨膜につづく。③瞼板筋は上眼瞼挙筋腱から上瞼板筋(Muller筋)が分かれ、瞼板上縁に付着する。下結膜円蓋下結合組織または下直筋から弱い下瞼板筋が分かれ、ともに交感神経支配の平滑筋で眼瞼裂の開き具合に関係すると考えられる。眼瞼を固く閉じるときには、眼輪筋の働きも重要である。瞬目(マバタキ)blinking, nictitationは眼輪筋の眼瞼部の収縮によって起こる運動で、1分間に約10~25回みられる。)
- 896_08【Lower lip下唇;シタクチビル Labium inferius】
→(下唇には、オトガイとの間に横走するオトガイ唇溝がみられる。)
- 896_09【Chinオトガイ;頤 Mentum】
→(オトガイ(頤)というのは、下顎のうち正中に近い突出した部分をさす。ここが突出しているのは、人が類人猿と異なる著しい特徴である。)
- 896_10【Zygomaticus major muscle; Greater zygomatic muscle大頬骨筋;頬骨筋 Musculus zygomaticus major; Musculus zygomaticus】 Muscle extending from the zygomatic bone to the angle of the mouth and upper lip. I: Facial nerve.
→(大胸骨筋は頬骨弓から内側下方へ向かって上唇および口角まで走る。大頬骨筋は口角を引き挙げ、かつ口角を外方へ引く(狭義の“笑う筋”)。)
- 896_11【Masseter muscle咬筋 Musculus masseter】 The most prominent masticatory muscle. It acts to close the mouth and, together with the temporal and medial pterygoid muscles, determines the level of masticatory force. It consists of the following two parts.
→(咬筋は最も浅層にある咀嚼筋である。浅部と深部の2部からなり、浅部は強い腱で頬骨弓の前3分の2の下縁と内面から起こり後下方に向かい、深部は頬骨弓の後3分の2の下縁に垂直に下り向かい下顎枝および下顎角の外面に付く。作用は下顎骨を引き上げて歯をかみ合わせる。咬筋は強大な筋で、歯をかみ合わせると、体表からみることができ、かつ触れることができる。)
- 896_12【Lateral pterygoid muscle外側翼突筋 Musculus pterygoideus lateralis; Musculus pterygoideus externus】 o: Lateral surface of lateral plate of pterygoid process and inferior surface of greater wing of sphenoid, i: Two-headed (variant: three-headed) at disco-capsular system of temporomandibular joint and pterygoid fovea. I: Mandibular nerve.
→(外側翼突筋は2頭からなる。上頭は蝶形骨大翼の下面から起こる。下頭は蝶形骨翼状突起外側板に起始する。下頭は側頭下窩を通過して、下顎骨関節突起(翼突筋窩に)停止し、上頭もまた関節円板および関節包に付着する。三叉神経の下顎神経の外側翼突筋神経より支配を受ける。作用として下顎骨を引く。片側が働けば下顎骨前部は対側に働く。)
- 896_13【Frontal association cortex前頭葉連合野;前頭連合野 】
→( 前頭葉連合野Frontal association cortexはヒトではとくに広く(9・10・11・12野)、認知、学習、記憶、思考・機能的注意と関係がある。とくに前頭葉の前部、すなわち前頭前野Prefrontal cortex(9・10野)はすべての大脳皮質、大脳基底核、視床、視床下部、小脳、脳幹との間に広範な線維連絡をもち、これらの線維連絡により、感覚、運動、快・不快などの情報を統合して、運動の実行に影響をあたえるほか、運動のプランを立てることにも関与する。 →前頭葉連合野が侵されると、性格や情動に変化があらわれ、行動に計画性がなくなり、無関心や衝動的な行動が目立つようになる。(解剖学講義))
- 896_14【Thigh大腿 Femur】
→(身体下部の近位部で、骨盤から膝まで。)
- 896_15【Quadriceps femoris muscle大腿四頭筋 Musculus quadriceps femoris】 Muscle group composed of the following four muscles. Its tendon extends to the patella and continues as the patellar ligament to the tibial tuberosity. Extension at the knee joint. I: Femoral nerve.
→(大腿四頭筋は大腿前部の筋で下腿を伸展するほとんど唯一の筋であって、膝蓋骨と膝蓋靱帯を介して脛骨粗面につく。大腿四頭筋は4頭を持つ。大腿直筋は股関節と膝関節をまたぎ、これに大腿骨のほとんどを包む3つの広筋が合流する。4つの筋は広い共同腱を作り、その中に膝蓋骨が種子骨として埋まっている。膝蓋骨尖からは膝蓋靱帯が停止腱の続きとしてあり、脛骨粗面に達する。膝蓋骨によって大腿四頭筋腱は膝関節屈曲軸から遠くなり、その分、筋の回転力が増加する。膝蓋支帯は大腿四頭筋の側方腱で、縦長の紐状物として膝蓋骨側方を走り、脛骨上縁に付く。膝蓋骨が大腿骨膝蓋面から滑脱するのを防ぎ、大腿四頭筋の伸展作用の一部を脛骨に伝える。)
- 896_16【Elbow joint肘関節 Articulatio cubiti】 Joint formed by the humerus, radius, and ulna.
→(肘関節は上腕骨と橈骨、尺骨の3骨の間に生じた複関節で、肘の屈伸を行う。したがって分類状は1軸性の蝶番関節とみることができる。上腕骨滑車と尺骨の滑車切痕との間の腕尺関節、上腕骨小頭と橈骨頭との間の腕橈切痕との間の上頭尺関節が共通の関節包におおわれる。しかし後者は機能的には下橈尺関節とともに前腕の回旋に関係するので、前2者とは別に記載するのが通例である。上腕骨の内側および外側上顆は関節包におおわれない。関節包の内側と外側はそれぞれ内側側副靱帯および外側側副靱帯によって補強される。橈骨輪状靱帯は、関節包の内面が肥厚した幅約1cmの靱帯で、尺骨の橈骨切痕の前縁からおこり、橈骨の関節環状面を輪状にとりまいたのち、再び尺骨の橈骨切痕の後縁につく。この靱帯の関節腔に面した部分は軟骨性となり、尺骨の橈骨切痕とともに上橈尺関節における関節窩を形成する。肘関節における屈伸運動の役割を演ずるのは腕尺関節である。しかし上腕骨滑車の内側部の直径が外側部のそれよりやや大きいため、肘を伸ばすと、その時の尺骨の長軸は、上腕骨長軸よりも外方へ約10~20°の傾きを示す。この角をcarrying angleという。しかし肘を曲げたときは、両骨の長軸は重なり合う。)
- 896_17【Forearm前腕;マエウデ Antebrachium】
→(上肢の肘と手首の間の部分。)
- 896_18【Hand手;テ Manus】
→(手は上肢のうち橈骨手根関節より遠位の部分。手根と中手に区別され、手根と中手の前面を手掌、後面を手背という。皮膚節において第六頚神経、第七頚神経、第八頚神経のレベル。)
- 896_19【Thumb [I]母指;オヤユビ;第1指 Pollex; Digitus primus manus [I]】
→(母指は手の橈側の第1指。皮膚節において第六頚神経のレベル。)
- 896_20【Parietal association cortex頭頂葉連合野;頭頂連合野 】
→( 頭頂葉連合野parietal associaction cortex(5・7野)は視覚野と体性感覚野からの情報を統合して、運動野と運動前野へ出力する。受動的注意に関係するほか、感覚刺激や視覚刺激にもとづいた行動の動機付けに影響を与える。(解剖学講義))
- 896_21【Temporal association cortex側頭葉連合野;側頭連合野 】
→( 側頭葉連合野Temporal association cortex(21・22・28野)は視覚野や2次視覚野、大脳辺縁系、前頭前野と線維連絡をもつ。側頭葉連合野は記憶に関係があり、また、前頭葉連合野とともにヒトの感情や情動にも関係している。 →側頭葉連合野が侵されると、健忘症amnesia、注意力散漫、精神的盲visual agnosia(視力は保たれているのに何をみているのかわからない)が起こる。(解剖学講義))