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- 956_00【Lumbosacral plexus腰仙骨神経叢 Plexus lumbosacralis】 Communication between the lumbar and sacral plexuses via the lumbosacral trunk.
→(腰仙骨神経叢は第一~第5腰神経の前枝がつくる腰神経叢と腰仙骨神経叢の構成に腰仙骨神経幹(第4腰神経前枝と第5腰神経の前枝の線維の一部)を含むこと、すなわち、腰神経前枝からの線維が構成に加わることは、腰神経叢と仙骨神経叢の間に連続性を作り出す。その結果、2つの神経叢は概念的に腰仙骨神経叢という用語のもとに1つにまとまれられる。)
- 956_01【Lumbar part of diaphragm腰椎部(横隔膜の) Pars lumbalis (Diaphragmatis)】 Part of the diaphragm that arises from the lumbar vertebrae, intervertebral discs, and tendinous arches.
→(横隔膜の腰椎体からの起始は腰椎部と呼ばれ、左右の2脚からなる。左脚は第1~第3腰椎体から、右脚は第1~第4腰椎体から、椎体前面の前縦靱帯と密着して腱様に起こって上行している。)
- 956_02【Aortic hiatus大動脈裂孔 Hiatus aorticus】 Passageway between the right and left crura of the lumbar part of the diaphragm for the aorta and thoracic duct.
→(大動脈裂孔は第12胸椎の椎体の前で、横隔膜の腰椎部の左脚と右脚との間にある裂孔で、胸大動脈のほか、それにまつわる交感神経叢(大動脈神経叢)と、奇静脈、胸管が通る。)
- 956_03【Twelfth intercostal nerve; 12th intercostal nerve; Anterior rami of 12th thoracic nerve; Ventral rami of 12th thoracic nerve第12肋間神経;前枝;腹側枝(第12胸神経の) Nervus intercostalis XII; Ramus ventralis (Nervus thoracic XII)】
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- 956_03a【Intercostal nerves of thoracic nerves; Anterior rami of thoracic nerves; Ventral rami of thoracic nerves前枝;肋間神経;腹側枝(胸神経の) Nervi intercostales (Nervus thoracicorum); Rami anteriores nervus thoracicorum; Rami ventrales nervus thoracicorum】 Nerves accompanying vessels to the intercostal spaces.
→(肋間神経は胸神経の前枝で、肋間隙を肋骨の下縁に沿って肋間動静脈とともに前走し、筋枝を胸壁の筋(外肋間筋・内肋間筋・最内肋間筋・肋下筋・胸横筋・上後鋸筋・下後鋸筋)に送り、皮枝(外側皮枝・前皮枝)を胸壁の側面・前面の皮膚に送る。そのほかのに、壁側胸膜・腹膜にも分布する。)
- 956_04【Iliohypogastric nerve; Iliopubic nerve腸骨下腹神経 Nervus iliohypogastricus; Nervus iliopubicus】 Nerve containing sensory and motor fibers from L1 and T12 that supplies the abdominal muscles. It traverses the psoas major and continues between the transverse abdominal and internal oblique muscles, which it pierces medial to the anterior superior iliac spine.
→(腸骨下腹神経は第12胸神経および第1腰神経よりなり第12肋間神経(肋下神経)の下方を、これと平行に前下方に走り、前腹筋に、皮枝を下腹部と臀部との皮膚に与える。大腰筋を斜めに貫き、腹横筋および内腹斜筋の間にでて、上前腸骨棘の内側でこれらの腹筋を貫く。)
- 956_05【Ilioinguinal nerve腸骨鼡径神経 Nervus ilioinguinalis】 It usually arises from L1 and emerges at the lateral border of the psoas. It travels between the kidney and quadratus lumborum, then between the transverse abdominal and internal oblique muscles, continuing through the inguinal canal.
→(腸骨鼡径神経は腸骨下腹神経の下方を、これと平行に走り、筋枝を側副筋に与えたのち精索(女性では子宮円索)とともに、鼡径管を通って鼡径部の皮下に現れ、陰嚢(女性では大陰唇)に分布する(前陰嚢神経または前陰唇神経)。)
- 956_06【Transversus abdominis muscle; Transverse abdominal muscle腹横筋 Musculus transversus abdominis】 Inner surface of the seventh through twelfth costal cartilages, thoracolumbar fascia, iliac crest, anterior superior iliac spine, inguinal ligament, i: Rectus sheath, linea semilunaris. I: Intercostal nerves 7-12, iliohypogastric nerve, ilioinguinal nerve, genitofemoral nerve.
→(腹横筋の起始は下位6本の肋骨の肋軟骨内面、腰筋膜の内層、腸骨稜の内唇の前2/3、鼡径靱帯の外方1/3。停止は腱膜鞘につつまれて両腹斜筋とともに白線の中へ。機能としては腹部の圧縮、腹部内臓の保護、強い呼気時に働く。神経支配は下位6本の肋間神経の前枝、腸骨下腹神経と腸骨鼡径神経。動脈は深腸骨回旋動脈、下腹壁動脈。腹横筋は胸横筋の尾側に隣接している。この筋は、第7(6,5)から第12肋軟骨の内面、腰椎の肋骨突起(胸腰筋膜の深葉を介して)、腸骨稜の内唇および鼡径靱帯の外側部から起こる。この筋線維は、ほぼ水平に(腹直筋に直角)に走り、半月状の外側に凸の線、半月線を越えて腱膜となる。腹横筋の腱膜は腹直筋鞘の形成に関わる。その腱膜の線維は、白線で内腹斜筋の腱膜の線維と連結している。)
- 956_07【Quadratus lumborum muscle腰方形筋 Musculus quadratus lumborum】 o: Iliac crest, i: Twelfth rib, costal processes of lumbar vertebrae L1-L4. Draws ribs inferiorly, lateral flexion. I: Intercostal nerve of twelfth rib, lumbar plexus.
→(腰方形筋の起始は腸腰靱帯、腸骨稜の後部。停止は最後の肋骨の下縁、上位4個の腰椎横突起。機能として一番下の肋骨の下制(ひきさげ)、体幹屈曲の補助、一側単独で働くときは脊柱の側屈、呼吸運動の関与は疑問。神経支配は肋下神経、第1,2,3腰神経。動脈は腸腰動脈の腰枝から受ける。)
- 956_08【Lateral cutaneous nerve of thigh; Lateral femoral cutaneous nerve; Fibular femoral cutaneous nerve外側大腿皮神経;大腿の外側皮神経;腓側大腿皮神経 Nervus cutaneus femoris lateralis; Nervus cutaneus femoris fibulalis】 It arises from L2 and L3 and emerges at the lateral border of the psoas. It travels beneath the iliac fascia through the lateral part of the muscular space and either deep or superficial to the sartorius, continuing to the skin of the lateral aspect of the thigh.
→(外側大腿皮神経(L2,L3)は、大腰筋の外側縁から出現し、壁側腹膜と腸骨筋膜(この神経の支配を受ける)の後方で腸骨筋を斜めに越える。上前腸骨棘の方向へ進み、鼡径靭帯外側端を越えるるか、あるいはこれを貫通して大腿に入る。ついで、外側大腿皮神経は、縫工筋近位部を越えるか、あるいは貫通した後、大腿筋膜の深部を下行する。鼡径靱帯の下方約10cmで大腿筋膜を貫くが、それ以前に、この神経を覆う皮膚に数多くの小枝を出す。外側大腿皮神経の終末枝は大腿骨大転子と膝との間で、大腿の前外側面を覆う皮膚と筋膜に分布する。)
- 956_09【Psoas major muscle大腰筋 Musculus psoas major】 o: Lateral aspect of vertebral bodies T12 and L1-L4, costal process of L1-L5. I: Lumbar plexus.
→(横隔膜の内側弓状靱帯の後を走る大腰筋は浅深の2頭を持つ。浅頭は第12胸椎~第4腰椎の椎体と椎間円板から起こり、深頭は全腰椎の肋骨突起から起こる。これら2頭の間には腰神経叢の枝が何本も走っている。大腰筋は下方では腸骨筋と共に鼡径靱帯の後をくぐって腸腰筋の一部となって大腿に下る。)
- 956_10【Psoas minor; Psoas minor muscle小腰筋 Musculus psoas minor】 o:Vertebral bodies of T12 and LI. i: Fascia iliaca. I: Lumbar plexus.
→(大腰筋の前面には、小腰筋が40~50%の頻度で存在する。この細長い筋は、上位腰椎の椎体から起こり、その腱は腸骨筋の表面の筋膜(腸骨筋間)に放散しながら恥骨櫛に終わる(すなわち小腰筋は骨盤の外には出ない)。第3の寛骨内筋、その起始は第12胸椎と第1腰椎である。長い腱は大腰筋上を尾側へ向かい、腸腰筋膜や、特に腸恥骨弓に放散する。小腰筋は約半例で欠損する。人種差は認められないが、概して女性に欠ける率が多い。また小腰筋は重複することがある。)
- 956_11【Femoral branch of genitofemoral nerve大腿枝(陰部大腿神経の);腰鼡径神経 Ramus femoralis (Nervus genitofemoralis); Nervus lumboinguinalis】 Branch passing through the vascular space and continuing through the saphenous opening to supply the overlying skin.
→(陰部大腿神経の大腿枝は血管裂孔(大体動脈と腸恥筋膜弓の間)を通り、伏在裂孔をへて、大腿前面最上部の皮膚へ分布する。)
- 956_12【Genital branch of genitofemoral nerve陰部枝(陰部大腿神経の);外精神経 Ramus genitalis (Nervus genitofemoralis); Nervus spermaticus externus】 Branch running through the inguinal canal that supplies the cremaster, scrotal skin (labium majus), and adjacent skin of the thigh.
→(陰部大腿神経の陰部枝は深鼡径輪を通って陰嚢前面、大陰唇、隣接する大腿の皮膚に分布し、運動枝を精巣挙筋に送る。)
- 956_13【Iliacus muscle腸骨筋 Musculus iliacus】 o: Iliac fossa, hip joint capsule. I: Femoral nerve, lumbar plexus.
→(腸骨稜の下方に腸骨筋膜に囲まれて存在する。腸骨窩に起始し、大腰筋との共同腱によって小転子前面と股関節嚢に停止する。腰神経叢によって神経支配され、大腿の屈曲の内旋に作用する。)
- 956_14【Muscular branches of femoral nerve筋枝(大腿神経の) Rami musculares (Nervus femoralis)】 Branches to the sartorius, pectineus, and quadriceps femoris.
→(縫工筋、恥骨筋および大腿四頭筋へいたる枝。(Feneis))
- 956_15【Obturator nerve閉鎖神経 Nervus obturatorius】 It arises from L2-L4 and travels beneath the psoas, posterior to the internal iliac artery, lateral to the ureter, continuing through the obturator canal to the adductors and the skin of the medial aspect of the thigh.
→(閉鎖神経は第二・第三・第四腰神経からなる腰神経叢から起こり、垂直に下行し、大腿筋の内側縁から出て、総腸骨動脈の後側を通って骨盤孔に入る。骨盤の側壁内面に沿って走り、閉鎖動静脈とともに閉鎖管を抜けて大腿上部の内側部に出る。前枝は長内転筋と薄筋の間に現れ、大腿皮膚の下3分の2へ分布。 筋枝は大腿の内転筋に分布する。大腿の内側部皮膚と内転筋分に分布する。皮枝は大腿内側の皮膚に分布する。関節枝は股関節と膝関節とに分布する。)
- 956_16【Femoral nerve大腿神経 Nervus femoralis】 Thickest branch of the lumbar plexus, which arises from L2-L4. It emerges at the lateral border of the psoas and travels in the muscular space between it and the iliacus. It divides below the inguinal ligament.
→((Netter)大腿神経(L2,L3,L4)は、腰神経叢から出る最大の枝で、腸骨筋と大腿前面の筋群を支配し、股関節や膝関節および周囲の血管へ枝を送り、また下肢の前内側面に皮枝を出す。大腿神経は、第2~4腰神経前枝の背側部から起こり(図10)、大腰筋を下外方へ貫通し、ついで大腰筋と腸骨筋間の溝を走行しながらこれらの筋に支配枝を出す。大腿神経は、鼡径靱帯の後方を通り、大腿部に入る。大腿三角では大腿動脈鞘の外側に位置し、ここで筋枝と皮枝に分かれる。筋枝は、恥骨筋、縫工筋および大腿四頭筋を支配する。恥骨筋へ行く筋枝は、鼡径靱帯の高さで起こる。縫工筋への筋枝は、この筋の上部2/3に入る。また数本の枝は、大腿神経前皮枝と起始を同じくしている。大腿四頭筋への支配枝は、図のごとく支配する。すわなち大腿直筋と外側広筋への枝は、両筋の後面へ入る。また、中間広筋への枝は、その前面から中間広筋に入り、中間広筋を貫いて下部にある膝関節筋を支配する。さらに、内側広筋への枝は、内転筋管を大腿動静脈と伏在神経の外側に沿って様々な長さを走りながら、次々に内側広筋へ枝を出し、そのうちの何本かは中間広筋や膝関節筋に終わる。 大腿神経の前皮枝は、大腿三角に起こる。鼡径靱帯より8~10cm遠位で、この神経のすべての枝は大腿筋膜を貫き、膝関節の高さまで下行する。走行の間に、大腿前面および内側面を覆う皮膚と筋膜に枝を送る。伏在神経は、大腿神経の最大かつ最長の枝であり、大腿三角の高さで起こり、大腿動静脈の外側に沿って大腿三角内を下行し、内転筋管に入る。ここでこの神経は大腿動静脈を斜めに越え、大内転筋下端の前面で、これらの動静脈内側に位置するに至る。内転筋管内において、伏在神経は、大腿神経前皮枝および閉鎖神経と交通して縫工筋下神経叢を形成する。内転筋管下端では、この神経は、大腿動静脈から離れて膝蓋下枝を生じる。この枝は、縫工筋の後縁を回り、大腿筋膜を貫いて走行を続け、膝関節や膝蓋靱帯の内面および前面を覆う皮膚に分布する。膝蓋下枝は大腿神経前皮枝および外側大腿皮神経より枝を受けて膝蓋神経叢を作る。伏在神経は、膝関節の内側面を下行し、縫工筋と薄筋の間で大腿筋膜を貫く。この後、大伏在静脈の近傍で下腿の内側面を下行し、内側下腿皮枝を出す。伏在神経は、下腿の下部でさらに2枝に分かれる。小さな枝は脛骨内側縁に沿って足首まで下げる。他方、大きい枝は、内果前面を越え、足の内側面と足背を覆う皮膚と筋膜に分布する。関節枝は、大腿直筋の支配枝から起こり、外側大腿回旋動脈の関節枝と共に股関節に至る。大腿の広筋群への支配枝からの小枝および伏在神経からの小枝が、膝関節を支配する。)
- 956_17【Ganglion impar不対神経節;尾骨神経節 Ganglion impar; Ganglion coccygeum】 Last, unpaired ganglion of the sympathetic trunk lying anterior to the coccyx.
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- 956_18【Oesophageal hiatus; Esophageal hiatus食道裂孔;食道孔 Hiatus oesophageus; Foramen oesophagicum】 Passageway for the esophageal and vagal nerves.
→(食道裂孔は大動脈裂孔の左前上方にある裂孔。第10胸椎の高さで、腰椎部の左脚と右脚とから起こる筋線維束でループ状に囲まれる。この裂孔には、食道の他に、左胃動脈の枝、迷走神経、左横隔神経の枝が通る。)
- 956_19【Sympathetic trunk交感神経幹 Truncus sympathicus】 Chain of ganglia that are connected by nerve fibers and lie on the left and right sides of the vertebral column, extending from the base of the cranium to the coccyx.
→(脊椎全長の両脇に1本ずつの交感神経幹(神経節のためのふくらみをそなえる)が存在している。同幹の頚部領域には3個、胸部領域には11~12小、腰部領域には5個、仙骨部領域(骨盤内)には4~5個の幹神経節がある。左右の交感神経幹は脊柱に近接しており、脊柱下端の所では1個の不対神経節につながる。(求心性神経線維) 内臓からの感覚を伝える有髄性の求心性神経線維は交感神経節を素通りして、白交通枝を介して脊髄神経内に入り、その脊髄神経節が所属する髄節の高さの後根神経節の中に含まれる神経細胞体に達する。同じ細胞体からの、中枢に向かう軸索がそののち脊髄に入り、脊髄内での内臓反射路の形成にあずかったり、あるいは脳の自律神経中枢にまで上行したりする。)
- 956_20【Twelfth rib [XII]第12肋骨 Costa XII】
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- 956_20a【Ribs [I-XII]肋骨[1-12] Costae [I-XII]】
→(肋骨という名前は、骨質からなる肋硬骨と軟骨質からなる肋軟骨の総称である。肋骨は扁平長骨で、12対あり、後方で胸椎と連結して胸郭を構成する。軟骨性骨として発生するが、前方の小部分が肋軟骨として軟骨のまま残る。第一~七肋骨は前端が胸骨外側縁と連結しているが、第八から十二肋骨は胸骨に達していない。前者が真肋、後者が仮肋である。仮肋のうち第八~第十肋骨では、肋軟骨が上位の肋軟骨と結合して肋骨弓を形成する。第十一・第十二肋骨は自由端で終わる(浮遊肋骨)。肋骨は後上方から前下方へ向かい、胸骨近くで角をなし、上方へ向かう。第一・第二肋骨では肋軟骨との境界部で、他の肋骨では肋軟骨部で曲がっている。長さは第一肋骨~第七肋骨まで増加し、第八肋骨以下では減少する。胸椎体と連結する膨大した部分が肋骨頭で、肋骨頭関節面がある。第二~第十肋骨では水平に走る肋骨頭稜によって、上位胸椎体の下肋骨窩に対する上方の小さな関節面と、各肋骨と同順位の胸椎体の上肋骨窩に対する下方の大きな関節面とが区別される。第一・第十一・第十二肋骨では、肋骨と同順位の胸椎体とのみ連結するので、肋骨頭関節面は単一な平面である。肋骨体に続く前後にやや扁平な部分がが肋骨頚で、各肋骨と同順位の胸椎横突起の前面に位置している。鋭い上縁が肋骨頚稜で、後面は粗面をなす。外側端後部外面の膨隆した部分が肋骨結節で肋骨体との境をなす。肋骨結節には、各肋骨と同順位の胸椎横突起に対する下内側部の肋骨結節関節面と、外側部の靱帯が付着する隆起とがある。肋骨結節に続く扁平な部分が肋骨体で、上縁は丸く下縁は鋭い。肋骨結節の外側で、前後にやや厚く後面が粗面をなし、肋骨がやや強く弯曲する部分が肋骨角である。第一肋骨の肋骨角は肋骨結節の所にあるが、第二肋骨以下下方の肋骨ほど、肋骨角は肋骨結節の外側方に位置するようになる。肋骨体内面下部で、肋骨頚から前方に走る溝が肋骨溝で、肋間神経・肋間動静脈が入る。溝は前端近くで不明瞭となる。肋骨体の前端は被厚し、断端は楕円形の凹面として終わる。肋骨は内側方へ屈曲するとともに、長軸のまわりで上縁が内側方向へねじれている。第三から第十肋骨は上述の一般的形態を示すが、第一・第二・第十一・第十二肋骨はやや変形を示す。第一肋骨は最も短く、上下に扁平なため幅が最も広い。肋骨角に相当する部分は肋骨結節に一致し、ここで弯曲が最も強い。上面の中央内縁に近い部分の小隆起が前斜角筋結節で、この前方にある浅い陥凹が鎖骨下静脈溝、後方の浅い陥凹が鎖骨下動脈溝である。第二肋骨の上面中央外側部の粗面が前鋸筋粗面である。)
- 956_21【Anterior branch; Ventral branch of 1st lumbar nerve前枝;腹側枝(第1腰神経の) Ramus anterior; Ramus ventralis (Nervus lumbalium I)】
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- 956_21a【Anterior rami of lumbar nerves; Ventral rami of lumbar nerves前枝;腹側枝(腰神経の) Rami anteriores nervus lumbalium; Rami ventrales nervus lumbalium】 Anterior branches forming the lumbar plexus.
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- 956_22【Muscular branches from lumbar plexus筋枝(腰神経叢の) Rami musculares (Lumbar plexus)】
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- 956_23【Second lumbar nerve; L2 spinal nerve; [L2]第2腰神経 Nervus lumbalis II; [L2]】
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- 956_23a【Lumbar nerves [L1-L5]腰神経[L1-L5] Nervi lumbales [L1-L5]】 The five lumbar spinal nerves that emerge below the respective lumbar vertebrae.
→(腰神経は脊髄腰部の両側から対をなして出る5本の神経。)
- 956_24【Genitofemoral nerve陰部大腿神経 Nervus genitofemoralis】 Nerve arising from L1 and L2 that pierces and lies on top of the psoas major.
→(陰部大腿神経は第12胸神経、第1および第2腰神経よりなる細い神経で、大腰筋の中で2枝に分かれ、一本は精索(子宮円索)に沿って陰嚢(大陰唇)に分布し、他の一本は外腸骨動脈に沿って下行枝し、鼡径靱帯の下を通り、伏在裂孔から出て大腿上部の内側部皮膚に分布する。陰部大腿神経は精巣挙筋を支配しいている。神経が分布する大腿近位部の内側部皮膚を擦ると挙睾筋(精巣挙筋)の反射的収縮によって精巣は上昇する(挙筋反射cremasteric reflex)。)
- 956_25【Lumbar plexus; Lumbar nerve plexus腰神経叢 Plexus lumbalis】 Plexus formed by the anterior rami of L1-L3 and portions of T12 and L4. Its nerves lie mainly along the inferior abdominal wall and anterior surface of the leg.
→(腰神経叢は第12胸神経、第1~第3腰神経、第4腰神経の一部の神経線維により、大腰筋の後方と筋内で形成される。この神経叢の神経は下肢の前面に至る。)
- 956_26【Third lumbar nerve; L3 spinal nerve; [L3]第3腰神経 Nervus lumbalis III; [L3]】
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- 956_27【Fourth lumbar nerve; L4 spinal nerve; [L4]第4腰神経 Nervus lumbalis IV; [L4]】
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- 956_28【Communicating branch of lumbar nerves交通枝(腰神経の) Ramus communicans (Nervi lumbales)】
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- 956_29【Sacral plexus; Sacral nerve plexus仙骨神経叢;坐骨神経叢 Plexus sacralis; Plexus ischiadicus】 Plexus formed by L5-S3 and part of L4 and S4. It lies on the anterior aspect of the piriformis deep to the fascia and sends nerves to the posterior aspect of the leg.
→(仙骨神経叢は第4腰神経、第5腰神経、第1~第5仙骨神経の前枝がつくる脊髄神経叢であり、交通枝で交感神経と連絡する。仙骨神経叢の神経は、次の枝を出す。①梨状筋、内閉鎖筋、双子筋、大腿方形筋への筋枝、②中臀筋、小臀筋、大腿筋膜張筋に分布する上臀神経、③大臀筋に分布する下臀神経、④下臀部、会陰部、および大腿後面の皮膚に分布する後大腿皮神経、⑤坐骨神経。第2仙骨神経から第4仙骨神経で形成される神経叢を陰部神経叢pudendal trunkとし、それより上方の神経叢を坐骨神経叢sciatic trunkということもある。仙骨神経から起こる神経は臀部・下肢に分布する神経と骨盤部に分布する神経とに大別できる。)
- 956_30【Anterior branch; Ventral branch of 5th lumbar nerve前枝;腹側枝(第5腰神経の) Ramus anterior; Ramus ventralis (Nervus lumbalium V)】
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- 956_31【Accessory obturator nerve副閉鎖神経 Nervus obturatorius accessorius】 Occasional accessory nerve arising from L3 and L4 that supplies the pectineus and hip joint.
→(副閉鎖神経(L3,L4)は、必ずしも存在しない。存在する場合には、この神経は小さく、第3、第4腰神経の前枝腹側部より生じる。副閉鎖神経は、大腰筋の内側縁に沿って下行し、恥骨上枝を越えて恥骨筋の後方に至る。この神経は、恥骨筋の神経支配を補佐して終わるが、股関節への支配枝や閉鎖神経前分枝に加わる枝を派生することがある。)
- 956_32【Superior gluteal nerve上殿神経;上臀神経 Nervus gluteus superior】 Nerve arising from L451 that passes through the greater sciatic foramen cranial to the piriformis and then between the gluteus medius and minimus to the tensor muscle of fascia lata, which it supplies as well as the above-mentioned muscles.
→(上臀神経はL4~S1より起こる。大坐骨孔を梨状筋の上で通り(梨状上孔)臀部に入り中および小臀筋の間を抜け大腿筋膜長筋へいたる。これらの筋肉を支配する。)
- 956_33【Sciatic nerve坐骨神経 Nervus ischiadicus】 Thickest nerve in the body, arising from L4-S3. It leaves the pelvis through the greater sciatic foramen distal to the piriformis and descends lateral to the ischial tuberosity, than travels deep to the gluteus maximus and long head of biceps femoris.
→(坐骨神経は人体中最大の神経であり、仙骨神経叢をつくる神経線維の大部分がこれの構成にあずかる。梨状筋の下で大坐骨孔を出てから大腿の後側を通り、筋枝をすべての大腿屈筋群にあたえたのち、膝窩のやや上方で総腓骨神経と脛骨神経とに分かれる。総腓骨神経は大腿二頭筋長頭の内側縁に沿って下り、腓骨上端の外側で次の終枝に分かれる。①外側皮腹皮神経(下腿外側面の皮膚に分布)、②深腓骨神経(下腿の伸筋群と足背の諸筋、および足背の皮膚に分布)、③浅腓骨神経(長腓骨筋、短腓骨筋への筋枝を出したあと内側足背皮神経、中間足背皮神経、足背趾神経となって足背の皮膚に分布)。脛骨神経は下腿の屈筋群、足底の諸筋、下腿の後面と足底の皮膚に分布するが、次の神経はいずれも脛骨神経の末梢枝である。①下腿骨間神経(下腿骨間膜の後縁に沿って走り、足関節のあたりに達する)、②内側皮腹皮神経、腓腹神経、外側足背神経(ひとつづきのもので下腿後面から足背外側部の皮膚に分布)、③内側足底神経と外側足底神経(ともに足底の諸筋に分布する枝を出したあと、趾の足底面や足底の皮膚に分布するため、総底側趾神経に枝分かれし、固有底側趾神経となっておわる)。)
- 956_34【Posterior cutaneous nerve of thigh; Posterior femoral cutaneous nerve後大腿皮神経;後皮神経(大腿の) Nervus cutaneus femoris posterior】 Nerve arising from SI-S3 that travels through the greater sciatic foramen distal to the piriformis and supplies the skin on the posterior side of the thigh as well as the proximal part of the leg.
→(後大腿皮神経は仙骨神経叢のS1~S3より起こる。大坐骨孔を通り梨状筋の下で臀部にあらわれる。この神経は坐骨神経と大臀筋ではさまれながら臀部を下行し、大腿二頭筋よりも浅層を走りながらこれを横切り大腿背面の深筋膜内を走る。膝窩に達してから後大腿皮神経本幹は深筋膜を貫き皮膚に向かう。)
- 956_35【Pudendal nerve陰部神経 Nervus pudendus】 Nerve arising from the second, third, and fourth sacral spinal nerves. It travels through the greater sciatic foramen distal to the piriformis into the ischioanal fossa.
→(陰部神経は第2~4仙骨神経の前枝の中に含まれる神経線維のうちで梨状筋の下で大坐骨孔を通って坐骨腔をいったん離れ、下肢の臀部領域を少し走行したのちに、小坐骨孔を通り会陰部に達する。坐骨直腸窩で次の3者に分かれる。①下直腸神経、②会陰神経、③陰茎背神経または陰茎背神経。)
- 956_36【Anterior rami of sacral nerves; Ventral rami of sacral nerves前枝;腹側枝(仙骨神経の) Rami anteriores nervus sacralium; Rami ventrales nervus sacralium】
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- 956_36a【Anterior rami of sacral nerves and coccygeal nerve; Ventral rami of sacral nerves and coccygeal nerve前枝;腹側枝(仙骨神経・尾骨神経の) Rami anteriores nervus sacralium et nervus coccygei; Rami ventrales nervus sacralium et nervus coccygei】 Anterior branches of the sacral nerves that form the sacral plexus.
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