987
- 987_00【Vascular layer of eyeball眼球血管膜;ブドウ膜;眼球中膜 Tunica vasculosa bulbi; Uvea】 Uveal tract. It consists of the choroid, ciliary body, and iris.
→(脈絡膜、毛様体(網膜毛様体部を除く)、虹彩内皮および支質、角膜内皮、小柱網などの総称。眼球中膜、ブドウ膜と同義にも用いられる。)
- 987_01【Major circulus arteriosus of iris; Major arterial circle of iris大虹彩動脈輪 Circulus arteriosus iridis major】 Vascular circle with radiating branches formed by anastomoses between the long and short posterior ciliary arteries.
→(大虹彩動脈輪は長および短後毛様体動脈管の吻合による輪状の血管系。放射状に枝がでる。)
- 987_02【Anterior ciliary arteries前毛様体動脈 Arteriae ciliares anteriores】 Arteries arising from the anterior muscular arteries and passing through the sclera to the choroid and ciliary body before opening at the major circulus arteriosus of iris.
→(前毛様体動脈は角膜縁のやや後方で眼球壁に入り、強膜上動脈、前結膜動脈および後結膜動脈を分岐する。角膜縁近くで強膜を貫いて進入し、大虹彩動脈輪と連絡する。)
- 987_03【Ciliary body毛様体 Corpus ciliare】 Thickened area situated between the ora serrata and root of the iris that contains the ciliary muscle and ciliary processes.
→(毛様体は虹彩支質と脈絡膜の移行部に生後発生する平滑筋(毛様体筋)の束により生じる肥厚部である。経線断面では全体として三角形の断面をもち、3頂点がそれぞれ網膜鋸状縁、虹彩基部、毛様体突起にあたる。毛様体突起には毛様体小帯が結合し、水晶体に連絡する。眼球を赤道面で切断し、その前半分を後ろから観察すると水晶体を一周する毛様体を一眺することができる。鋸状縁につづく、①毛様体輪(幅~3mm)と、②放射状に配列する約70個の毛様体突起とヒダよりなる毛様体間が区別される。輪部には細い経線方向に走る稜線が認められ、これが集中して毛様体突起(長さ2mm、幅1mm、高さ0.5mm)をつくる。)
- 987_04【Choroid脈絡膜 Choroidea; Chorioidea】 Portion situated between the retina and sclera.
→(脈絡膜は網膜視部の外側に接してこれを包んでおり、内側から外側に向かって、①基底膜、②脈絡毛細血管板、③血管板、④脈絡上板の4層に分けられる。)
Ruysch' veins
- 987_05Ruysch' veins【Vorticose veins; Choroid veins渦静脈;眼球脈絡膜静脈;大脈絡膜静脈 Venae vorticosae; Venae chorioideae majores】 Four or five branches from the choroid of the eyeball that penetrate the sdera laterally.
→(渦静脈は毛様体血管系の静脈は眼球の赤道部で集まり、4本の渦静脈(眼球脈絡膜動脈)となって眼球をさる。)
- 987_06【Long posterior ciliary arteries; Iridic arteries長後毛様体動脈;虹彩動脈 Arteriae ciliares posteriores longae; Arteriae iridicae】 One lateral and one medial artery. They pass from posterior between the sclera and choroid, supply the ciliary body, and terminate at the major circulus arteriosus of iris.
→(長後毛様体動脈は虹彩動脈ともよばれ内側と外側の2本ある。視神経の眼球進入部の内外両側で眼球に入り、強膜と脈絡膜との間を前進して虹彩に達する。虹彩では、毛様体縁で鱗状の大虹彩動脈輪をつくり、その枝はさらに瞳孔縁のまわりで小虹彩動脈輪をつくる。)
- 987_07【Pupil瞳孔 Pupilla】 Opening in the iris surrounded by the pupillary margin. Its diameter ca. change in response to light entering the eye and the distance to an object being viewed.
→(瞳孔は虹彩の中心にある瞳孔縁に囲まれた孔。ほぼ円形の開口。角膜、前眼房を通過した光が、ここを経て水晶体、硝子体、そして網膜に達する。瞳孔の直径は明るさにより両側性に変化し(瞳孔反射)、明所では~1.0mm(縮瞳)、暗所では~8.0mm(散瞳)ぐらいである。入射光の強さおよびみえるものまでの距離に応じてその径を変えることが出来る。不交感神経遮断剤(アトロピンなど)や交感神経刺激剤(アドレナリンなど)の点眼により持続的散大が可能で、眼科学的に広く応用されている。瞳孔は胎生期には虹彩内皮のつづきである瞳孔膜によりとじられているが、妊娠末期にこれが消失する。眼胞から眼杯が形成される過程で脈絡裂閉鎖が不完全な場合、いろいろの程度に虹彩瞳孔縁の欠損が残り、これを虹彩披裂(Coloboma iridis)という。虹彩筋は輪走する瞳孔括約筋と、放射状の瞳孔散大筋がある。虹彩筋はすべて色素上皮細胞より分化する神経外胚葉由来の筋上皮組織である。)
- 987_08【Cornea角膜 Cornea】 Transparent, anterior part (1/6) of the eyeball that is anteriorly convex and posteriorly concave. It is 0.9 mm thick in the middle and 1.2 mm thick at the margin.
→(角膜は眼球前方部の透明部分。厚さ約1mm、直径10~12mmの前弯した楕円形の膜で、角膜頂、角膜縁、前および後面を区別する。弯曲度は前面(曲率半径約7.8mm)よりも後面の方が強い。前面は光学的に縦径線が横径線に比してやや強く弯曲し、正視眼ではこの差は水晶体弯曲度の逆の関係により補正されるている。角膜の特徴として、角膜血管が入る辺縁部以外ではまったく血管が存在しない。組織学的に5層が区別される。①角膜上皮、②前境界板(Bowman膜)、③角膜固有質、④後境界板(Descement膜)、⑤角膜内皮)
- 987_09【Iris虹彩 Iris】 Round disc with a central opening (pupil) situated in the frontal plane that varies in color in different individuals. It forms the posterior end of the anterior chamber and becomes continuous at its margin with the ciliary body. It has a diameter of 10-12 mm.
→(虹彩は、前頭面に位置し、眼の血管層の前方部分をつくる隔膜で、色に個人差のある円板。中央に開口部(瞳孔)があり、直径は約10~12mm。前眼房の後境界で、その縁は毛様体へ移行する。周囲辺縁は強膜岬角に付着している。瞳孔をかたちづくるあたかもカメラの絞りのような器官で、虹彩内皮、虹彩支質、虹彩筋、虹彩色素上皮層より構成され、血管に富む。虹彩の脈管と神経はは虹彩の動脈としては毛様体縁に沿う大虹彩動脈輪、瞳孔縁に沿う大虹彩動脈輪、瞳孔縁に沿う小虹彩動脈輪、両者を放射状につなぐ小動脈があり、長後毛様体動脈、前毛様体動脈、脈絡膜毛細血管叢より供給される。静脈血はこれらに伴う静脈のほか、渦静脈に流入する。虹彩の神経支配として長毛様体神経(三叉神経由来の体知覚性神経)と短毛様体神経(毛様体神経節由来の自律神経)があり、後者には動眼神経副核由来の節前線維から興奮を受けて伝達する節細胞の軸索すなわち副交感神経節後線維と、内頚動脈神経叢を経て毛様体神経節に達し、節内でそれに合流する胸部交感神経核由来の交感神経節後線維が含まれる。瞳孔括約筋は副交感神経、散大筋は交感神経の支配を受ける。)
- 987_10【Ciliary processes毛様体突起;大突起(毛様体の) Processus ciliares; Processus majores】 Between 70 and 80 radiating folds containing numerous capillaries measuring 0.1-0.2 mm wide, 1 mm high, and 2-3 mm long. Their epithelium produces aqueous humor.
→(毛様体突起は放射状に配列し、毛細血管に富むヒダ。70~80本あり、幅0.1~0.2mm、高さ1mm、厚さ2~3mmである。この上皮が眼房水を産出する。)
- 987_11【Ciliary muscle毛様体筋 Musculus ciliaris】 Smooth muscle of the ciliary body. It draws the choroid anteriorly, thereby relaxing the zonular fibers, allowing the lens to take its own, more strongly convex form for near vision.
→(眼の遠近調節accommodation(ピント合わせ)はの仕組みは、近いものを見るときには、毛様体筋が収縮して毛様小体がゆるみ(毛様小体の付着部が前の方に引かれるため)、水晶体が自身の弾性によって膨らみ(球形に近付き)、屈折率を増す。長時間にわたって細かい字を読んだ時の眼の疲労は、主に毛様体筋の疲労である。)
- 987_12【Sclera強膜 Sclera】 Membrane of the eyeball composed of interwoven collagen fibers. It has a bluishwhite appearance and is visible through the conjunctiva.
→(眼球の形状を保つ強靱な膠原線維組織層。角膜となっている前部6分の1を除いた部分。前方では隔膜固有質に、後方では篩板から視神経外鞘を経て脳硬膜に、それぞれつづいている。強膜と角膜を合わせて眼球線維膜という。強膜の厚さは眼球後極で~1.0mm、前部で~0.6mm、赤道で~0.4mmである。視神経線維束を通す篩板は後極の内側3.5mm、視神経乳頭の直後方にあたる。視神経は~数十本の掌側としてこれを通る。渦静脈、長・短毛様体動脈および神経が強膜を貫く。強膜はは外から内へ、①強膜上皮、②強膜固有質、③強膜褐色板の3沿うよりなる。虹彩角膜角に沿って強膜固有質が内方へ皮厚し(強膜距)毛様体筋腱により貫かれる。この部の直前に輪状に走る強膜静脈洞(Schlemmn管)があり、眼房水は虹彩角膜間隙(Fontana腔)からこれを通って渦静脈に排出される。角膜縁をとり膜浅い強膜溝の深層にこれらの構造がある。眼球前部の強膜上板毛細血管網に富み、その炎症性変化を臨床的に「網膜充血」という。強膜前部は眼球結膜、後部は眼球鞘(Tenon鞘)によりおおわれる。内面は脈絡外隙を間に脈絡外板に接する。)
- 987_13【Short posterior ciliary arteries短後毛様体動脈;脈絡膜動脈 Arteriae ciliares posteriores breves; Arteriae chorioideae】 Between 10 and 15 arteries that penetrate the sclera around the optic nerve, supplying the choroid, ciliary body, and passing to the major circulus arteriosus of iris.
→(短後毛様体動脈は脈絡膜動脈とも呼ばれ6~15本あり、視神経の眼球進入部の付近で強膜を貫いて脈絡膜に分布する。)
- 987_14【Optic nerve [II]視神経;視束[脳神経II] Nervus opticus; Fasciculus opicus [II]】 Nerve emerging medial to the posterior pole of the eyeball and extending to the optic chiasma.
→(視神経は脳神経の1つとして扱われてはいるが、実は前脳胞の延長部である。眼球網膜の第8層である神経細胞層中にある多極神経細胞から出る神経線維が集まって出来る神経である。すなわち杆状体細胞および錐体状細胞よりの興奮は網膜の内顆粒層の双極細胞に伝わり、それがさらに神経細胞層の細胞に連絡し、この神経細胞の出す神経突起である線維はまず眼球の後極よりやや内下方の一ヶ所に集まって、視神経円板を作り、強大な神経幹となり、網膜の続きである視神経鞘に囲まれて後内側に向かう。眼球から約15~20mm隔ったたところで、眼動脈の枝である網膜中心動脈およびこれに伴う静脈が外側から入り込み、その中軸を通って網膜に分布する。左右両側の視神経は眼窩後端の視神経管を通って頭蓋腔に入り、次第に相近づいて蝶形骨体上の視神経溝でほぼ半交叉をして視交叉を作り、そのつづきは視索と名が変わって間脳の外側膝状体および中脳の上丘などの第一次視覚中枢に達して、ここで終わる。網膜が眼胚から発達するので経路に相応する。ヒトの視神経は眼球網膜の神経細胞層中にある多極神経細胞から出る100万本以上の神経線維からなる。すなわち、杆状体細胞および錐体状細胞よりの興奮は網膜の内顆粒層の双極細胞に伝わり、それがさらに神経細胞層の細胞に連絡し、この神経細胞の出す神経突起である線維はまず眼球の後極よりやや内下方の一ヶ所に集まって、視神経円板を作り、強大な神経幹となり、網膜の続きである視神経鞘に囲まれて後内側に向かう。眼球から約15~20mm隔ったたところで、眼動脈の枝である網膜中心動脈およびこれに伴う静脈が外側から入り込み、その中軸を通って網膜に分布する。左右両側の視神経は眼窩後端の視神経管を通って頭蓋腔に入り、次第に相近づいて蝶形骨体上の視神経溝でほぼ半交叉をして視交叉を作り、そのつづきは視索と名が変わって間脳の外側膝状体および中脳の上丘などの第一次視覚中枢に達して、ここで終わる。)