998
- 998_00【Orbit; Orbital cavity眼窩 Orbita; Cavitas orbitalis】 Orbital cavity that contains the eyeball and its appendages.
→(眼窩は眼球とその付属器とを容れる不規則な四角錐体状の大きなくぼみで、最深部はその後内方にある。錐体底にあたる部はほぼ四辺形の眼窩口で、軽度外下方に傾いており、顔面に開いている。その上縁を眼窩上縁、下縁を眼窩下縁という。眼窩上縁は前頭鱗からなり、その内側半分に2個の切痕または孔があり、その内側のものを前頭切痕(まれに前頭孔)、外側のものを眼窩上孔(まれに眼窩上切痕)とう。眼窩下縁は上顎骨体および頬骨からなり、その下方に眼窩下孔が開口している。眼窩は上・下・内側・外側の4壁を有し、7種類の骨による10部より形成されている。上壁は大部分が前頭骨眼窩面および蝶形骨小翼腹側面よりなり、外側には涙腺窩、小翼内には視神経管があり、ここに視神経および眼動脈を通す。下壁は大部分が上顎骨眼窩面によりなるが、外側の一部が頬骨眼窩面、後方の小部分が口蓋骨眼窩突起により形成されている。また後方から前方へ眼窩下溝その延長部である眼窩下管が走り、これが既述の眼窩下孔に開口する。内側壁は大部分が篩骨眼窩板により形成され、残りの部分のうちの前部は上顎骨前突起および涙骨、後部は蝶形骨体側面最前部によって形成されている。なお篩骨眼窩板上縁と前頭骨眼窩部との間には、前篩骨孔および後篩骨孔があり、前者は鼻腔に行く前篩骨神経および前篩骨動脈を通し、後者は篩骨蜂巣に行く後篩骨神経および後篩骨動脈を通す。また内側壁の前部にある涙嚢窩は、上顎骨の前涙嚢稜と涙骨の孔涙嚢稜との間にあり、稜骨の涙嚢溝が合して形成されたものである。外側壁は前半部は頬骨眼窩面、後半部は蝶形骨大翼眼窩面と上壁の蝶形骨小翼との間には頭蓋腔に通ずる上眼窩裂があり、動眼神経、滑車神経、眼神経、外転神経、上眼静脈などを通す。また外側壁後半部の蝶形骨大翼眼窩面と下壁の上顎骨眼窩面との間には翼口蓋窩および側頭下窩に通ずる下眼窩裂があり、眼窩下神経、頬骨神経、下眼静脈などを通す。)
- 998_01【Frontal sinus前頭洞 Sinus frontalis】 It is an average of 3 cm high, 2.5 cm wide, and often extends 1.8 cm posteriorly, forming part of the roof of the orbit.
→(前頭洞は眉間の辺りにある副鼻腔をなす空洞。篩骨漏斗により同側の中鼻道に連なる。)
- 998_02【Trochlea of superior oblique滑車(上斜筋の) Trochlea (Musculi obliqui superioris bulbi)】 Short, curved fibrocartilage tubes that serve as a pulley for the tendon of the superior oblique. They are fixed to the medial wall of the orbital cavity.
→(上斜筋の滑車は線維軟骨よりなる短い、まがった管。このなかを上斜筋の腱が通る。内側眼窩壁についている(滑車棘)。(Feneis))
- 998_03【Superior oblique muscle上斜筋;上眼球斜筋 Musculus obliquus superior; Musculus obliquus bulbi superior】 o:Medial to the common tendinous ring on the body of sphenoid, i: After a hook-shaped course, obliquely behind the equator. Its tendon passes through the trochlea. Action: Abduction, intorsion, and depression of the eye. I: Trochlear nerve.
→(上斜筋は眼窩傍結合組織すなわち視神経鞘と(おもに)蝶形骨体の結合組織である総腱輪の内側から起こる。上斜筋は眼窩錐体の内側直近の上を前方に走行する。眼球の縁で上斜筋の丸みのある腱は結合組織性の吊り索(滑車)を通過し鋭角で後方に曲がる。さらに上斜筋の腱は上直筋の下でこれと交差し眼球上後側頭部の強膜に停止する。目の動き:視線を内側かつ下方に向ける。)
- 998_04【Cribriform plate of ethmoidal bone篩板(篩骨の) Lamina cribosa (Ossis ethmoidalis)】 Horizontal, elongated bony plate located in the median plane that forms the boundary between the nasal cavity and the anterior cranial fossa.
→(篩板は殆ど水平にあるはなはだ薄い骨板で、前頭骨鼻部の篩骨切痕にはまり、後端は蝶形骨隆起の前縁に接する。嗅神経のうち、内側の孔を通る神経線維は鼻中隔、外側の孔を通るものは鼻腔側壁より起こる。なお内側列最前端の大きい孔は眼窩から篩板の上に出た前篩骨神経が鼻腔に入る通路である。)
- 998_05【Retrobulbar fat; Orbital fat body眼窩脂肪体 Corpus adiposum orbitae】 Fat body filling the spaces around the extra-ocular muscles, eyeball, and optic nerve. It is bounded anteriorly by the orbital septum.
→(眼球は眼窩のなかで眼筋・血管・神経などとともに脂肪組織内に埋まっている。この脂肪組織を眼窩脂肪体という。)
Zinn, Anulus of
- 998_06Zinn, Anulus of【Common tendinous ring of extra-ocular muscles; Common annular tendon総腱輪(外眼筋の) Anulus tendineus communis】 Tendinous ring giving origin to the rectus muscles. It surrounds the optic canal and medial part of the superior orbital fissure.
→(眼筋の4つの直筋群(内側直筋、外側直筋、上直筋、下直筋)は眼窩の後端から起こる。筋の起始腱は全体として視神経管のまわりで輪、すなわち総腱輪をつくる。各直筋は総腱輪から、それぞれ、眼窩の4壁(内側壁・外側壁・上壁・下壁)に沿って前進し、眼球の前半部(赤道より前方)につく。)
- 998_07【Optic canal; *Optic foramen視神経管;視神経孔 Canalis opticus; Foramen opticum; Canalis fasciculi optici】 Canal for transmission of the optic nerves and the ophthalmic artery.
→(視神経孔Optic foramenともよばれる。眼窩の上壁の最も深部で蝶形骨の小翼の蝶形骨体よりの根部は視神経管が貫通し、この管の外側には前床突起が延びだしている。視神経および眼動脈が通る。)
- 998_08【Anterior clinoid process前床突起;小翼突起 Processus clinoideus anterior; Processus alae parvae】 Projection from the lesser wing of the sphenoid bone that is directed posteriorly toward the middle and posterior clinoid processes.
→(蝶形骨小翼の後縁は遊離縁をなし、その内側端に視神経管の後外側から後内側に向かう前床突起がある。)
- 998_09【Optic nerve [II]視神経;視束[脳神経II] Nervus opticus; Fasciculus opicus [II]】 Nerve emerging medial to the posterior pole of the eyeball and extending to the optic chiasma.
→(視神経は脳神経の1つとして扱われてはいるが、実は前脳胞の延長部である。眼球網膜の第8層である神経細胞層中にある多極神経細胞から出る神経線維が集まって出来る神経である。すなわち杆状体細胞および錐体状細胞よりの興奮は網膜の内顆粒層の双極細胞に伝わり、それがさらに神経細胞層の細胞に連絡し、この神経細胞の出す神経突起である線維はまず眼球の後極よりやや内下方の一ヶ所に集まって、視神経円板を作り、強大な神経幹となり、網膜の続きである視神経鞘に囲まれて後内側に向かう。眼球から約15~20mm隔ったたところで、眼動脈の枝である網膜中心動脈およびこれに伴う静脈が外側から入り込み、その中軸を通って網膜に分布する。左右両側の視神経は眼窩後端の視神経管を通って頭蓋腔に入り、次第に相近づいて蝶形骨体上の視神経溝でほぼ半交叉をして視交叉を作り、そのつづきは視索と名が変わって間脳の外側膝状体および中脳の上丘などの第一次視覚中枢に達して、ここで終わる。網膜が眼胚から発達するので経路に相応する。ヒトの視神経は眼球網膜の神経細胞層中にある多極神経細胞から出る100万本以上の神経線維からなる。すなわち、杆状体細胞および錐体状細胞よりの興奮は網膜の内顆粒層の双極細胞に伝わり、それがさらに神経細胞層の細胞に連絡し、この神経細胞の出す神経突起である線維はまず眼球の後極よりやや内下方の一ヶ所に集まって、視神経円板を作り、強大な神経幹となり、網膜の続きである視神経鞘に囲まれて後内側に向かう。眼球から約15~20mm隔ったたところで、眼動脈の枝である網膜中心動脈およびこれに伴う静脈が外側から入り込み、その中軸を通って網膜に分布する。左右両側の視神経は眼窩後端の視神経管を通って頭蓋腔に入り、次第に相近づいて蝶形骨体上の視神経溝でほぼ半交叉をして視交叉を作り、そのつづきは視索と名が変わって間脳の外側膝状体および中脳の上丘などの第一次視覚中枢に達して、ここで終わる。)
- 998_10【Internal carotid artery内頚動脈 Arteria carotis interna】 It passes from the carotid bifurcation, without any branches, to the cranial base, continuing in the carotid canal to its terminal division into the middle and anterior cerebral arteries.
→(内頚動脈は、総頚動脈から起こり、頚部では頭蓋底にいたるまでは枝を出さない。ついで頚動脈管をへて中大脳動脈と前大脳動脈に分枝するまでをいう。内頚動脈は頚部、側頭骨錐体部(岩様部)、海綿静脈洞部、大脳部の4つの部分に分けられる。この内頚動脈の海綿静脈洞部と大脳部とは、特別な形態を呈するので、「頚動脈サイフォン」とよばれている。内頚動脈の主な枝として、眼動脈、後交通動脈、前脈絡叢動脈がでる。内頚動脈は、視交叉の外側で小さな前大脳動脈と大きな中大脳動脈とに分岐する。中大脳動脈は内頚動脈の直接の続きで終枝と考えられる。)
- 998_11【Superior tarsus上瞼板 Tarsus superior; Tarsus palpebrae superior】 Semilunar fibrous plate that is curved like a bowl and forms the upper eyelid. It measures about 10 mm vertically and consists of tough, connective tissue of interwoven collagen fibers. It contains the tarsal glands.
→(上瞼板は高さ約10mmあり、皿状に曲がっている。かたい縺れた膠原線維性の結合組織よりなる。瞼板腺を含む。上眼瞼を広く反転できるのは、ここに上眼板があるからである。とくに日本人では、眼輪筋と瞼板との間に疎性結合組織と脂肪組織があって内輪筋と瞼板とはゆるく結合するので、眼瞼を反転しやすい。上瞼板と皮膚との結合が粗であると一重瞼であるが、結合が密でつよいと二重瞼となる。)
- 998_12【Orbital part of lacrimal gland眼窩部(涙腺の);上涙腺 Pars orbitalis (Glandulae lacrimalis); Glandula lacrimalis superior】 Larger portion of the lacrimal gland situated above the tendon of the levator palpebrae.
→(涙腺は二つの部分からなり、比較的小さい下の部分(涙腺の眼瞼部)が、上眼瞼挙筋の腱膜よりも表層にあり、大きい上の部分(涙腺の眼窩部)はこの上眼瞼挙筋の腱膜の裏側(下層)に存在する。)
- 998_12a【Lacrimal gland涙腺 Glandula lacrimalis】 Gland located above the lateral angle of eye. It is divided by the tendon of the levator palpebrae into an upper and lower portion. Its excretory ducts open laterally in the superior conjunctival fornix.
→(涙腺は眼窩上壁の前外側部に存在する扁平な小指頭大の線で、6~12本の導管によって上結膜円蓋の外側部に開口する。腺は漿液性の管状胞腺で、分泌部は比較的広い腺腔を囲む1層の円柱上皮よりなる。導線ははじめ単層立方上皮、太くなると2層の円柱上皮よりなる。涙腺には線条導管や介在導管はみられない。)
- 998_13【Levator palpebrae superioris muscle上眼瞼挙筋 Musculus levator palpebrae superioris】 o: Upper portion of optic canal and dural sheath of optic nerve. Its insertion tendon widens anteriorly and divides into a superior and an inferior layer. I: Oculomotor nerve.
→(上眼瞼挙筋は視神経管の縁の総腱輪の外側で視神経鞘から起こり、眼窩上壁のすぐ下で前頭神経の下を通り上眼瞼にいく。上眼瞼挙筋の腱は分離して上眼瞼挙筋浅板と上眼瞼挙筋深板に分かれる。前者は上眼瞼中を縁に向かって進み、後者は上瞼板筋の平滑筋細胞を伴って上眼瞼の瞼板に付く。下瞼板筋は下眼瞼板と下結膜円蓋の間の下眼瞼に存在する平滑筋層である。)
- 998_14【Superior rectus muscle上直筋;上眼球直筋 Musculus rectus superior; Musculus retus bulbi superior】 o: Common tendinous ring, i: Along an oblique line passing anterior to the equator, 7-8 mm behind the corneal margin. Action: Elevation and intorsion of superior pole. I: Oculomotor nerve.
→(上直筋は、眼球の上部を斜め外側に進んで眼球の周囲に達し、そこで角膜縁の後方約7-8mmの胸膜に停止腱が放射上に胸膜組織と絡まるように停止する。目の動き:視線を外側かつ上方に向ける。)
- 998_15【Periorbita眼窩骨膜 Periorbita】 Delicate periosteal covering of the orbit that is firmly attached to the bone at the entry and exit sites of the orbit. It is continuous anteriorly with the adjacent periosteum and posteriorly with the dura mater.
→(眼窩の壁をつくる骨を被う骨膜は眼窩骨膜といわれ、骨との結合はゆるく、頭蓋下面の骨膜につづく。また上顎窩裂や視神経管では頭蓋腔の脳硬膜に連なる。)