客観、客観的object, objective

最終更新日:2002年05月10日 船戸和弥のホームページ

 哲学事典(森 宏一編集、青木書店 1981増補版)から引用

 客体ともいう。ラテン語objectumから由来し、<…に対してある>の意味で、自存在的な主体たるものに対して、という意をあらわし、主観内にある観念の側をいいあらわすのに用いられていたが、近代になってからは、主観に対してあるものの意味に使われるようになった。この使い方はロックではまだ明確になっていないが、カント以後には主観に対立する側をしめすことが明確になった。唯物論では、意識に依存せず、これから独立に存在する物質世界をいうが、観念論では、対象世界ではあるが、それは意識から独立してはおらず、主観の側にとらえられて存在するもの、つまり意識の内容をさしている。したがって、客観的とは、唯物論でいう場合は、主観から独立な性質をもつものごとに関するという意味であり、観念論では、単に個人ないしある集団だけに通用する意識内容でなく、広く普遍性をもつ意識内容をさす。